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「就活」と就活の狭間で

 現在、大学4回生の私は、順調に卒論が完成し来年3月にめでたく大学を卒業する予定である。まぁ、卒論は順調に迷子の真っ最中であるが。しかし、実際に「一寸先は闇」状態なのは来年4月以降の話である。

 私は、就職するという道を自ら閉ざした。

 周りと同じように、一度は就活をし、内定を得た。が、それを放棄した。
 理由は至極単純、「就活」という名のバンド活動をするためである。

 非常に傲慢、我がまま、それは己が一番理解しているつもりである。親の援助があって大学に行かせてもらった身でもあるにも関わらずこの仕打ちである。私が親ならぶん殴ってるわ。

 私が就活とは別に行ってきた「就活」(読み:カギカッコツキ シュウカツ)とは、大学2回生春より行ってきたバンド活動である。いわゆるオリジナルバンドってやつ。いわゆる「あぁ~音楽で飯食いてぇなぁ」という途方もない夢。

 「夢を見なさい!」と言われていたのに、ワクワクする夢を語り合っていた友人は気づけばしっかりを現実を見据え、大人たちも「現実を見ろ!!」「現状をしっかり把握しろ!」「社会を見据えろ!」と大きな声で言ってくるようになった。

 「音楽がやりたいんです」っていうのは「会社に勤めて働きたいです」っていうのと何が違うんだろうか。どうして就活サイトで「バンドマン」は出てこないのだろうか。君達だって大それた夢を見たことあるでしょ?と言うと、どうして鼻で笑われるのだろうか。

 別に現実を見ていないわけじゃない。ただでさえ厳しい世界、それに加えてコロナ禍。バンド活動だってこの先どうなるかわからない。ライブだって全然できていない。浮き足立って夢ばかり見てるわけにはいかないことは、分かっている。実際、就活した理由もそこが大きい。だが、これでいいのか?仕事をすれば音楽をする時間は圧倒的に減る。しがらみも増える。

 バンドだって、コロナ禍だけど上り調子なのは間違いはない。このモヤモヤは無視していいのか?高校時代、バンドをしているという理由だけで先生から目を付けられ、理不尽な扱いを受けた時の悔しさをまた味わうのか?

 何より、俺は音楽が、バンドが好きなんじゃないのか?

 思い出したのは、内定をもらった最終面接で、社長に言われたひとこと。
「キミ、バンドしてるらしいけど、もし仮に売れたとして、ここ辞めないよね?」
「…そうですねぇ、まぁそんな簡単な世界じゃないので。」

 文字列だけでは別に嘘をついたわけじゃないけど、なんだが偽りの自分を前面に出した様で、そんな自分に負けた気がして、悔しかった。

 この2年間、アマチュアだけどそれなりに頑張った。ライブをいっぱい演った、地元のテレビや新聞に出た、フェスだって出た、黄色いCD屋さんにCDだって並べた。

 今まで「認められる」という事にとことん無縁な世界で生きてきたので、なんだかひとつひとつの出来事が、自分の行動を肯定してくれているようでうれしかった。

 自室の机の上に内定承諾書と漫画『ソラニン』を並べて、約2か月、毎晩悩んだ。が、どっちに転んだって苦労はするんだ、じゃあ、やりたいことをやらせてもらいたいなって。俺、40歳になった時、居酒屋で会社の後輩を引き連れて「ぼくが若いころはねぇ~」っつって、過去の自慢話を肴にしたくないなって。そうして私は、内定を辞退する決意をした。

 案の定周囲の反応は冷ややかだった。ただいつもつるんでいる友人と、研究室の先生だけは褒めてくれた。それだけが救いだった。正直、先生がほめてくれたのは意外だったけどね(笑)

 という事で私は春から無職である。しかし「就活」は続く。ゴールが何か、どこか、いつ来るかは誰も知らない。ただ、静かに応援してください、それだけで励みになりますので。お願いします。

人生、まだBIG MUFFを踏む余地がある。

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