死にゆく僕らの歌声を。誰も知らない僕の小説に愛をこめて。
「おしまいの断片」
たとえそれでも、君はやっぱり思うのかな、この人生における望みは果たしたと?
果たしたとも。
それで、君はいったい何を望んだのだろう?
それは、自らを愛されるものと呼ぶこと、自らをこの世界にあって
愛されるものと感じること
レイモンド・カーヴァー
豪雨、地震、コロナ。明日、世界が終わるのなら僕は最後に何を望むだろう?
そして、僕は生まれてよかったと思いながら地上から失われゆくのだろうか?
考えてみる。
きっと、僕は悔しくて、悔しくてたまらず、最後の光りを目に焼き付ける。
僕の小説はほとんど誰にも知られずに、僕が書いた小説は誰の心も打っていない。データとして残されているだけで、他人の記憶には残っていない。あなたの小説と出会えて、救われたと誰かの何かに届くその日まで僕は死ねない。
愛されていなくてもいい。作品が愛されるのなら。
書け、書け。
人生は短い。
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