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【小説】恋の幻想

これから如何しよう、来ないのはそうだろうと思っていた、でも自分の生活をまだ考えてなかった。

自分もあの人と一緒じゃ無いの?なんて自己嫌悪に落ちながらも、この人が居て良かった、何とかここで次を考えよう。

人に拾われるのは初めてだったけど、いい他人だったからホッとした、裕子さんも優しいし。

笑える時間も増えてきて、人生って悪い時期ばかりじゃ無いんだなと思うようになって来た。

そう思って昔を忘れて働いてきた、良平さんとは兄より年が離れている、それでも何度も会ううちにその隣が居心地のいい場所になっていく。

裕子さんには話さないといけないとは思っていた、元婚約者だし言いたいことも有るかも知れない。

裕子さんが顔を見せたから、やっと今の私たちの付き合いを言ってみる、きっといいねーなんて言ってくれるのだと思っていた。

「あのね、良平とは婚約破棄したけど、私はまだ繋がっているんだよね、良平が良い人と結ばれるの見守りたいんだ。」この言葉は衝撃だ。

元婚約者ってそこまで相手を縛るのかな、そう考えながら良平さんを見ていると、「俺そんなに頼りなくないだろ、自分で出来るさ。」の言葉。

子供じゃ無いんだからって考えるのが普通だよね、私もそう思う。

「そうかもしれない、でも私は見ていたいんだよね、良い人過ぎるから。」裕子さんって私にもそうだけど、人が良過ぎるのかも知れない。

「大丈夫です、良平さんはしっかりしているでしょ、裕子さんが心配しなくても。」そう言って於こう。

「忍ちゃんが良い子だって思ってるけど、人間は解らないからね、私が必要なんだよ。」信頼されて無いんだなー。

「本当に何で婚約破棄しちゃったんですか?相手の事を思っているのに。」一番聞きたいところだ。

「良平は私の親族みたいなものなんだよ、だから結婚には向いていないんだ、だけど親族だから心配になる、それがここに来る理由なんだよ。」裕子さんの言葉は宙に浮いている。

「嘘つけ、男と上手くいかなくなったら、ここに来るくせに。」言っている良平さんは優しそうだ。

「確かに他の人と付き合って居る時期は来ないけど、気にしてるのは本当だよ。」お互いに思い合ってるみたい、何で別れていられるんだろう。

「仲いいんですね、また付き合ったりして。」嫉妬を込めて言ってみる、だって二人が仲良すぎ。

「だからー、そんなんじゃ駄目なんだって、そんな風に諦めてしまえるんだったら止めてしまいなよ、本当に好きだったらそんなこと言わないでしょ。」言われてしまった。

そんなつもりじゃ無かったんだけどな。


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