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これまで、これから(20210217)

トビタテ留学JAPAN(8期)でカナダに7ヶ月ほど研究インターン留学してから気づけば2年近く経過したようです。学部3年(正確には高専専攻科1年)で理系の研究インターン留学をしてみてわかった難しさと経験を通して得たことを文字としてまとめておきます。


1. これまで

留学時の目標は「メンタルヘルスケアを担うAIを作る!そのためにまずはAIの最先端であるカナダで修行して国内トップ・世界でも戦えるレベルになる!」でした。

小さい頃から野心家なところがあって無謀な目標をたてがちでしたが、このときの目標はなかなかぶっとんだものだったなぁ・・・なんて思います。結論からいうと国内トップになんてなれませんでしたし、世界で戦えるレベルかどうかは今でも微妙だというのが正直なところです。けれども、少なくとも世界のレベルがだいぶ見えてきたと感じています。

1-1. 難しさ -なぜ留学中に結果を残せなかったのか-

学部生として研究力があると評価されていたとしても、世界レベルで研究するには圧倒的に知識も経験も不足していたことが一番大きな要因であったと考えています。研究年数が少ないため、読んできた論文数が院生に比べて圧倒的に少ないため、これまでにどのような研究が行われてきて、今の最先端のホットな研究は何なのかというものを網羅的に把握できていなかった。だからこそ自分がやろうとしていることを実現するためにどのような手法を試せばいいのか見つけるまで時間がかかったし、候補が見つかっても類似した先行研究が既にあったのでアウトなんてこともありました。

それに加えて英語力の不足していたことも足かせになっていました。TOEIC810点あってもまったくもって不十分でした。何か伝えようとしてもうまく言葉が出てこない、ネイティブのスピードでは聞き取れない、英語での技術用語がわからない・・・・問題だらけでした。日常での会話と研究での会話は質が別次元でした。日本にいながら英語での研究ディスカッションを練習する機会があればベストなのですが、少なくとも僕はそのようなものを知らないです。大学院まで来れば研究室によっては英語での研究ミーティングをしてたりするんですが、学部生はどうやって練習したらいいんでしょう?(いいアイディアお待ちしております)

1-2. メンタルヘルスケアAI -留学を通してわかったこと-

2012年にAlexNetが発表されて以降、急激にディープラーニングが発展してAIブームとなり、シンギュラリティだなんだと騒ぎ立てられておりました。けれども2021年現在、(個人の主観になりますが)シンギュラリティという言葉をメディアでほとんど見かけなくなったように感じています。事実としてAI関連技術に対する投資はまだまだ広がっていますし、5Gなどの技術革新も止まることを知りません。けれどもAI(とひとくくりにして呼ばれる機械学習)を使った研究に携わる側の実感として、人間の代わりをできるようなAIができるまでものすごーーーーーーーーーーーーーーーーく長い時間がかかるだろうなぁ・・・というのが個人的な感想です。研究者(大学や研究期間)の考えている「すぐやります」と世間(企業)が考えている「すぐやります」って10年と1日くらいの差はあるようですので。

それでもって留学をしていた2018年当時の僕もAIに対してめちゃくちゃ期待していたうちの一人でした。実際に最先端のカナダで見てきたものは確かにスゴかった・・・けれども、思ったほどでもなかった。「95%の精度で分類できます!」っていうやつは特定の画像データに対しての結果で、スマホのカメラ映像だとまったく信頼できない結果しか示さない。2021年現在でもそういう論文が大多数です。研究的にはそれでもいいのかもしれないけれども、一般的な感覚からするとそれじゃあ実用性はまったくないですよね。メンタルヘルスケアに対してAIを応用した研究もそんなものばっかりでした。実用レベルにはまだまだ程遠い。幸か不幸か、僕が作ろうとしているようなドラえもんみたいに信頼できるパートナーになれるようなメンタルヘルスケアAIなんてのは夢のまた夢の話だったわけです。

まぁ、今となって考えれば「経験を積んだ世界トップレベルの研究者が尽力しても実現まで程遠いもの」を「学部生レベルの人間がわずか7ヶ月で目処つけよう」としていたわけですから、留学時にたてた目標は英語力とか経験とかのレベルではなく、そもそも達成できるわけがなかったわけです笑。

2. これから

留学当初の目標を達成できなかったから諦めるのか?

答えはNoです。

先ほども述べたように「幸か不幸か最先端のレベルで見てもまだまだ実現まで遠い」というのが現状でした。

「実用化までは程遠いからもうちょっと技術が進歩するまで待ちましょう」と考える人も多いような気もするのですが、私はそうではなくて「じゃあまだまだ時間はかかるけど自分で研究して実現までの時間を短縮させよう」という考えに至りました。

帰国後、紆余曲折あって今所属している大学院の先生方に繋がりまして、そちらで「ソーシャルスキルトレーニングを行うバーチャルエージェントに関する研究」、もっとフランクな説明の仕方(技術的には不正確かもしれませんが)「コミュ力を数値化」するような研究をしています。

当初思っていたよりも数倍、数十倍、数百倍時間がかかりそうですが留学当初の目標はまだまだ諦めておりませんよーっていうご報告でした。

ポスドクは金欠でやばいみたいな話をよく聞きますが、わたくし個人としてはありがたいことに日々の生活に困窮するほどの経済状況ではございません。とはいいつつも、めちゃくちゃリッチな生活ではないのも事実。お気持ちばかりサポートしていただけますとちょっと幸せになれる気がしますので(文字数