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【中学受験・読書】トレンドはこれだ! 2024年中学入試で出た、おススメしたら生徒が読んでくれた本TOP5
最近の国語の入試傾向は、ここ2.3年以内に出版したものから出題されるというのがトレンド。
2024年の入試に出た作品の中から、個人的にお気に入りの作品で、生徒におススメしたら反応が良かった作品を5つご紹介したいと思います。
1.成瀬は天下を取りにいく
2024年本屋大賞 いまいちばん話題になっている本
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作者 宮島 未奈
主人公の学年 中学2年生~
主題・題材 青春、成長、葛藤、多様性
出題校 豊島岡女子2024、栄東東大2024、中大付属2024
おすすめ度 SSS
STORY
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。圧巻のデビュー作。
2024年に本屋大賞受賞。
(本屋大賞、マンガ大賞は基本ハズレがないです)。
街の本屋さんに行けば、一番目立つところに平置きされているので、見たことがある人も多いでしょう。
続編『成瀬は信じた道を行く』も、同じくらいおもしろい。
成瀬の強烈な個性に、読むとスカッとします。
本作は小学4年生から6年生まで一番人気で、女子だけじゃなく男子まで、幅広く読んでくれました。
いちばん反応が多かった作品です。
実際売れすぎて、来年以降入試で出るかはわかりませんが、単純におもしろいですし、子どもたちの見識も拡がるでしょう。
読書慣れしている子も、馴染みのない子も、全学年全員におすすめできます。
また、大人からするとヒヤヒヤするような描写も特にないので、子どもたちに安心して読んでもらえるところも良いですね。
ちなみに、宮島さん、京都大学文学部出身。才女!
(リアル成瀬か~!?)
【本屋大賞受賞!宮島未奈さんが来学!】
— 京都大学 (@univkyoto) July 4, 2024
小説『成瀬は天下を取りにいく』で2024年本屋大賞を受賞した宮島未奈さんが雑誌社の取材で来学されました!そう、宮島さんは京都大学文学部の卒業生なのです♪本学の広報誌『紅萠』(9月発行)にも寄稿予定ですので、お楽しみに!
紅萠:https://t.co/WjFRyd9zoK pic.twitter.com/eepcAhSFN1
2.きみの話を聞かせてくれよ
読んで絶対後悔しない、2024年入試の最多出題作!
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作者 村上 雅郁
主人公の学年 中学1年生~中学3年生
主題・題材 成長、友情、葛藤、ジェンダー、多様性
出題校 駒場東邦2024、海城2024、学習院2024、立教女学院2024、大妻2024、専修大松戸2024、栄東2024
おすすめ度 SSS
STORY
吹き抜ける風が心をゆらす——ぼくらは自分のままでいたいだけ。そうあるように、ありたいだけ。7つの短編が連作に。軽やかに、でもたしかに、心に響く『ぼくら』の話。
児童文学のため、年齢を問わずさくさく読め、読書初心者にも上級者まで、誰にでも無条件でおすすめできます。
多くの中学校の先生たちに選ばれたのがわかる、大傑作。
読後感が最高です!
これは、本当に読んでほしい。
多様性についても学べます。
中学生たちの話なのに、なぜか4年生のクラスで女子たちに人気がありました。
やっぱり女子は小4でも大人びてますね。
3.きみの鐘が鳴る
受験勉強や学校生活に悩んでいるきみに読んでほしい
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作者 尾崎 英子
主人公の学年 小学6年生
主題・題材 中学受験、成長、友情、葛藤、家族、スクールカースト
出題校 芝2024、学習院女子2024
おすすめ度 SSS
STORY
中学受験に挑む6年生たち。チアダンス部の活動に憧れて、青明女子中学校を目指しているつむぎ。同じ体操クラブに入っていて塾も同じのクラスメイトとうまくいかなくなり、5年生の終わりに転塾することに。新しい塾「エイト学舎」には、いろいろな子がいた。父親に厳しく管理指導される涼真。マイペースで得意不得意が凸凹している唯奈。受験に失敗した姉とずっと比べられている伽凛。受験をする事情や環境、性格、目指す学校もそれぞれ違う4人。迎えた2月、待ち受けているものは──?
特に、いま人間関係などで悩んでいる子たちには、福音になるかもしれません。
この本に関連して、思い出深いエピソードがあります。
オンラインの家庭教師として担当していた私の教え子で、小学校でのクラスの女子同士の人間関係で悩んでいた女の子がいました。
3,4年生のころは仲良くしていた子が、5年生になると急によそよそしくなる。
クラスが離れれば問題なかったのに、よりによって6年生も同じクラスに。
6年生になると、その子が自分の仲間グループの女子たちを使っていやがらせをしてくるまでになった。
学校の先生は止めてくれない。
あの子と同じ中学校には絶対行きたくない。
引っ越しも視野に入れ、私立の中学校に進学するため、小6の5月から、一度中断していた中学受験の勉強を再開を決意した。
まさに主人公のつむぎと、似たような状況でした。
お母さまからメールでご事情を打ち明けてもらい、そのときにこの本を紹介しました。
お母さまはその日に本を書店で買ってくれ、その子に渡しました。
その日の授業で、「状況が被りすぎて、やばい! でも一気に読みました」と言ってくれました。
その子は、第二、三志望は不合格と、苦しい2月を過ごしましたが、第一志望から繰り上げで合格をもらい、進学を機に都内に引っ越し、新生活をはじめています。
この本は、塾では5年生の揺れ動く女子たちに受けが良かったです。
4. 給食アンサンブル1・2
今年もやっぱり出た! 1,2とも広く出題
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作者 如月 かずさ
主人公の学年 中学生
主題・題材 成長、友情、葛藤、多様性
出題校 1 吉祥女子2024、恵泉女子2024、高輪2024
2 青山学院2024、本郷2024、栄東東大2024
おすすめ度 SS
STORY
転校先の学校に馴染むのを拒む美貴、子どもっぽいのがコンプレックスの桃、親友の姉に恋をする満、悩める人気者の雅人、孤独な優等生の清野、姉御肌で給食が大好きな梢。6人の中学生たちの揺れる心が、給食をきっかけに変わっていく。やさしく胸に響くアンサンブルストーリー。「七夕ゼリー」「マーボー豆腐」「黒糖パン」「ABCスープ」「ミルメーク」「卒業メニュー」の6品がつなぐ連作短編集。
続編『給食アンサンブル2』も入試によく出題されます。
今年も良く出ましたね。
いろいろなタイプの子が登場するアンソロジーのような短編集で、森絵都の『クラスメイツ』や重松清の『小学5年生』にも通じるものがあるかなと思います。
(これらの作品も、読書入門用としてもおすすめ)
令和時代の「とりあえず、読んでおけ」的な作品ではないでしょうか。
5. この夏の星を見る
入試に出ないはずがない本命作
風化させてはいけない私たちの世代の教訓
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作者 辻村 深月
主人公の学年 中学1年生~高校3年生
主題・題材 コロナ渦、葛藤、成長、友情、団結
出題校 品川女子2024、芝浦工大2024、学習院女子2024年
おすすめ度 SS
STORY
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
いま、一番入試で出る作家のひとり、辻村深月のコロナ渦を題材にした本作が、入試に出ないわけがない!
2020年、もう4年も前になるのですね。
いまの4,5年生の子たちに聞いても、あのときのことを「そんな覚えていない」と言う子も、ちらほら出てきました。
だからこそ、コロナ渦の窮屈でつらかったときのことを思い出す、風化させてはいけない私たちの世代の教訓になるのではないでしょうか。
同作者には素晴らしい作品が他にもあります。
入試問題でも、本当によく登場しますね。
昨年アニメ映画にもなった『かがみの孤城』も、とくに女子生徒から人気があります。
こちらも超おすすめ。
わたしも昨年、一気読みしたあと、映画も見に行きました。
以上となります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
いまご紹介したなかから、1冊でもお子さまが興味を持ったら、ぜひ手に取ってみてください。
子どもが読みたいと思ったときが、本を与えるベストタイミングです。
できれば、お父さま、お母さまもいっしょに読んで、お子さんと感想などを話し合っていただければと思います。
親子で読書体験を共有するなんてとても素敵なことですよね。
数多くある記事のなかから、この記事を読んでいただきありがとうございます。
ひとつでも参考になれば幸いです。
次の記事で、またあなたをお待ちしております。