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裁量労働制実態調査結果 厚労省公表

第7回「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」

本日(2021年6月25日)、厚生労働省「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」(第7回)が開催され、その配布資料が厚生労働省公式サイトにて公開され、「裁量労働制実態調査結果」が公表された。

2018年に成立した働き方改革関連法では、裁量労働制の適用拡大が法案に盛り込まれる予定だったが、厚生労働省の調査結果が問題となり見送られた。その際、政府が約束した新たな調査の結果が、本日公表された「裁量労働制実態報告書結果」になる。これにより裁量労働制適用拡大の議論が動き出すことになる。

第7回「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」資料(厚生労働省公式サイト)

裁量労働制実態調査結果概要

「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」(第7回)資料のうち資料1は「裁量労働制実態調査結果概要」になる。

資料1「裁量労働制実態調査結果概要」(PDFファイル)

裁量労働制実態調査の概要

公表された「裁量労働制実態調査結果概要」には、裁量労働制実態調査「調査の概要」が記載されている。

調査の概要 
1 調査の目的
裁量労働制の制度の趣旨に適った対象業務の範囲や働く方の裁量と健康を確保する方策等についての検討に資するため、専門業務型及び企画業務型それぞれの裁量労働制の適用・運用実態や裁量労働制の適用・非適用による労働時間の差異等を把握することを 目的とする。

2 調査の根拠法令 
統計法(平成19年法律第53号)第19条第1項に基づく総務大臣の承認を受けた一般統計調査

3 調査の対象
調査は、①全国の裁量労働制が適用されている事業場(以下「適用事業場」という。)を対象とする裁量労働制適用事業場調査(以下「適用事業場調査」という。)、②全国の 裁量労働制が適用されていない事業場(以下「非適用事業場」という。)を対象とする裁量労働制非適用事業場調査(以下「非適用事業場調査」という。)、③適用事業場において裁量労働制が適用されている労働者(以下「適用労働者」という。)を対象とする裁量労働制適用労働者調査(以下「適用労働者調査」という。)及び④非適用事業場における 裁量労働制対象業務従事労働者(裁量労働制が適用される業務に相当する対象業務に従 事する労働者をいう。)(なお、適用労働者との対比の観点から単に「非適用労働者」と いう場合もある。)を対象とする裁量労働制非適用労働者調査(以下「非適用労働者調査」 という。)の4調査からなる。

①適用事業場調査 
(母集団名簿整備のための事前確認(以下「事前確認」という。)及び本体調査)
平成27~29年度に労働基準法(昭和22年法律第49号)の規定に基づき専門業務型裁量労働制に関する協定(有効期間の終期が平成30年3月以降のもの)を届け出た事業場及び平成29年度下半期に労働基準法の規定に基づき企画業務型裁量労働制に関する報告を行った事業場全て(廃業又は適用廃止が明らかな事業場及び当該協定届又は報告において該当労働者がいない事業場を除く。)を対象とする。

 ②非適用事業場調査
(実態把握のためのプレ調査(以下「プレ調査」という。))
事業所母集団データベース(平成 29 年次フレーム)における適用事業場を除く常 用労働者5人以上の民営事業場(日本標準産業分類(平成25年10 月改定)に定める大分類産業の A 農業、林業~Rサービス業(他に分類されないもの)までのうち、 適用事業場の業種として事前に確認されなかった C 鉱業,採石業,砂利採取業及び Q 複合サービス事業に属する事業場を除く。本体調査においても同じ。)のうち、適用事業場の地域・業種・労働者規模の構成を踏まえて無作為に抽出した事業場を対 象とする。
(本体調査)
事業所母集団データベースにおける適用事業場を除く常用労働者5人以上の民営事業場であって、プレ調査の結果、裁量労働制対象業務従事労働者がいると確認さ れた事業場の中から、適用事業場の地域・業種・労働者規模の構成を踏まえて無作為に抽出した事業場を対象とする。

③適用労働者調査
①の対象事業場ごとに、当該事業場における適用労働者から、業務ごとに適用労 働者の規模に応じて無作為に抽出した労働者を対象とする。

④非適用労働者調査
②の対象事業場ごとに、当該事業場における裁量労働制対象業務従事労働者から、 業務ごとに当該業務に従事する労働者の規模に応じて無作為に抽出した労働者を対象とする。

4 主な調査事項
(1) 適用事業場と非適用事業場それぞれについて、労働時間、業務遂行における裁量の程度、今後の裁量労働制に対する意見(対象労働者の範囲等)

(2) 適用労働者と非適用労働者それぞれについて、労働時間、健康状態、業務遂行における裁量の程度、今後の裁量労働制に対する意見(対象労働者の範囲等)

 (3) 適用事業場において求められる措置(同意(撤回)手続、健康・福祉確保措置、苦情処 理措置、労使委員会等)の実態等 

5 調査系統、方法
 (1) 調査系統
ア 適用事業場調査、非適用事業場調査
調査票(事業場票)の配布:厚生労働省-調査受託者(以下「受託者」という。)-報告 者(調査対象事業場)
調査票(事業場票)の回収(郵送・オンライン):報告者-受託者-厚生労働省

イ 適用労働者調査、非適用労働者調査
調査票(労働者票)の配布:厚生労働省-受託者-調査対象事業場-報告者(調査対象事 業場の労働者)
調査票(労働者票)の回収(郵送):報告者-調査対象事業場-受託者-厚生労働省
調査票(労働者票)の回収(オンライン):報告者-受託者-厚生労働省

 (2) 調査方法
受託者から調査対象となる事業場に、適用事業場調査(事前確認を含む。)、非適用 事業場調査(プレ調査を含む。)、適用労働者調査及び非適用労働者調査に係る調査票を郵送により送付する。適用労働者調査及び非適用労働者調査については、事業主から労働者に調査票の配布を行う。適用事業場調査及び非適用事業場調査は事業主が、適用労働者調査及び非適用労働者調査は労働者がそれぞれ回答を行う。

6 調査の期日
令和元年(2019年)10月31日
なお、事前確認、プレ調査及び本体調査は次の期間に実施した。 
・事前確認及びプレ調査:令和元年8月~令和元年9月
・本体調査:令和元年11月~令和元年12月<以下略>(資料1「裁量労働制実態調査結果概要」抜粋)

裁量労働制実態調査の結果概要

公表された「裁量労働制実態調査結果概要」には、裁量労働制実態調査「結果の概要」が記載されている。

結果の概要
1 適用事業場調査
(1) 裁量労働制の対象業務別労働者割合
適用労働者がいる適用事業場における常用労働者(短時間労働者を除く。以下同じ。)に対する適用労働者の割合は、適用労働者の合計では 24.6%、うち専門型裁量労働制の適用労働者は 20.9%、企画型裁量労働制の適用労働者は 3.8%である。
適用労働者がいる適用事業場における適用労働者の合計に対する専門型裁量労働制の適用労働者の割合は 84.8%、企画型裁量労働制の適用労働者の割合は 15.2%である。
適用労働者の合計に対する対象業務別の専門型裁量労働制の適用労働者割合は、「情報処理システムの分析・設計の業務」(24.8%)が最も高く、次いで、「新商品・新技術の研究開発又は人文科学・自然科学に関する研究業務」(20.4%)、「大学における教授研究の業務(主として研究に従事するもの)」(15.1%)である。

(2) 裁量労働制の対象業務別事業場割合
適用労働者がいる適用事業場における、専門型裁量労働制の適用労働者がいる事業場の割合は 87.3%、企画型裁量労働制の適用労働者がいる事業場の割合は 22.9%である。
適用労働者がいる適用事業場における対象業務別の専門型裁量労働制の適用労働者がいる事業場割合は、「情報処理システムの分析・設計の業務」(29.0%)が最も高く、次いで、「新商品・新技術の研究開発又は人文科学・自然科学に関する研究業務」(20.7%)、「デザイナーの業務」(17.0%)である。

(3) 1日の所定労働時間階級別事業場割合、1日の平均所定労働時間数
適用労働者がいる適用事業場における1日の所定労働時間階級別事業場割合は、「8時間」(47.1%)、「7時間30分超7時間45分以下」(19.4%)などとなっている。
また、1日の平均所定労働時間数は、適用労働者がいる適用事業場では7時間43分、専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場では7時間 45 分、企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場では7時間36分である。

(4) 1週間の所定労働時間階級別事業場割合、1週間の平均所定労働時間数適用労働者がいる適用事業場における1週間の所定労働時間階級別事業場割合は、「40時間」(47.7%)、「38時間超39時間以下」(19.2%)などとなっている。
また、1週間の平均所定労働時間数は、適用労働者がいる適用事業場では38時間39分、専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場では38時間51分、企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場では37時間55分である。

(5) 労働時間の状況の把握方法別事業場割合
専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における労働時間の状況の把握方法別事業場割合は、「タイムカード・IC カード」(44.3%)が最も高く、次いで、「自己申告」(35.2%)である。
企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における労働時間の状況の把握方法別事業場割合は、「PC のログイン・ログアウト」(36.3%)が最も高く、次いで、「タイムカード・IC カード」(29.5%)である。

(6) 1日のみなし労働時間階級別事業場割合、1日の平均みなし労働時間数適用労働者がいる適用事業場における1日のみなし労働時間階級別事業場割合は、事業場別の日数平均 1)では、「7時間45分超8時間以下」(22.8%)、「8時間45分超9時間以下」(17.4%)、「7時間30分超7時間45分以下」(12.9%)などとなっている。
適用労働者がいる適用事業場における1日の平均みなし労働時間数は、適用労働者がいる適用事業場においては、事業場別の日数平均を用いた単純平均 では8時間30分、労働日数加重平均では8時間14分である。
専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、事業場別の日数平均を用いた単純平均では8時間33分、労働日数加重平均では8時間16分である。
企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、単純平均では8時間17分、労働日数加重平均では8時間9分である。

(7) 1か月の労働時間の状況の1日当たり平均の階級別事業場割合、1日の労働時間の状況の平均
適用労働者がいる適用事業場の1か月の労働時間の状況の1日当たり平均の階級別事業場割合は、事業場別の日数平均では、「8時間45分超9時間以下」(11.1%)、「8時間30分超8時間45分以下」(11.0%)、「9時間超9時間15分以下」(10.1%)などとなっている。
適用労働者がいる適用事業場における1日の労働時間の状況の平均について、適用労働者がいる事業場においては、事業場別の日数平均を用いた単純平均では8時間45分、労働日数加重平均では8時間44分である。また、1か月の労働時間の状況の平均(1人当たり)及び1か月の労働日数の平均(1人当たり)については、それぞれ171時間36分、19.64 日である。
専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、事業場別の日数平均を用いた単純平均では8時間43分、労働日数加重平均では8時間41分である。また、1か月の労働時間の状況の平均(1人当たり)4)及び1か月の労働日数の平均(1人当たり)については、それぞれ170 時間34 分、19.63 日である。
企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、単純平均 では8時間53分、労働日数加重平均では9時間0分である。また、1か月の労働時間の状況の平均(1人当たり)及び1か月の労働日数の平均(1人当たり)については、それぞれ176時間50分、19.64 日である。

(8) 裁量労働制の導入理由、評価別事業場割合
専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における裁量労働制の導入理由別事業場割合は、「労働者の柔軟な働き方を後押しするため」(75.5%)が最も高く、次いで、「効率的に仕事を進めるよう労働者の意識改革を図るため」(50.8%)である。
企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における裁量労働制の導入理由別事業場割合は、「労働者の柔軟な働き方を後押しするため」(67.7%)が最も高く、次いで、「効率的に仕事を進めるよう労働者の意識改革を図るため」(65.2%)である。
専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における裁量労働制の導入理由に対する評価として「効果があった」と回答があった事業場の割合を導入理由別にみると、「労働者の柔軟な働き方を後押しするため」(85.6%)、「業績に基づく評価制度の実効性を高めるため」(80.9%)などとなっている。
企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における裁量労働制の導入理由に対する評価として「効果があった」と回答があった事業場の割合を導入理由別にみると、「労働者の要望に応えるため」(93.8%)、「業績に基づく評価制度の実効性を高めるため」(93.2%)などとなっている。

(9) 裁量労働制の適用要件別事業場割合
専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における裁量労働制の適用要件別事業場割合は、「職種(事務職、営業職、専門職など)」(75.1%)が最も高く、次いで、「労働者本人の同意」(46.3%)である。
企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場における裁量労働制の適用要件別事業場割合は、「労働者本人の同意」(97.2%)が最も高く、次いで、「一定の人事等級以上(職能クラスなど)」(68.0%)である。<以下略>(資料1「裁量労働制実態調査結果概要」抜粋)

追記:裁量労働制実態調査結果に関する報道

昨日(2021年6月25日)、裁量労働制実態調査結果を厚生労働省が公表したが、共同通信は「1日の平均労働時間は適用されない労働者より約20分長く、週平均でも2時間以上上回った。制度が必ずしも長時間労働の抑制につながっていない現状が浮き彫りになった」と報じた。

NHK NEWS WEBは「裁量労働制で働く人の労働時間はそうでない人と比べて長く、長時間労働の割合も多いことが、厚生労働省が初めて行った実態調査で分かりました。厚生労働省は来月(2021年7月)、有識者の検討会を設置し、裁量労働制の適用業務を拡大すべきかなどの検討を始める方針」と報じた。

上西充子・法政大学教授は自身のツイッターアカウントで「異常データを多数含む調査結果が法案提出の前提となる労政審に提出されていたため、裁量労働制の実態把握からやりなおす必要があるということになり、改めて調査をやりなおし、その結果が今日発表されたということ。そしてやはり、裁量労働制の方が労働時間は長かった」とツイート。

また上西教授は「で、なぜ調査をやり直したかと言えば、2018年に働き方改革関連法案から裁量労働制の拡大が削除された直後から、経済界は再度拡大のための法改正を、と求めていたからなわけです。つまりデータが出て、また議論がはじまる」と、つづけてツイートしている。

再び、2018年以来になる裁量労働制適用拡大に向けた労働基準法改正(または改悪)の「議論がはじまる」ということだが、厚生労働省が新たな検討会(有識者会議)を来月(7月)に設置する方針、とNHKが報じるように新たな検討会で議論されることになる。

追記:毎日新聞「裁量労働制、適用者の勤務時間長く 厚労省調査 制度見直しへ」

毎日新聞デジタル版(「裁量労働制、適用者の勤務時間長く 厚労省調査 制度見直しへ」2021年6月25日配信)は「厚生労働省は25日、裁量労働制に関する調査結果を公表した。1日の平均労働時間は、裁量労働制は9時間で、適用されない人の8時間39分より長かった。あらかじめ定めた『みなし労働時間』より長く働いていることも判明した。厚労省は7月にも有識者検討会を設置し、制度の見直しに着手する」と報じた。

調査は2019年11~12月、事業場と労働者に対し、それぞれ労働時間や制度への意見を尋ねた。

労働者への調査では、1日の平均労働時間は適用されている人が21分長かった。週60時間以上の勤務は、適用されている人は8・4%、されない人は4・6%だった。また「みなし労働時間」は1日平均7時間38分に対し、実労働時間は平均9時間で、給与が支払われるみなし時間より長かった。

裁量労働制は、経済界から「仕事の効率化や柔軟な働き方ができる」として対象拡大の要請が強い。政府は18年に成立した働き方改革関連法の法案提出時には、企画型の対象を一部の営業職にも拡大する内容を盛り込んでいた。一方、労働者側は「『定額働かせ放題』の制度だ」と批判。同年1月の国会審議で当時の安倍晋三首相が「裁量労働制で働く人の労働時間は一般より短いというデータもある」と答弁したが、基になった厚労省の調査に不適切なデータが多数見つかったため撤回され、法案から対象拡大部分が削除された。

厚労省は検討会で調査手法を見直し、今回の結果をまとめた。厚労省の黒澤朗・労働条件政策課長は「裁量労働制の方が時間が長いというのが正しい実態だ。結果を踏まえ、制度全般を幅広く議論していく」と述べた。毎日新聞デジタル版「裁量労働制、適用者の勤務時間長く 厚労省調査 制度見直し」抜粋、2021年6月25日配信)

追記:NHK「裁量労働制で働く人 長時間労働の割合多い 厚労省が初調査」

NHK NEWS WEB(「裁量労働制で働く人 長時間労働の割合多い 厚労省が初調査」2021年6月25日配信)は、「裁量労働制で働く人の労働時間はそうでない人と比べて長く、長時間労働の割合も多いことが、厚生労働省が初めて行った実態調査で分かりました。厚生労働省は来月、有識者の検討会を設置し、裁量労働制の適用業務を拡大すべきかなどの検討を始める方針です」と報じた。

厚生労働省は、裁量労働制について初めて実態調査を行い、おととし10月時点の状況について、1万4000余りの事業所とおよそ8万8000人の労働者から回答を得ました。

それによりますと、1日平均の労働時間は、裁量労働制で働く人は9時間、そうではない人は8時間39分で、裁量労働制で働く人がおよそ20分長くなりました。

また、1週間の労働時間が60時間を超えた人の割合は、裁量労働制で働く人は9.3%、そうではない人は5.4%で、裁量労働制で働く人は長時間労働の割合も多くなっています。

午後10時から午前5時までの深夜時間帯の仕事について「よくある」「ときどきある」と回答したのは、裁量労働制で働く人は34.3%、そうでない人は17.8%となりました。

労働時間の把握方法は、裁量労働制で働く人は、
▼「自己申告」が32.5%、
▼「タイムカード・ICカード」が32.2%、
そうでない人は、
▼「タイムカード・ICカード」が44.6%、
▼「自己申告」が26.4%でした。

裁量労働制で働く人に仕事の内容や量などの裁量を聞いたところ、「企画型」の場合「上司に相談のうえ、自分が決めている」が45.4%と最も多く、次いで「上司が自分に相談し決めている」が25.3%となった一方「自分に相談なく上司が決めている」が6.8%でした。

また、裁量労働制で働く人に制度について意見を聞いたところ、
▼「今のままでよい」が34.1%、
▼「特に意見はない」が28.4%、
▼「制度を見直すべき」が28%となりました。

一方、導入した事業所に理由を聞いたところ「柔軟な働き方を後押しするため」や「効率的に仕事を進めるよう意識改革を図るため」などの意見が多くなりました。

裁量労働制の対象労働者の範囲を見直すべきだと答えた事業所では「対象範囲が狭い」という意見が多くなりましたが、働く人からは「対象範囲が不明確」「対象範囲が広い」などの声が相次いでいます。

裁量労働制をめぐっては、3年前に成立した働き方改革関連法で当初、適用業務の拡大が盛り込まれましたが、厚生労働省の調査に多くの不備が見つかり、法案から削除されました。

厚生労働省は来月、有識者の検討会を設置し、裁量労働制の適用業務を拡大すべきかなどの検討を始める方針です。(NHK NEWS WEB「裁量労働制で働く人 長時間労働の割合多い 厚労省が初調査」抜粋、2021年6月25日配信)

追記:厚生労働省サイト裁量労働制実態調査リンク

裁量労働制実態調査詳細については次の厚生労働省公式サイトおよびe-Stat(政府統計ポータルサイト)のページに。

裁量労働制実態調査(厚生労働省公式サイト)

裁量労働制実態調査 結果の概況(厚生労働省公式サイト)

裁量労働制実態調査(e-Stat、政府統計ポータルサイト)