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美味しい佐賀牛をつくるのは、美味しいエサから〜干草ロールをつくりました!〜

(なぜか下書きに保存されていたので、投稿。)

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10月。それは農家さんにとって1年の中でも1、2位を争うくらい忙しい時期。

それは、稲刈りが始まるから!

どの農家さんもこの時期は天気予報とにらめっこして、お天とさんと戦っています。がつがつと稲刈りをしていく様子を県内どこに行っても見ることができるこの季節。

しかし、稲刈りとともに別の戦いがあることをご存知でしょうか。

稲刈りの終わった田んぼに農機具が入り夜中まで絶え間なく動いており、なにやら大きな塊。

今日は、肥育農家の一番きついところをやっていくばい!ついて来れるかね?笑

と行って連れて行ってもらった先は稲を刈り取った後の田んぼ。そこに横たわっている重さ80〜90kgにもなるこの塊。

------これなんですか・・・?-------

これが、牛たちのエサになるんよ。美味しい佐賀牛ができるためには、美味しくて安全な良い藁をあげないとね。

そう話してくれたのは、佐賀県江北町にある山下牛舎の山下さん。

農機具で藁を集めてロールを作るのですが、それを田んぼの淵まで運ぶのは手作業!これが相当しんどくて、ビクともしないんです…。一個運ぶのにも大苦戦していたら、

力じゃいかんさ!腰も痛めるし。力をなるべく使わんで動かさんともたんよ(笑)

と言われましても…。と大苦戦のヒグマ。数個動かしただけで汗が出始め、息も切れてきた…。これが普段見えない裏側…!

牛舎は牛のお世話だけにあらず!そのエサ作りまで自分たちでやっているんです。

------ちなみにこれを何個作るんですか?-------

何個?何千個かな?笑 だいたい50町分くらい集めて回っけんね〜笑

ご、50町ッ!!??

※1町≒1ヘクタール=100m×100m=10,000平方メートル です。

稲刈りが終わった農家から藁取りの要請があるようで、これでも断ってしまっているところもあるとのことでした。

天気と稲の成長具合の戦いで、稲が濡れていれば収穫ができないので、2日程度置くそうです。乾いたら刈り取っていくのですが、また雨が降れば収穫はできないし、稲の具合もあるので、あまり伸ばすとエサにできなくなってしまうんだとか…。

だからやれるときに思いっきり取ってしまわないかんのよ。やけん、地域の人たちで協力してやっていく。さっきいたおじちゃんは隣の地区の人でね。加勢に来てくれっとっとよ。

佐賀の牛舎のほとんどは藁も佐賀県産。この田んぼ見てみ?雑草が生えてなかろう?

確かに田んぼの周りには雑草が生えてなく、とても綺麗に整備されている。

これは、地域の人が草刈りとかを日頃からしっかりしとる証拠。だから害虫なんかも来ない。他の雑草から病気なんかも入りづらい。本当に良い藁が取れる。一人じゃなく、地域でやっていくんよね。

美味しいお肉になるには、美味しいえさ作りからってことや!笑

と笑いながら話してくれた山下さん。本当に農家の方って地域と密着してやっているんだな、と身にしみて感じる一場面です。

肥育農家ってさ、美味しい佐賀牛にするために、牛を育てるんよね。だからこそ一頭一頭と真剣に向き合っていくと、美味しいもの、安全なものをあげて育てたい。佐賀の藁は美味いと思うよ!

それに彼らの排泄物は発酵させて有機として使う。農薬をなるべく使わなくていいように、減農薬でやっていく。そのために有機農法を取り入れる。そしてそこでできた藁は良いエサになる。全部繋がってるんよ。

うまく言葉にできませんが、ちっぽけな自分を感じました。

ちなみに、藁を回収して終わりではありません。そのままだと藁が発酵して腐ってしまいます。それを防ぐためにラッピングをして、密閉する作業があります。これもラッピングの機材はあれど、機材にセットするのはすべて手作業。

細身の山下さんからは想像もつかないような重労働。正直いろいろな農作業の手伝いをしてきましたが、一番しんどい…。

何千個も作るけど、本当に一つ一つ丁寧に作っていく山下さん。

他の牛舎の人たちにも分けたりするし、ここまでの藁を作ってくれた人たちがおって俺たちは仕事ができるけん。

これがプロフェッショナルであり、だからこそ山下さんの育てる牛は美味い。

口にするもの全てに様々な人の時間がかけられ、大きな自然の中で自分は生かされていることを今日も学んだ。


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