『楽園のカンヴァス』/読書感想文(2022上半期5冊その1)
図書館に2週に1回通い、
積読も読んだ2022年上半期。
その中で、あらゆる人に薦められるかはちょっと分からないけど、上半期に読んで好きだった本について、5冊選んだので書いていきます。
本当は5冊まとめて1つの記事にしようと思ったんですが、思い入れが強いあまり、1冊だけで2000字を越えてしまいました。何回かに分けて書きますね。
1冊目は、原田マハ『楽園のカンヴァス』です。
原田マハ作品は、これまでも『本日は、お日柄もよく』をはじめとして、いくつか読んできたのですが、
実は代表作のこちら『楽園のカンヴァス』を読むのは初めてでした。
ものすごいものを読んだ・・・
がこの本を読み終えたとき、まず一言目の感想です。
この後1章で書くように初めは苦手意識があったのですが、そんなもの一瞬で吹っ飛びます。それくらい、ぐいぐい引き込まれ、気づいたら読み終わっています。
自分も美術館や豪邸に一週間、物語の人物たちと同じ時をすごしたような、どっぷり浸ってしばらく動けなくなるほど、すごいパワーのある小説でした。
1.美術史小説、もともとは苦手でした。それでも今回読んでみようと思ったわけ。
原田マハといえば、その美術館勤務経験を生かした美術小説が人気です。でも、私はこれまでずっと、美術史ものは全て避けてきました。
なぜ、これまで読んでこなかったのか。
理由はちょっと恥ずかしいのですが、
正直に書きます。
一つに美術史ものって、なんとなく固そうで敬遠していました。
そもそも、美術関係なく、歴史ものを小説で読むことに違和感があったんです。歴史は学校の授業で「事実」を習えばそれでいいじゃん。もしくは、ちゃんとした歴史書を読めばいいじゃん。と。
歴史は事実だから価値があるのに、誰かが作った、事実かどうか分からない空想の過去を知って何になるんだ。と。
そんな気持ちがありました。(青い。青すぎますね。
もう一つは、もっと単純です。
カタカナの名前や地名が沢山出てくる。
私は、現実世界でも人の名前を覚えるのが得意ではないのですが、本の中となると、その傾向がより強くなります。漢字やひらがなという文字から形作るその人のイメージがなくなり、より名前というものが記号化されてしまいます。
名前
出来事
人物像
この3つの紐付けができなくなってしまい大混乱に陥ります。
私だけでしょうか…。
そんな理由があって、本が溢れる世の中で、歴史もの、海外が舞台のものを、わざわざ手に取らなくても、まぁなんとかなってきたわけです。
けれど、
昨年から何気なく見始めた大河ドラマを見て、「ナニコレ、めっちゃくちゃ面白い」と感じられたことが歴史小説に近づく大きな後押しになりました。大河ドラマも史実だけを取り出しているわけではなくて、創作しているんですよね。
例えば、
史実と史実の空白の期間の出来事、
史実からだけでは見えてこない登場人物たちセリフ、表情、心情 といったものを、脚本家や演出家、演者の方が創作しているのです。
歴史という事実がある。だからこそ登場する人物たちをリアルに感じ、起こったドラマを熱く感じられる。揺さぶられる。という体験をしました。
きっと歴史小説もそうなのかもしれない。
それから、海外のミステリーなど読みやすいものから読んで、カタカナ名にも少しずつ慣れていきました。人物名や描写をメモに書き出して、それを見ながら読む。ということをやってみたんですが、なかなか良いです。
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