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【農 起業 農 LIFE 】農家で起業は儲かりますか? 日本一のライブ配信農家に聞いてみた

取材・文・写真:山崎裕次郎(佐賀県武雄市地域おこし協力隊)


はじめに


突然ですが、
農業で起業を考えたことはありますか?
「農業なんてしたことない」
「農家は儲からなさそう」
「そもそも農業って高齢者のイメージ」
農業への印象ってだいたいこんな感じかと思います(筆者もそうでした)。

今回は農家として起業する
「農起業の世界」の魅力を掘り下げます。
佐賀県武雄市にはゼロから農業を始めた、
日本一のライブ配信農家がいます。
それが、ミヤハラ農園の宮原龍磨さんです。

テレビやYouTube出演し、注目される農家の宮原さんへ今回は特別にインタビューする機会をいただきました。
知識経験ゼロからどうやって?儲かるの?ライブ配信の秘訣は?など、宮原さんにお尋ねしました。

宮原龍磨さん
佐賀県武雄市出身。東京都内の企業で営業職を経験後、2015年にミヤハラ農園(Webサイト)を開始。フリマアプリ「メルカリ」のサービス、「メルカリチャンネル」(現在はサービス終了)にて日本で1番メルカリフォロワー数の多いライブ配信農家としてテレビ東京の「ガイアの夜明け」(2017年10月10日放送)に取り上げられる。
その後2020年には起業家ファンディングYouTubeチャンネル「令和の虎」に出演し、起業家たちより投資を獲得。

2023年12月現在

こんな方におすすめ

  • 「いつか自分も起業したい」、よく観るYouTubeチャンネルは「令和の虎」といった起業家精神に溢れる方

  • 新しい業種を始めてみたいチャレンジャー

  • 都会の満員電車に毎日乗る生活から自由になりたいと思った方

起業をしたい皆さん、今回の記事を読めば、
「農家としての起業もありかも」
と思うどころか、もうそのために行動したい!
と、そわそわします。

ミヤハラ農園のはじまり

農家を選んだきっかけ


筆者(以降Y):
宮原さん、本日はお時間いただき
ありがとうございます。

宮原さん(以降M)M:
いえいえ、
今日はよろしくお願いします!

Y:
もともと宮原さんは、
農家の家庭だったのですか?

M:
いえいえ、全然関係ないです。
父は建築系の会社をしています。

Y:
どうして農家として起業をしたのですか?

M:
何かしらの仕事で独立したい、
経営者になりたいとずっと思ってました。
祖父母が兼業農家をやっていて、
昔から農作業の手伝いをしていました。
独立する時に何しようと考えた時、
「なんか農業っていいな」と思ってですね。
それで1年間福岡の農家へ修行に行きました。
その後独立して、初めの2年間は
とにかくがむしゃらに
いろんな野菜を育てて研究してを
繰り返していました。


ライブ配信のきっかけ


Y:
修行の後、自力で農業を学んだのですね。
すごい…。
宮原さんといえば、
ライブ配信の販売ですが、
ライブ配信をやろうと思った
きっかけはなんですか?

M:
メルカリチャンネルは
対面販売のイメージで始めました。
珍しくて有名になりましたけど、
ライブ配信が得意だったとかではないんです
自分の作ったものの魅力を伝えるために
「とにかくやる」という感じでやってました。

Y:
ライブ配信の良さは
どんな点ですか?

M:
場所を問わない点ですね。
お客さんの家まで行って
対面販売しているようなイメージ
ですね。
視聴者の多くは主婦の方で
お昼に家から観てくださって
その結果購入につながっていました。


宮原さんは家業を継ぐわけでも、知り合いと一緒にでもなく、1人農家としてゼロから始めています。1年間の修行ののち、ご自身で試行錯誤して現在の姿になっています。日本一のライブ配信農家の背景には「とにかくやる」というがむしゃらな姿勢と血の滲むような努力があります。

ミヤハラ農園の看板商品、スプラウトにんにく鉄子。
宮原さんがスプラウトニンニクを知ったきっかけは、たまたま行った長崎の居酒屋。

ここで気になる質問を…


Y:
少し乱暴な質問になってしまいますが、
正直、農家って儲かりますか?

M:
「儲かる」がどのぐらいのことを
指すのかにもよりますけど、
普通にちゃんと頑張れば
誰でも食べていける
と思います。
やっぱ農業って食べ物だからですね。
宝石とか特別なものではなく、
みんなが口に入れるものなので。


たしかに言われてみたら農家が生産するのは、人間ならば誰でも必要とする食料。宝石のような嗜好品みたいに特定の誰かしか買わないようなものではありません。とはいえ、農家を全くわからない方は頑張るやり方も分からないはず。そこで宮原さんの経験をもとにアドバイスを聞いてみました。

経験者が語る農起業へのアドバイス

農業の基本は地域の先輩農家をみて学ぶべし


Y:
これから農業で起業したい方に対して、
宮原さんがアドバイスをするとしたら
どのようなことがありますか?

M: 
まず大事なのは、農業の基本ですね。
基本を押さえることから始まります。

Y:
基本を学ぶために
宮原さんも1年間修行してたのですね。

M:
 農作業の方法、地域の天候、
その土地で育てやすい作物は
やっぱり今までやってきた
先輩農家たちの知識は大事です。
まずはその土地にいる農家の方々から
基本を学んでいくことが
何をするにも必要不可欠です。

Y:
やはり今までやってきた
経験のある先輩農家の知恵は
始めるにあたり大切なのですね。


「生産者は自分」というブランドを作るために


M:
あとは営業テクニックとかじゃないんですけど、
結局、売れるかは「あなただから買う」
っていう状況を作り出すのが大事になりますね。

Y:
あなただから買う…。

M:
例えば、同じトマトがたくさんある中で、
差別化が難しくても、
「あなたのトマトだから買うよ」
みたいな活動ができていれば大丈夫かなと。

Y:
売る買うだけでない、
人の繋がりが大事になってくるんですね。

M:
そうですね、まずは基本をしっかりやって。
自分で売っていくのであれば、
人との繋がりを大事にしていれば、
買ってくださる方は必ずいます

Y:
「あなただから買う」ってなるために、
どうすればいいですか?

M:
とにかくお客さんと交流すること
が大事だと思います。
対面販売で売ったりして
商品の魅力を直接伝えることを
積み重ねるしかないです。
今はお店での対面販売以外にも
ライブ配信できるSNSもありますし、
やり方はいろいろあると思います。

宮原さんのライブ配信も、
お客さんとの交流の場だったのですね。

そうですそうです。
「とにかくやる」っていうので始めましたが、
「あなただから買う」となるように
ライブではストーリーを伝えていました

Y:
生産の背景にある想いが伝わると、
顔の見える農家になりますね。

M:
はい。
それに、SNSも昔に比べて本当に
いろんな方法があると思います。
YouTubeでもインスタグラムでも
ライブ配信はできますし、
生産している工程だったりも
動画で伝えられたりできるので。
動画やライブ配信を通じて
「生産者は自分」というブランドができあがり、
ファンを作りやすい環境だと思います。


宮原さんが最近力を入れているのは筋トレ。

農起業に佐賀がおすすめな理由

始めやすさと好条件な立地


Y:
農起業をするにあたって、
佐賀で始めることのメリットは何がありますか?

M:
まず田舎の良さって土地の安さですね。
例えば原料の栽培とか、
都会のド真ん中はできないですけど、
田舎だったら耕作放棄地とか
いくらでもあるんですよ。
ここも空き家を活用して
にんにくを栽培してるので、
そういった田舎の何かを
活用して始めるのが1番ですね。

Y:
他の田舎に比べて
佐賀の良さってなにがありますか?

M:
佐賀は隣に福岡と長崎があって、
実は穴場ですね。
車で1時間ほどの距離に
人口の多い都市が2箇所もあるので、
商圏の規模が大きいと思います。
自分で飲食店などへ営業に行く時、
店舗の多い都市へのアクセスは
佐賀の良さだと思います。

Y:
たしかに意外と佐賀の立地は
車や電車ですぐに福岡長崎へ行けますよね。


佐賀は農業未経験者でも安心な支援体制


M:
他にも佐賀がおすすめできるのは
初めて農業する方が学べる
先輩農家が多いことですね。

Y:
まずは農業の基本を
身につけることが必須ですしね。

M:
それこそ武雄だったら
トレーニングファーム(※1)
とかありますもんね。
そういったものに入り、
農業のノウハウを学ぶのが
一番よいかなと思います。

※1:
トレーニングファームはJAさがが提供する新規就農支援制度です。未経験者でも1から農業の知識を教わることができ、農業経営のノウハウを習得するための座学研修も用意されています。
未経験からしっかりと稼げる農家として独立させる魅力的な支援制度です。
栽培作物はいちご、ピーマン、ほうれん草といった佐賀県内地域の特産品です。武雄市にはきゅうりのトレーニングファームがあります。
(時期によって募集の有無がありますので詳しくはJAさがのWebサイトをご覧ください)

Y:
トレーニングファーム、
めっちゃいい支援制度ですね。

M:
農業に全く経験のない方にとって、
農作業も経営も学べる手厚いサポートなので
おすすめですね。

Y:
宮原さんのご自身の経験、
知識ゼロからでも始められる支援制度、
独立後のノウハウを知れて
本日は大変勉強になりました。
本当にありがとうございます。

M:
いえいえ、
ありがとうございました。


メルカリチャンネルのライブ配信で全国的に有名になった宮原さん、その手法は「とにかくやる」という根性によって支えられていました。「誰もできない」、「自分しかできない」というのは特別な才能があるからではなく、やり続けるチカラが大事だというのが宮原さんの話から伝わってきます。
宮原さん、長い時間インタビューに快く応えていただきありがとうございました。

まとめ

今回は「農起業の世界」を宮原さんのお話を通じて掘り下げてきました。

たった1人で農業を始めて日本一のライブ配信農家となった宮原さん。その成功にはがむしゃらに努力してきたストーリーがありました。

当たり前の話ですが、農家にしても起業に楽な道はありません。まずはやり抜く根性が必要です。
その一方、農家としての起業は支えてくれる制度や環境があります

佐賀県には、SNSを巧みに使う宮原さんをはじめとする先輩農家、未経験でも安心のトレーニングファームという支援体制もあります。

起業という荒野を歩くとき、この充実した支援と環境を使わないのはもったいないと思いませんか?

起業を考えている方、今の仕事を変えたい方、自由に仕事がしたい方、
ぜひ一度佐賀に来て農業を始めるなら今です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回のお話からわかった農起業で大切なポイント

  • 何事もまずは基本。農作業の基本をしっかり身につけよう。

  • その土地の先輩農家の知識を素直に学んでいこう。

  • 「あなただから買う」と言われるためにお客さんと交流をしよう。

そのためにできるTo Doリスト

  • 農業未経験で不安な場合、JAさがのトレーニングファームの情報を見てみよう。未経験から独立までの基本を身につけるのに最適な制度。

  • まずは気になる地域に来てみよう。先輩農家への挨拶で関係づくり。

  • 「生産者は自分」というブランド作りには、SNSのライブ配信や投稿がぴったり。先輩農家のYouTubeやインスタグラムを見て学ぼう。

筆者プロフィール:
山崎裕次郎(やまざき ゆうじろう)
東京都出身、2022年大学院博士後期課程を卒業後、1年間大学研究員としてアフリカの零細産業を研究。2023年4月より武雄市地域おこし協力隊に着任。武雄の魅力を発信するYouTubeたけおんちゃんねるを運営。

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