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食わず嫌いにオススメしたいドリカム12選

普段、ジャンル問わずさまざまな人にインタビューしている私ですが、

なんでこの仕事してるかって、「いつかドリカムの取材するため」と言っても過言ではないくらい、人生の大半を影響受けて育っているのが、DREAMS COME TRUEです。

(「いつか取材する」のが夢のわりにむちゃくちゃ遠回りしてることは気づいている…)

と言っても、わりと後追いファンでして、なぜなら小学校卒業するまで我が家にはCDラジカセがなく、はじめて買ったCDは「ほんとはもうすぐ発売される『DELICIOUS』(1995)が欲しいけど、とりあえず何を買ったらいいかわからないから、それまで日本でいちばん売れた『The Swinging Star』(1992)を買おう」ってなったくらい情報がなかったのです(ゆえに当然、伝説のワンダーランド'95はチケットが既に売り切れていたため行けなかった…)(ファン的には「DWL95観てないやつはモグリ」並みの扱いされるやつ)。

でも、これはファンになって25年来感じていることなのですが、

「ドリカム、なかなか評価されない問題」

少し前にマツコさんの番組に中村正人さん(いいですか、担当楽器はギターではありません、ベースです。そして楽曲の大半を編曲しているサウンドの要です)が「ドリカムアレルギーを克服させたい」という趣旨で出演していましたが、ほんとまぁ、とかく「語る言葉を持つ人」からの支持率がむちゃくちゃ低い。音楽評論の俎上に載った記憶もほとんどないし、あっても批判的に書かれるばかり。ロキノンにもたぶんロクに載ったことありません。

これは個人的に思うに、他の人気アーティストには強固なファンコミュニティがあって、楽曲やクリエイティブについて語り合ったりして、熱狂を“自家発電”してるんだけど、ドリカムの場合、どうしてもファンの大半が吉田美和さんこと「美和ちゃん至上主義」というか、ある種信仰の対象として崇めているため、議論が深まらないのではないか、という仮説を持っています。

で、おそらく非ファンはここに拒否反応を示しているところがあるのではないか、と。よく「元気の押し売り」的な言説を見るのですが、ここで私は、メンタリティが極めてマイノリティ寄りのドリカムファンとして声を大にして言いたい。

「ドリカム、それだけじゃない!」

「リア充臭がつらい」「陰キャには縁遠い存在」的な意見もよく見ますが、そういう曲ばかりではない。いやいや、ドリカムの良さはマイナー曲にこそあるのです。

そしてなんとドリカム、来年30周年を迎えるということで、突然YouTubeの公式チャンネルに大量のMVやライブ映像を放流しはじめました。が、いかんせんファンのボリューム層が年齢高めだからか、全然再生数が伸びてません。4th Album『MILLION KISSES』の名曲『銀河への船』のライブ映像ですら公開から1カ月ちょいでまだ約3800回再生ですよ…。

というわけで、誰に頼まれたわけでもなく、仕事も山積していますが、(そして今週土日は横浜アリーナでライブだし)「食わず嫌いにオススメしたいDREAMS COME TRUE12選」をお届けしたいと思います。
(※全5,000字超えなので、とりあえず動画再生するだけでも…!)

『あなたに会いたくて』(1st『Dreams Come True』(1989)収録)

はい、まごうことなきメジャーデビュー曲。ドリカムのデビューは1989年つまり平成元年なので、平成を代表してもいいのではないか、と声を大にして言いたい。30年近く前の楽曲ですが、むしろ最近80〜90年代サウンドがリバイバルしてるので、全然古くさくない。むちゃくちゃかっこいい。なお、私がチラッと呟いたところ、ソウルファンの友人からタレコミがありまして、

うっわマジじゃん。知らなかった。ググっても全然その情報出てこなかった。(そのくらいファンダムに論壇がない…)でも元ネタのいなたさよりも当時のUKソウルっぽくソフィスティケイテッドされてる。(ちなみに1stから8thの『LOVE UNLIMITED∞』まではサウンドプロデューサーとして、SADEMAXWELLなどを手がけたMIKE PELAが関わっています)

『LAT.43°N』(2nd『LOVE GOES ON...』(1989)収録)

イントロのシンセでもれなく泣く遠距離恋愛ソングの決定版。別れの気配と降り積もる雪がシンクロする。サウンドに満ちる切迫感がなんとも言えない。ちなみにタイトルは「北緯43度」の意味で札幌あたりのこと。

『ESCAPE』(3rd『WONDER 3』(1990)収録)

タイトル通り、疾走感がやばい。サウンド的には「ドリカムファンク全部のせ」みたいな。ブラスセクションに若干EW&Fの『GETAWAY』み感じさせるのもニヤリとしてしまう。

『LOVETIDE』(6th『MAGIC』(1993)収録)

ファン的にはみんなが「千手観音のフォーメーション」に位置ついたら悲鳴があがるキラーチューン。当時美和ちゃんがライアル・ワトソンの『生命潮流』にインスパイアされたという抽象度高い歌詞は、女性シンガーソングライターがそれまであまり歌ってこなかった性愛をうまく描きだしている。

『雨の終わる場所』(6th『MAGIC』(1993)収録)

最近、車のCMでも起用されて話題になってる『go for it!』のカップリングだったこの曲ですが、雨のドライブの光景を描くだけでこんなに別れの予感ひしひし感じさせるのヤバくないですか?? 個人的にさっきの曲も含めて収録されている『MAGIC』は、爆発的人気を経た彼らの、野心と創造力が最大限に高まったタイミングでリリースされた、サウンド的にもリリック的にも大きなチャレンジをした傑作だと思っています(しかも美和ちゃんはベリーショートを越えた坊主頭に…)

i think you do(7th『DELICIOUS』(1995)収録)

1995年は、あのマイケル・ジャクソンのツアーをディレクションしたケニー・オルテガを演出・振付家として招聘して、日本各地の埋立地にどでかいドリームキャッチャー作って全50万人を集めたワンダーランドを開催し、キャリア最大のヒット曲『LOVE LOVE LOVE』をリリース(しかもドラマの劇伴も)したうえに美和ちゃんのソロアルバムも出すという、今思い返してもどうかしてるとしか言いようがない年なんだけど、その3月に発売されたアルバム『DELICIOUS』 収録のファンクチューン。少しずつ音色重ねて焦燥感高まる感じが好みすぎる。

『SWEET REVENGE』(8th『LOVE UNLIMITED∞』(1996)収録)

もうこれはとにかくイントロのマサさんのスラップベースと美和ちゃんのスキャットの絡みを聴いてくれ……! MVもいちばん好きかも。ちなみにアルバムのジャケットもDavid BowieやBjorkなどを撮った写真家アントン・コービンが撮影していて最高にクール。

『月光』(9th『SING OR DIE』(1998)収録)

ファンの間では「暗黒期」と評されることも多いアメリカ進出期ですが、その1作目『SING OR DIE』は心臓の鼓動をサンプリングしたオープニングテーマからシームレスに始まる『愛するこころ』、そして本編ラストを『月光』で〆てる時点で私の中で神作品と言って過言ではないです。これ一曲でミュージカルを一作観たみたいな感慨がある。「生まれ変わりたくなどない この生であなたと終わりたい」ですよ??

『24/7』(11st『monkey girl odessey』(2001)収録)

ショートフィルムとして公開されたMV全編を観たときはほんと度肝抜かれたんだけど、楽曲としては「2000年時点でしっかりジブさんことZEEBRAと共演してた」という意味でも

このclub mixが好きです。いま思い返せばこの頃がいちばんコラボづいてたかも。MISIAとの『I miss you~時を越えて~』や村上“ポンタ”秀一らのプロジェクト3VIEWSF.O.H(Full Of Harmony)での客演…(F.O.Hのは配信すらされていない模様…サブスク解禁していただけますと…何卒…)

『IT'S ALL ABOUT LOVE』(『LOVE OVERFLOWS -ASIAN EDITION-』(2004)収録)

楽曲としては2002年に発表されてたんだけど、なにぶんこの時期、USとの契約切れでインディーズからの再出発となりまして…。でも「英語でしか表現できない詞世界がある」という意味で、本当はアメリカで発売されるはずだった(けど発売できなかった)『LOVE OVERFLOWS』がとても好き。表題曲は『LOVE UNLIMITED∞』に収録されていた『しあわせなからだ』を英訳したもので、この曲がまさにアメリカ契約のきっかけになったとのこと。(が、直後レーベル社長が退任し、紆余曲折あったらしい…)『IT'S ALL ABOUT LOVE』然り、『CHRYSALIS OR BUTTERFLY』然り、9.11を目の当たりにしたことや、後年「チタンの壁に縫い針で穴を開ける」ようなものだったと振り返ったアメリカでの経験を踏まえた、ビターだけどそっと寄り添ってくれるような歌詞が胸に響く。いい意味で「ドリくささ」が抜けてアメリカンポップスのマナーに則っていて、たぶんこのアルバムがいちばん食わず嫌いの人にはオススメできるかも。

『NOCTURE001』(14th『AND I LOVE YOU』(2007)収録)

歌い出しの歌詞からもう「出会った時の気持ちを 冷凍保存できればいいのに」それな、としか言いようがない最高。美和ちゃんの平熱で歌う感じ、楽曲としてはそんなに多くないんだけど、個人的に好きです。音数少なめで軽くUKガラージ風味のエッジィなサウンド。

『ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE』(17th『ATTACK25』(2014)収録)

YouTubeですらないけど、近年作でいちばん好きな『ATTACK25』はなんとしてでも紹介したい。16曲入りというボリュームもさることながら、白眉は1曲目『THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC』から8曲目『MORE LIKE LAUGHABLE』までの「やりたいことやりきった」疾走感は、当時デビュー25周年迎えたベテランとは思えないくらいの瑞々しさですよ。『ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE』は久々にUKソウル的なアプローチで、初期のクールネスも感じさせる。歌詞の世界観としてはさっき紹介した『i think you do』の続編な気もするのだけど…。

他にも『IT'S TOO LATE』『MEDICINE』『かくされた狂気』『忘れないで』『涙とたたかってる』『愛してる 愛してた』『IT'S SO DELICIOUS』『嵐が来る』『make me your own』『カノン』『イノセント』『めまい』『TO THE BEAT, NOT TO THE BEAT』『軌跡と奇跡』『秘密』などなど偏りまくってるけどめちゃくちゃ勧めたい曲はまだまだたくさんありますが、今日はこの辺で……とか言いながら、

番外:吉田美和『beauty and harmony』(1995)

最後にやっぱりこれは挙げておきたい。美和ちゃんは1995年と2003年にソロ作を出しているのですが、この『beauty and harmony』は、「Marlena Shawの1975年作『Who Is This Bitch, Anyway?』のミュージシャンを起用してアルバムを作る」という半ば禁じ手を使った名盤。その後も蜜月関係が続くギタリストDavid T. Walkerをはじめ、ベースにChuck Rainey、ドラムスにHarvey Masonを起用。その他、サックスにBrecker BrothersのMichael Brecker、トランペットに元TOWER OF POWERのGreg Adams、パーカッションに『Just the Two of Us』作者としても知られるRalph MacDonald……という大物ミュージシャンたちが寄ってたかって名演奏を繰り広げています。しかもストリングスアレンジがGene Page。ちなみにソロ2作目は加えてピアノにJoe SampleとBob James、Randyも加わってBrecker Brothers揃い踏み…などなどわかる人が見たらキレそうな顔ぶれなので、どちらもつべこべ言わずに聴いてほしい(雑なフリ)。

というわけで、10月に発売されたばかりの新曲『あなたとトゥラッタッタ』は(一部のドリカムアレルギー気味な人からはネガコメあるようですが)NHK朝のテレビ小説『まんぷく』主題歌で、カップリング曲『THE WAY DREAM』は壮大なバラードと思うことなかれ、3:30過ぎたあたりから空気感ガラッと変わってここからが本番だってめちゃくちゃ高揚する感じなので、じっくり聴いてみて。

来年2019年はデビュー30周年、そして4年に1度のWONDERLANDだーー!!

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