見出し画像

キャリアの持つ意味と現実の間

こんにちは。ライフキャリアカウンセラーのmaruねえです。

前回少しだけキャリアコンサルタントという資格と業務について書きましたが、今日はもともとのキャリアの持つ意味と、今の日本の現実とのギャップについて少し書きたいと思います。

キャリアとは

「キャリア」の語源は、馬車の車輪の跡の“轍”という意味の英語careerから来ています。つまり、自分が歩いてきた軌跡=人生そのものを指します。もともとのキャリア理論とは、その人らしく、人生を歩んで行くための理論であり、仕事はその中の一部でしかないわけです。
しかし、どうも日本では、主に就職や転職市場や自身の仕事上の業績などのイメージが先行してしまいました。「キャリアカウンセラー」とindeedで検索すれば、人材紹介のマッチングの仕事ばかり出てきます。私の中で「違うなあ」という解離感が否めませんでした。

実際に、人材紹介会社での転職のキャリア相談や大学生のキャリア相談などやっていて思うことは、「あなたは何のために働くのですか」という問いについて向き合うことなく、就職をしようとしている人がとても多いということです。例えば、転職を希望している人に「なぜ転職をしたいのですか?」「転職を経てどのようなことを実現したいですか?」「転職をすることで、ご自身がどうありたいと考えていますか?」という質問を投げかけると、明確に答える人は案外少ない。自分のライフプランの中で、“仕事”というものがどういった立ち位置で、どのくらいのバランスで、ゆえにどういう働き方がいいのか、ということをご自身の中で煮詰められていないわけです。

でもこれは転職を考える時、当たり前のことだと思います。本来、キャリアコンサルタントの仕事は「なんとなく転職を考えている」「何となくもやもやしている」の“なんとなく”が何なのかをクライアントと一緒に解き明かして、クライエントの中にある「こうありたい姿」を探していく伴走者であるのではないかと思います。このあたりをしっかりしておかないまま、転職エージェントに登録したり、就職活動したりしても、納得感のない転職や就職になりかねません。これは、大学での就職活動でも同じです。就職や転職という転機にあるとき、それは自分としっかり向き合う大切な時期になります。そしてご自身の生活の“軸”を明確にしていく作業になります。

キャリア相談をしたい

こう考えると、何度か相談を重ねていけるような場所が必要になりますが、残念ながら現状は、そういった相談機関というのは数少ない。少ないながらもいくつか無料でキャリアコンサルタントが相談にのってくれる公的施設もあるので、ご紹介したいと思います。

東京「しごとセンター」           

https://www.tokyoshigoto.jp/


埼玉「女性キャリアセンター」     

https://www.pref.saitama.lg.jp/swcc/


埼玉「埼玉しごとセンター(現:ハローワーク武蔵浦和サテライトオフィス2021.4月より上記名称に変更)」             

https://hwus.jp/

大阪「OSAKAしごとフィールド」          

https://shigotofield.jp/

これらは国の事業であるハローワークと、府県の就労支援事業が一体になった施設で、それぞれハローワークとは別に専門のキャリアコンサルタントがおり、完全予約制でマンツーマンの相談をすることができます。必ずしもハローワークでの求人の相談ではなく、働くことに関する一般的な相談や就職のための応募書類の作成支援などを行っており、幅広い相談ができます。担当制で回数制限なく無料で相談できるこういった施設はどんどん利用するといいと思います。
 なぜなら利用者が増えることで、必要性が増し、まだ設置されていない地域にも同様の施設ができていくことにつながるからです。相談者数は統計がとられていますので、必要度が高いと判断されれば、ゆくゆくは国の事業として無料でマンツーマンでキャリア相談ができる場所の設置が必須になる可能性もあります。誰でも気軽に相談ができるようになるといいなあと個人的には考えています。

このほか、現在在職中の方向けにジョブ・カードというこれまでの仕事の経歴書を活用しながら無料のキャリアコンサルティングを2回まで受けられる「キャリア形成サポートセンター」もあります。

女性の再就職にはママ向けにママ専門のマザーズハローワークや、女性向けに男女共同参画センターで行っているキャリア相談などもあります。これは地域によって、個別で担当制である場合など違いがありますので、お住まいの地域で調べてみるといいかもしれません。
 若者で職歴の少ない方向けに「わかものサポートステーション」もあります。今年度から49歳迄が“わかもの”と認定されましたので、非正規の就職氷河期世代は、お近くで探してみてください。

https://saposute-net.mhlw.go.jp/


これからのキャリアの考え方

今後、個人的には「キャリア教育」というのはとても大切になってくると思っています。特にこれからの働き方は多様性が加速し、できるものはリモートワークが当たり前となり、働く場所を選ばない働き方も増えますし、雇用されるという働き方もかなり変わってくると思います。すでにパラレルワーカーは多くいますが、今後は当たり前になる可能性は大いにあります。しかし、一方でものづくりの業種は今後も必要であり、エンジニアはなくてはならない人材であり、製造部門は人の生活の根幹を支える大切な職種になります。(これについては言いたいことがたくさんありますが、それはまたの機会に)

自分がどんな働き方があっているのか、そもそも“はたらく”ってどういうことなのか、“仕事”ってどんなものがあるのかなどを中学校ぐらいから必須科目として「キャリア教育」ができて(いまある職業体験よりもっと体系的に)、男女ともにライフプランにしっかり取り組む授業ができたら、子どもたちが将来によりリアルに向き合っていくことが可能になるのではないでしょうか。また、キャリアコンサルタントの今後の可能性も広がるかもしれません。

私はソーシャルワーカーとしても仕事をしているので、どちらかというと就労について不安がある方の支援に携わることが多くあります。そこで感じることは、はたらくことは当たり前と考えられているにも関わらず、それをきちんと学べる機会が少なく、そして親の職業や生育環境に左右されてしまうことがあり、現実の就労とご自身のイメージとの間に大きな溝がある場合が多く見受けられるということです。

人は大人になればなにがしか“はたらく”ことになります。それがもっと身近にわかりやすくいろんな可能性を伝えていく必要性があるのではないかなと考えています。

最後までお読みくださってありがとうございました。みなさまのお役に少しでも立てれば幸いです。反応いただけますと励みになります。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?