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AWESOME Choices Issue no.024 外資系消費財メーカーでの開発経験を活かし、顧客ニーズに合わせたヘアカラー剤の新製品開発に従事するというキャリア

新原 馨さん

4年前に転職し、現在は美容製品メーカーのウエラジャパン研究開発本部で、ヘアカラー剤の新製品開発を担当しています。転職前は大学を卒業後、外資系消費財メーカーのP&Gに入社、研究開発部で29年にわたり紙おむつ、洗剤など様々な製品の新製品開発を行ってきました。 P&G、ウエラと30年以上にわたり私が担当しているのは、製品を使っていただくお客様のニーズを掘り起こし、それを次の新製品のアイディアに活かしていくという仕事です。この仕事の面白さは何よりもまだ多くの人が気付いていないと思われる潜在的ニーズを見つけた!と思ったときや、
実際に様々な苦労を重ねて発売した製品を買う人を身近で見ることができることです。
学生時代は、大阪大学の工学部醗酵工学科で生化学系の研究をしていました。

現在は美容製品の新製品開発を行っているということですが、高校で理系に進もうと思った理由について教えてもらえますか?

高校で理系に進むことを最終的に決めましたが、最初から理系に行きたいと思っていたわけではありませんでした。むしろ文理選択を高校2年生で決めろって言われても...というのが正直な気持ちの中、途中で文転はできても、理転はできないので、とりあえず理系のクラスに入ることにしたのが理由です。授業を受けていく中で理系の科目の内容、特にわからないことがわかっていく過程が面白かったことと、当時、バイオテクノロジーが話題になり始めた頃で、この技術が人の役に立つ仕事につながると思ったので、最終的にバイオテクノロジーを大学で学びたいと思い、理系に進むことを3年生で決めました。 実は私の家族は全員文系で、私自身も成績は文系科目が得意、理系科目は文系科目に比べ圧倒的に成績が良くなかったので周りからは当たり前のように文系よね、と言われていましたが、進路担当主任の先生に相談したところ、浪人してでも行きたい覚悟があるならば自分がやりたいと思う道に進んだらいいですね、と後押ししていただけたことも大きかったです。本当にいい先生にめぐり会えました。

素敵な先生の後押しもあり、自分の興味のある分野に進むことに決めたのですね。

大学で工学部醗酵工学科に決めた理由についても教えてください

バイオテクノロジーを勉強したかったので、高校で先生に相談したところ、大阪大学の醗酵工学科がその分野で進んでいることと、関西が地元なので、家から通える大学ということでこちらを志望し、1年浪人して入学しました。

自分が希望する分野はどこが最先端に学べるかを重視して選ばれたのですね。

これまでに経験したお仕事を選ばれた理由について教えてください

実は入学してから1年生の早い段階で、バイオテクノロジーそのものには興味はあったのですが、自分がやりたいことは研究職とは少し違うな、とすぐに気がつきました。もともと人の役に立つ仕事がしたいと思ってバイオテクノロジーを選びましたが、私は相手の顔が見える、もう少しエンドユーザーに近い仕事がしたいんだな、ということに気づき、就職活動の時には消費財メーカーを選びました。P&Gを受けてみようと思ったのは、製品が女性にとっては日頃からなじみのあるものだということもありますが、実は高校生の時にP&G製品のサンプルをもらって、それがとてもイノベイティブで、女性の悩みを解決してくれる製品だったので「このアイディアすごい!誰が思いついたんだろう!!」と思ったことを就職活動を始めた時に思い出したからです。私もこんな製品を作ってユーザーの悩みを解決したい!と思いました。 

希望をした製品開発に配属になり、女性の生理用品ウィスパーに始まり、紙おむつのパンパース、洗剤のアリエールやボールドなど様々な製品を担当しましたが、一貫してやってきた仕事は、エンドユーザーのニーズを掘り起こし、その解決方法を試行錯誤しながら製品の形にしていくという作業です。様々な製品を試作して、消費者の方々にお使いいただいてそのフィードバックをまた次の製品に落とし込んでいく繰り返しです。 P&Gには29年勤めましたが最後は中国での海外勤務だったので、日本に帰国後1年は思い切って仕事を休み、そのあと転職してウエラで同じく製品開発を行っています。ウエラを選んだのは、P&Gで紙製品、洗剤の開発は経験したので、やったことのないヘアケア関連の製品開発をやりたいと思ったからです。

バイオテクノロジーに興味がありつつも、自分に向いていることは研究職ではなく、エンドユーザーに近い仕事だと気づかれたのですね

お仕事の中でご自身が「理系が出ているな」と感じることなどはありますか?

理系で学んできたことで、やはりロジカルシンキングが身についたと思います。仕事で問題を解決していくときも大きな問題を分解してかみ砕いて、1つずつ解決へと導いていくアプローチなどは理系で学んだ基礎だと思っています。 そしてこのロジカルシンキング、実は仕事以外の生活の中でもとても役に立っていると私は思っています。例えば家族のちょっとした問題や、特に私の場合は病気になって会社をしばらくお休みしたことがあるのですが、そういう時に起きてくる様々な問題も大変ですが、小さく分けて少しづつ対処していけば何とかなる、と思えるのもこのスキルのおかげだと思っています。

確かに、理系の学びは論理的に物事を捉えることに役立ちますよね

「理系を学んだこと」や「リケジョ」に対して何か思うことなどあれば、教えてもらえますか?

私の場合はそれが理系でしたが、自分が興味のあることを選んでその道を進んでよかったなと心から思っています。すべての子供たちが自分が純粋に興味があるものを学んでいける環境になることが日本がこれから目指すべきことではないかなと思います。

理系女子が少数派といわれることなく、どんな子供たちもあらゆるものに堂々と興味が持てる環境になってほしいですよね

これからの進路を考える女子中高生や理系学部で学んでいる学生の方などに向けて、ぜひ一言アドバイスをお願いします

日本では理系に進む女子が少ないので、残念ながら、すべての高校で理系に興味がある学生でも教科・授業などが万全のサポートがないこともあるかと思います。実は私の娘も本人は興味があったのですが、学校のプログラムの関係で理系の道は選ばない結果となりました。もし、今、理系に興味を持っていらっしゃるのであれば、ぜひその興味や夢をあきらめずにご自身が進みたいと思う道を目指してほしいと思います。このAWESOMEコミュニティもそうですが、私が出会った高校の進路指導の先生のように、きっとサポートしてくれる人達にめぐり会え、道は開けていくと思います。

最後に

高校の進路選択時に、バイオテクノロジーが人の役に立つ仕事だと気づいたことから理系の世界に入り、現在は前職での経験を活かしながら、美容製品の新製品開発に従事されていることがよくわかりました。潜在的ニーズを見つけて開発をすることや、顧客が製品を買う瞬間に立ち会えることにやりがいを感じている新原さんの更なる活躍を応援しています!貴重なお話、ありがとうございました。

あとがき

いかがでしたか?
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