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裁量労働制拡大とハラスメント防止法について政党が衆議院選アンケートに回答

労働弁護団・労働政策に関する政党アンケート

衆議院議員選挙(総選挙)投票日が明後日(2021年10月31日)と迫っているが、日本労働弁護団が各政党に今後の労働法制を含む労働政策に関するアンケートを行い、(2021年10月21日)その結果をサイトにて発表。

労働政策に関する政党アンケートの発表(日本労働弁護団サイト)

裁量労働制の対象業務の拡大に賛成ですか?

労働政策に関する政党アンケート結果によると、「現在、厚労省内の『これからの労働時間制度に関する検討会』で裁量労働制の制度改革案などについて検討されていますが、裁量労働制の対象業務の拡大に賛成ですか」との質問に対して、各政党が次のとおり回答。

自由民主党
「その他」と回答し、「裁量労働制については、今後、制度の趣旨にかなって、労使双方に有益な制度として活用されるよう、裁量労働制実態調査の結果や、労使の現場での運用状況等を踏まえ、丁寧に検討を進めていくべきと考えます」と。

立憲民主党
「反対」と回答し、「裁量労働制については、制度の乱用・悪用による健康被害などが生じているとともに、長時間労働の温床となっていることから、なし崩しの適用拡大は認めません。健康管理時間(社内と社外での労働時間の合計)の把握と記録を義務付け、それを上限規制の範囲内とすることを制度導入の要件とするといった規制強化によって制度の適正化を図るべきです」と。

日本共産党
「反対」と回答し、「裁量労働制は長時間労働の温床になっています。企画業務型裁量労働制を廃止し、専門業務型裁量労働制は真に専門的な業務に限定し、要件と運用を厳格化します」と。

国民民主党
「長時間労働の温床となっている『裁量労働制』の厳格化、労働時間管理の徹底、違法残業など法令違反に対する罰則の強化など、実効性のある規制を定めた『安心労働社会実現法』を制定します」と。

社会民主党
「反対」と回答し、「労働時間の管理が疎かになり、長時間労働が放置されることに繋がるから」と。

れいわ新選組
「反対」と回答し、「実際には裁量も自由もないのに裁量労働制が適用されているなど乱用がある。長時間労働は生産性向上につながらない」と。

NHK党
「条件付きで賛成」と回答し、「自宅等でのサービス残業に繋がらないように配慮することを前提とした上で検討すべきと考えます」と。

ハラスメント防止法を作ることに賛成ですか?

また、労働政策に関する政党アンケート結果によると、パワハラ・セクハラ・マタハラはもちろん、カスタマーハラスメントや就活セクハラなども含め、あらゆるハラスメントについて禁止し、被害者を救済するための手段の創設などを内容とするようなハラスメント防止法を作ることに賛成ですか」との質問に対し、各政党が次のとおり回答。

自由民主党
「その他」と回答し、「わが国では、昨年6月に妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを含め、職場におけるハラスメント防止対策の強化を図る改正法が施行されたばかりであることから、ハラスメントのない職場づくりに向けて、まずは、改正法や指針の内容の周知・啓発、適切な腹行確保等を通じ、改正法の着実な施行に取り組む必要があると考えます。その上で、改正法の施行状況等も踏まえ、必要な対応を検討すべきと考えます」と。

立憲民主党
「賛成」と回答し、「2020年6月に、フリーランス、就活中も含めセクハラ禁止を明記した『セクハラ』禁止法案を衆議院に提出しました。また、
あらゆる形態のハラスメントを禁止する法制の整備を目指します」と。

日本共産党
「賛成」と回答し、「ILO条約は、保護する対象、規制する場所、政府の役割、被害者の救済と加害者への制裁などを包括的に規定しています」と。

国民民主党
「賛成」と回答し、「パワハラ・セクハラに対して、労働者を保護するための新たな義務を事業者に課す法律を制定します。また、就活生やフリーランスとして働く人に対するセクハラも含め、セクハラ行為を法律で禁止します。悪質クレームの被害から労働者を守るための『悪質クレーム対策推進法』を制定します」と。

社会民主党
「賛成」と回答し、「労働環境の保全・改善のため」と。

れいわ新選組
「賛成」と回答し、「条約を批准して国内法整備すべきだ」と。

NHK党
「条件付きで賛成」と回答し、「不要にハラスメントを訴えられたことによるハラスメントの被害の声が出る(ハラハラ)等、非常にセンシティブな内容の為、主旨目的に即した法となるよう十分な議論が必要であると考えます」と。

2021年衆院選政党アンケート回答結果一覧(PDFファイル)

2021年衆院選政策アンケート簡略版(PDFファイル)

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