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【小説】SNSの悪夢

何度目かのコーヒーを飲んで、レジをチラチラ見ていた、居なくなっているな。

そうか、もう数時間が経っている、休憩にでも行ったのかも知れない、ここでSNSの発信をすれば、あの女が俺に文句を言った張本人だと確定だ。

携帯に目を凝らして、SNSで何かつぶやいて居ないか、一挙に入って来る投稿を見る。

政治的な物も有れば、動物の写真だったり、一寸した知恵だったり、人に依って投稿は様々だ。

それにしても、少しの時間で35件とかが驚きだ、仕事でSNSを見るのが少なかったから、文句を言われたのが自分だけだと思っていたけど、有名人は殆ど問題になっている。

何を言っても問題視する人間は居るのか、自分だけでは無いと言ってもそれで納得できる訳では無い。

それにしても、全世界の人の呟きが見れると言っても、自分で選択しているのだから、こんなに見るものは無い筈だ。

それが一気に何十件も投稿されて、見ていられない程だ、世にはこんなに物を言いたい人間が居て、それ以上に反論する人間もいる。

この場所で流れてくる情報に惑わされず、自分で情報集めをして、正確な情報を手に入れる人間がどれほど居るんだろう。

ここに在る情報が正しくなくても、何度も何度も流れてきたら、間違いかも知れんと云う気持ちは引っ込んでしまうんだろう。

立花は携帯に流れる、主張たちを見つめつつ、あの女の投稿が無いかと目を凝らしていた。


やっと休憩だ、レジから出て休憩所に行って、やっとホッとして、座り込んでいた。

朝から感じた見つめられている感覚は、ここでは感じられない、やはりお客が見つめていたのかも知れない。

スーパーにはサービスカウンターがあって、問題があるとそちらに云って下さいと、促しているのだが、文句が言いたい人間はレジに来る。

カウンターに居る人間は直ぐに店長や副店長を呼べるが、レジはそうはいかない。

何の権限も無いのに、自分で判断してお客様の相手をしなければならない、レジなんて簡単だと言われるが、存外対応力が必要になる。

子どもも夫も、タダのパートなんでしょ、品物をスキャンしてお金を貰うだけでしょ、とバカにするが、そう思うならしてみればいいんだ。

クレーム対応は簡単では無い筈だ、それとも夫ならこんなのもこなすのか?
クレーマーは男にはあまり言わないから、男だってだけで勝ちなのかも知れない。

この所、イライラが止まらなくて、SNSの投稿もキツイ言葉に為ってしまう、匿名だから解らないだろうが、自分が特定されたら大変なんだろうな。

他人事の様に考えていた。






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