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リモートワークをほんとにほんとに定着させて欲しい、という話
緊急事態宣言が解除された。第二波が来る可能性はあるけれど、ひとまず「もとの生活」に戻っていくらしい。企業の中にも、リモートワークをやめて通常のオフィス出勤スタイルに戻していくところがまあまああるようで、ツイッターなどでも「出勤嫌だなぁ」「満員電車乗りたくない」という声が聞こえてくる。
ここまでみんなが意識を集中させて「リモートワーク」について考えている時間もそうないだろうから、せっかくだから書くことにした。
リモートワーク、続けて欲しい。
ほんとにほんとに、定着させて欲しい。
もちろん、面倒なこともたくさんあると思う。
腰を痛めないように椅子を買ったりとか、通信環境を整えたりとか、ハンコ文化がなかなかなくならないとか、そもそもパソコン周りが苦手だよとか。大変だし面倒臭いし、そりゃあだるいかもしれない。
でも、それで解決する問題がたっくさんある。
「満員電車に乗らなくて良い」とか「オフィスを都心に構えなくて済む」とか「通勤時間を短縮できる」とかそういうメリットはもちろんあるけれど、そういうことじゃない部分で、もっと本質的に救われる人がたくさんいる。
例えば私は1年半ほど前にパニック障害になって、会社を休職した。一年ほど休んだのち、今年に入って退職した。
パニック障害は、(人によってシチュエーションは異なるものの)突然発作が起きる病気だ。「パニック」という名前がついているから誤解されやすいけれど、別に発狂するわけじゃない。息が苦しくなったり冷や汗がとまらなくなったりめまいがしたりする。
発作が起きる場所・状況は人によって異なるものの、多くの人は「乗り物」にのると発作が起きやすくなる。最たる例が、電車。電車のような狭くて密閉した空間で体が拒否反応を起こして発作を起こしてしまうケースが多い。
つまり、「会社にいく」というのが難しくなる。逆に言ってしまえば、「会社に着きさえすれば」普通に働ける人も十分にいるのだ。(もちろん人によるけれど)
残念なことに、私が所属していた会社にはリモートワークの制度がなかった。「会社にいく」という、ただそれだけができないだけで、私は働くことを諦めざるを得なかった。
「会社にいくこと」「会社にいること」が世間では重要とされているんだ、と感じた時、虚しさややるせなさでいっぱいになった。すっごく悲しかった。悔しかった。これまでの数年間はなんだったんだ、と。
私のことは「何を今更」という話だけれど、「何を今更」じゃない状況の人がいっぱいいるはず。今まさに、働きたくて働けない人が。いっぱいいる。ほんとにたくさん。こんな事例は、きっとゴロゴロある。声を大にして言う人が少ないだけで。
病気だけじゃない。体に障害があるひと、ハンディキャップがあって通勤が困難なひと。家に介護が必要な家族がいるひと。ずっと手が離せないわけじゃないけれど、家を空けられない事情があるひと。小さい子供がいて、熱を出したら会社にいけないひと。
「リモートワーク」があれば、そういう人たちが「選択肢」を持つことができる。
会社でも働ける。でも、リモートでも働ける。
それで良い。選択肢が一つ増えるだけで、ものすごくものすごく救われる人がいると思うのだ。社会参加したくてもできない人、自分でお金を稼ぎたいけれど状況がそうさせてくれない人。そういう人たちが働く選択肢を持つことで、社会の基盤は、ずっとずっと強くなると思う。
「十分な体力があって」「十分に健康で」「決まった時間に決まった場所にいくことが可能で」「それが許される家庭環境がある」そんな限られた属性の人たちだけが社会参加できる世の中、というのは、あまりに貧弱だと思う。口ではダイバーシティがどうだ、とか言っていても、リモートワーク一つ叶えられないんじゃ、どうしようもない。
もちろん、全ての仕事においてリモートの環境を整えることは難しいと思う。その場にいないとできない仕事もあると思う。それこそ医療従事者とか。メインは会社、であっても良いと思う。そうした方が良い場合もきっとある。
それでも「選択肢があること」が重要な役割を果たすと思っている。長い目で見た時に、「選択肢があること」が人を救うし、いずれは自分を救う。きっとそうだと思う。
属性、というのは、グラデーションになっている。白か黒か、じゃない。性別にもグラデーションがあるように、人の「状況」も刻一刻と変わる。今、何不自由なく会社に行っている人も、いつどこで変化を迫られるかわからない。
逆に言えば、今小さい子供がいる人は、「永遠に」小さい子供を抱えて働くわけじゃない。今病気の人は「永遠に」病気であるとも限らない。そうやって人の人生は変化していくのに、働き方だけ画一的なものを求めるのは、おかしい。私だってあなただって、係長だって社長だって、人生は変化していくはずなんだ。
そう思うと、働き方が多様であることは、全員にとってメリットのあることだと思う。
「リモートワーク」は、「意識改善」なんかよりずっと簡単なはずだ。至極論理的で、物理的なことなはずだから。本当にダイバーシティを目指すのなら、リモートワークは良い「きっかけ」「手がかり」「スタートダッシュ」になると思う。
だから、せっかく半強制的にリモートをやらされた今、元に戻るんじゃなくて、どうかどうかリモートワークを続けて、定着させて欲しいと、心から思う。ほんとに、お願いします。
ついでに、、、、
こういうことは「今、何不自由なく会社に行ける人」が主張するのが一番効果的だと思う。いわゆる「強い」人。
悲しいことに、今はまだいわゆる「弱者」の声に十分に耳を傾けてもらえる社会ではないようで、なんだかんだでかき消されてしまいがちだと思う。だから、環境が整っている人こそ、声をあげて欲しい。リモート続けた方が良いんじゃないですか、って。
選択肢を増やすことは、目の前の困っている誰かだけじゃなくて、未来の自分を助けることになるはず。
誰もが自分の意思を大切にしながら働ける社会になりますように。
私は今は外野だけれど、外野は外野なりに、声を出していければと思います。(まだまだ勉強中の身なので、抜けている視点もたくさんあると思いますが、こういう発信を通じて勉強させてください)
リモートワーク、ほんとにほんとに定着して欲しいな。面倒とか難しいとか色々あるだろうけど、選択肢が増えるってことが大事だと思う。「リモートで働く」という選択肢があるっていうことが。これだけで、これまで体に障害があるとか家をあけられないとかで働けなかった人がどれだけ社会参加できるか。
— さえ (@sae8320) May 25, 2020
いろんな特徴を持った人が働ける選択肢があるっていうことが社会の基盤を強くすると思うのよなぁ。自分がパニック障害になって交通機関を使えなくなった時、リモートワークの制度があればきっと働き続けられたと思うんだよな。体が思い通りに動かなくなった時に初めて→
— さえ (@sae8320) May 25, 2020
「会社にいること」が大事とされることの虚しさとやるせなさを痛感した。事情は違えど似たような気持ちになったことのある人はたくさんいるんじゃなかろうか。障害があるひともそうだし、子供が急に熱出た時とか。ゴリマッチョ思考男性が死に物狂いで働くだけの社会の、何が強いの?と思ってしまう。
— さえ (@sae8320) May 25, 2020
どういう働き方を主軸とするか、には議論の余地はあると思う。業種によって異なると思うし。でも選択肢を増やす努力は長い目でみてやっていくべきだと思うなぁ。一市民としては言っていくけど、経営者や人事関係の方、本当にお願いしたい。最初は大変でも、定着さえすれば良いことがいっぱいあるはず。
— さえ (@sae8320) May 25, 2020
Sae
「誰しもが生きやすい社会」をテーマに、論文を書きたいと思っています。いただいたサポートは、論文を書くための書籍購入費及び学費に使います:)必ず社会に還元します。