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マレフィセントの涙

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#性被害

10滴目 ガラスを割る

10滴目 ガラスを割る

告発

 加害者になりたくないなんて綺麗事だった
  この告白は加害

  加害者になりたくないなんて
   甘ったれたことを考えていた
    それは道義的には許されない
    誰しもがそう思う
     そうして誰しもが蓋をする
そうして綿々と繰り返されてきた文化

まことしやかに囁かれ続けている噂は大抵
悲しいかな、皆が見たくない現実
日本人女性の2.5人に1人が性被害者
日本人女性の4人

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9滴目 月夜

9滴目 月夜

輝夜

いつか君を
この手に
其の美しい命を
此の穢れた手に

あなたの寂しさを
一身に受け止め続けた
穢れ担当のこの私が
この  手に

あなたには
その美しい命を
養うという輝く責任があり

私には
あなたの汚れを
担うという昏い役割がある

私は鬱に沈み
あなたは労働に明け暮れ

貴方も労働に明け暮れ
私は放蕩を尽くす

そう私は影であり光
穢れであり美

くるりくるりと
陰ったり光ったり

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8滴目 愛憎

8滴目 愛憎

あなたはしんだ

あなたはしんだことにしよう

さびしい人
最初から最後まで

なぜそんなことになったのか

最後は私が背を押した

あなたの傷は
私の傷

私の傷は
あなたの傷口

私のとどめが
とめどなく

ただわたしの
罪だけが
今後はながれていくだけでしょう

あなたの寂しさは
わたしの寂しさ

少年のあなたを
やっと抱きしめられる

どうしてそう
してあげられなかったのだろう

あなたが

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7滴め ガラスを割らない

7滴め ガラスを割らない


ヴィラン

悪者をつくりたいのでしょう
悪者のせいにして
叩きたいのでしょう
それほどに この世はホワイトがつよいから

どうしようもなく
何もかも暴かれるのだから
放っておいても
大丈夫
そのうち消滅します
悪なんて

あるのは光と影だけ

富めるものあれば貧するものあり
心の美しい人が
富むことを祈りましょう

===

向日葵

poem & song by 古瀬詩織

6滴め 

6滴め 

ピーターパンと影

足元を見て
あら もしかして
繋がっていないんじゃないの?
私とあなた

えっ
もしかして
繋がって いないの?

だとしたら
私、自由なのだけど

ピーターパンさん
影、なくしちゃったんだって?

よかったじゃん
おめでとう
私も嬉しいよ!

今日も明日も、あなたと離れ離れ♪

はなればなれはなればなれ
はれて
はなればなれになれ

れんれんらんらん

くるりん ぱ!

==

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5滴め 光と影

5滴め 光と影

私はあなたの影

どこまで行っても私はあなたの影
切り離せないのよ
私のことは
ざんねんだけど
とてもとても残念だけど

切り離すための詩

切り離したいのに
切り離せない

ありえないほど
切り離したいのに

そういうものほど
切り離せない

元気が出ない
切り離せなくて

元気よ出ろ
切り離さなくても

そのまま清いも濁りも飲み込んで
強い女になるのだよ

そう言いきかすほどに
元気はうしなわ

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4滴め 詩作品 切り離すためのうた

4滴め 詩作品 切り離すためのうた

切り離したいのに
切り離せない

ありえないほど
切り離したいのに

そういうものほど
切り離せない

元気が出ない
切り離せなくて

元気よ出ろ
切り離さなくても

そのまま清いも濁りも飲み込んで
強い女になるのだよ

そう言いきかすほどに
元気はうしなわれる

切り離したい
ただ
切り離したい

それだけなのに

それだけなのに

===
written by 古瀬詩織

たまに、鬱に沈む時間

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2滴目 2nd drop

2滴目 2nd drop

(English translation)

Murder of the soul?

My soul has not been killed
It's just a physiological aversion

My soul has not been killed
It's just a strong influence on sexuality

My soul has not been

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1滴め(意図せずこぼれたもの)

1滴め(意図せずこぼれたもの)

秘密にしなくてもいいかな

言えないから傷は深くなる
堂々と言えれば
こんなに苦しまなくていい

自分の意思で言わないのならいい

自ら息を止めているのか
他人から口を塞がれて息が止まっているのか
そんな違い

傷を負ったのに
「黙らされている」現実に気づく

害を被ったのに
「黙ってあげている」理不尽に気づく

===

安置

大切な傷を縫ってつくった
多くの血を垂らしながらつくった
大切なう

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マレフィセントの涙

マレフィセントの涙

マレフィセントは少女時代に、若き日の王から、翼をもがれる被害に遭いました。痛みに苦しみ、翼がなくなったことを悲しみ、怒った天使は、強い魔女になりました。
「絶対に、許さない!」
あとのお話は、皆さんの知る通り。自分の翼をもいだ王の娘に、呪いをかけてしまいます。
「16歳の誕生日の日没前に、糸車の針に指を刺して深い眠りにつく」、と。

===

しかし、隣国の天使・エルの場合は、翼をもがれたのではな

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