鈴幸

ご覧いただきありがとうございます。 長い話を書き出す前のアイデア出しと、練習を兼ねて。…

鈴幸

ご覧いただきありがとうございます。 長い話を書き出す前のアイデア出しと、練習を兼ねて。短い話や、まだ形にもならないメモ書きですが、書きなぐりを公開、更新していきます。そして新作ができるまでの過程を振り返られたらと思っています。

最近の記事

したいとは

あの出来事をふりかえる 毎日飽きずに同じ言葉を くりかえしくりかえしくりかえし 幾日も先を見据えながら 過去を過去とは思わずに したいとは思わずにしたい したいとは思わずに慕い 過去を過去とは思わずに 咲く花の彩は変わって行け したいとは思わずに慕う

    • 再生

      ツバメと花 2

      • 再生

        ツバメと花 1

        • 猫の行方2

           「職員室の前?それとも中?」 彼女は俺の心持ち前を歩きながら、顔をこちらに向けてそう訊ねた。 弁当を食べる前に一纏めにした髪は髪留めがとられて、さらりと揺れて明け放された窓の外からの風になびいている。 「廊下にリストがでていて・・・・」 うろ覚えの答えを彼女は少し鼻を膨らませて聞き入って、 「リスト?そこをまず見ないといけないの?」 「ああ、だって誰か間違えて持ってかれたりするかもしれないからね」 彼女はあまり見たことがないような険しい顔をして前を向いた。

        したいとは

          ガリレオとガリバーときどき間違えてしまう

          ガリレオとガリバーときどき間違えてしまう

          「土曜日」を紗都子に朗読してもらった。 https://twitter.com/sachisato/status/1267127729608028160?s=19

          「土曜日」を紗都子に朗読してもらった。 https://twitter.com/sachisato/status/1267127729608028160?s=19

          「土曜日」という短編を公開。秋山有紀子が席替え前に体験した一日。土曜日|鈴幸 @suzusatie #note https://note.com/sachisato/n/n3115737f0ded

          「土曜日」という短編を公開。秋山有紀子が席替え前に体験した一日。土曜日|鈴幸 @suzusatie #note https://note.com/sachisato/n/n3115737f0ded

          土曜日

          『土曜日』        作 鈴幸 一人はいい つまらないのがいい 自分勝手があたりまえの部屋から外へ出る 両手が空いていていい 人の手が足りないのもいい 「動物のアイデンティティとは?」 独り言をあえて会話文にして 好きな歌を恥ずかしいくらい感情を込めて歌う オーケストラが頭の中で奏ではじめる 笑おう笑おう 5月の三週目の土曜日。汗をかくかと思うほど蒸すような気がしていると、不意に鳥肌が立つような薄さむい予感がしてくる。生温い風がまるでのろのろ通り過ぎるように吹きぬけて

          土曜日

          久々にメモ書き小説の更新。のろのろな工藤くんと秋山さんの話。

          久々にメモ書き小説の更新。のろのろな工藤くんと秋山さんの話。

          猫の行方

           彼女の弁当バッグは取っ手の所にボールチェーンが掛かったままである。それには猫のマスコットが付いていたはずだった。 「スムージーってやっぱりどろどろ?」 いつもの野菜ジュースをやめて、新発売のを買ってみた。 「バナナが入ってるらしい」 毎日なんとなく、こんな会話を二人はしている。今日初めて会った人でも簡単にできるような、あとくされのない軽い感じの。感じはいいが、感情が伴わないような。ふんわりとした優しい感じで、ふっといなくなる。 「ふーん」 彼女が視線を前に戻すた

          猫の行方

          読書が大切だなぁ。樹木大図鑑にはまる夜。雨が降る。

          読書が大切だなぁ。樹木大図鑑にはまる夜。雨が降る。

          沙都子チャンネル on stand.fm https://stand.fm/channels/5e99db3086a7f4057716bea9 朗読がうまくなってきた人です。

          沙都子チャンネル on stand.fm https://stand.fm/channels/5e99db3086a7f4057716bea9 朗読がうまくなってきた人です。

          sundaysunday

          急な階段をよく目を凝らしながら背中を丸めて降りる。まだ先頭から3人目くらいの列ができていて、隆文はその後ろについた。見慣れた顔を見つけたが、一方的に知っているだけで、話したこともない奴だった。相手とは、なんとなく目があって、「お」という雰囲気を出し、相手は、「佐々木?」と話しかけてきた。隆文は、(うん)と、頷いただけだが、相手が満面の笑みを浮かべているので、つられて口許を緩めた。普段、出入りすることのない非日常の場所で、要らぬ緊張に興奮しているのが、互いに少し気恥ずかしいとい

          sundaysunday

          Pour acheter des vêtements

          家にいる時間はリビングで通信教育の課題をやるか、部屋で本を読むか、ランプとなにもしないでいるか。テレビをつけながら課題を広げて、合間に夕食を済ませると、10時頃には父親が帰宅する。後片付けはやったりやらなかったりである。 ニュースの音声をあげてソファで父と話したり話さなかったり。父はその場でうたた寝をしたり、しなかったり。 「がんばったな」 父はそう言って小遣いを渡してくれた。 模試の結果はA判定だったが、一過性でも安心材料には違いない。 受験予備校には行っていない。合理的か

          Pour acheter des vêtements

          Petit maître

          ランプが窓辺で小さくニャァと泣いた。 孤高な雰囲気は小猫の頃からだ。じっとカーテンの隙間から外を窺って、わずかに差し込む朝日に対峙している。 まだ起きるには早く、微睡みながら昨日の事に思いを巡らした。 「日曜日?」 昼休みの教室。佐々木はスマホの画面をむけて期待の表情を見せている。 「ライブ?」 「うんうん」 文化祭の熱がまだ覚めずに有志でアマチュアフェスに参加する・・・友人を助けたい!・・・という件で、すでに腰が引けた。 席替えの思いがけないおまけのようだった。 「行く

          Petit maître

          apprivoiser

          習慣になりつつある、弁当への関心事。 はじめは、今日は何が入っているのかと、気づかれないように見るのであったのが、 「今日はなに?」と毎回言葉に出すようになった。 「今日はチョコレート?」 と彼女から話しかけてくるようになったからで、毎朝コンビニで買ってくる菓子パンを見ては、不思議そうな目で見ている。 「欲しい?」 ときどき感じる彼女のにじみ出てくるまだ発されることがないもう一つの言葉を、きっとそうだと確信してみる。 一度目は、彼女は首をふって、前を向いてしまった。しかし、二

          apprivoiser