アイドルオタクの『終活』③現状(≒現場)を見つめ直す

前回記事の最後に

質問A: あなたの現在の推しが卒業・脱退などであなたの目の前から離れるとしたらどうしますか?

質問B: あなたが仮にいま事故や病気で亡くなったとしたら、周りの人にどうしてほしいですか?


地下アイドルにとっての究極的な質問をふたつ挙げました。このふたつの質問に真剣に取り組むことが、アイドルオタクとしての「終活」の50%を占めると言っても過言ではありません。

質問Aは「オタクとしての社会的 or 観念的な死」、質問Bは「ひとりの人間としての物理的な死」に繋がるものです。

質問A・Bに答えを出すのは容易なことではありません。色々なことを考える必要があります。そのためには十分なリソースが無ければなりません。それをどう把握するか?現状分析です。

以前、仕事で終活セミナーをやるためにいろいろな準備をしていたら「企画書の書き方」というウェブサイトが目に止まりました。考えてみたら終活とは、残りの人生の新規プロジェクトであり自分自身を納得させる試みとも言えるので、このメソッドを大いに参考になりました。もちろんアイドルオタクにとっての終活にも非常に有用です。

終活における現状分析は、言い換えるなら「自分を取り巻く事実を見つめる」ことです。巷にあるエンディングノートはその一環として非常に優れています。自分のこれまでの人生、交友関係、財産状況などを書くことができます。

しかしアイドルオタクにとっては残り10年、20年という人生設計の前に、全く見通しの立たない推しの卒業という喫緊の問題が控えています。

上記記事における日経の調べによると、「平均的な卒業は活動歴5年7カ月、年齢21.7歳」とあります。これはメジャーな事務所に所属しているアイドルを対象にしているので、地下アイドルを射程にするとこの数字はもっと小さくなるはずです。バイトや学業との両立が困難、ファンとの私的交流で解雇、運営と揉めて音信不通→解雇、運営判断によってグループ解散… など地下アイドル界隈には大手事務所と比べてかず多くの不確定要因があり、よほどでないと一つのグループ(事務所)で5年も活動を全うすることはかなり困難なことと言えます。気づいた時点で今すぐでも終活を開始するべきでしょう。

エンディングノートのようなものでなくとも、冒頭の質問A・Bに取り組むためには以下の項目をスマートフォンでメモしてみるとよいでしょう。もちろん今すぐに書けないものもあるでしょうし、書いたものをその都度修正することも可能です。

  • 名前(オタクネームも合わせて)

  • 年齢

  • 性別

  • 生年月日

  • 住所

  • 本籍(戸籍筆頭者も)

  • SNSのアカウント

  • いまの仕事について(業務内容、年収、現在の立場、いつまで続けるか)

  • 財産状況(保険・有価証券含む)

  • 健康状態

  • オタ活の頻度

  • ひと月でオタ活につかう金額

  • オタクになった時期

  • いまのオタクとしての自分について感じること

  • 推しについて(知りうる限りの情報を列記、推しが複数いる場合はそれぞれひとりずつに関して記載)

  • 推しとの出会い

  • 推しとのこれまでの思い出(遠征先で蹴っ飛ばされた…)

  • あなたと推しとの現在の関係

  • あなたの推しに対する想い

  • 推しをいつまで推すか(卒業まで、一生…)

ざっとこんな感じでしょうか。言語化することで見えてくることがあります。

「俺は〇〇ちゃんが卒業したらどうしたらいいんだ?」
「オタ活は続けたいけど、田舎の親の具合が悪いからそろそろ考えないとな…」

こういったキツい問題に対して上記のエンディングノートのようなメモが役に立つはずです。どうしたいのか、あるいはどうするべきなのか、言語化することで見えてくるものがあるはずです。

次の記事で今後の見通しについて考えたいと思います。

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