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創作大賞2023「クリームイエローの海と春キャベツのある家」

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【創作大賞2023 朝日新聞出版賞 受賞作】 朝日新聞出版の編集者さんと共に改稿し、 現在、単行本にて発売中です!!! 家事代行歴3ヶ月の永井津麦。新しい勤務先は、6人家族の父…
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2023年6月の記事一覧

クリームイエローの海と春キャベツのある家(2/4章)/小説 #創作大賞2023

クリームイエローの海と春キャベツのある家(2/4章)/小説 #創作大賞2023

◆前回のお話
はじめから読む方はこちら。

4.「そんなことが…大変でしたね」
 電話口の安富さんは、同情するような声で言う。
 昨日の津麦は、怒っていた。ちゃんと時間の枠をとって予約していたのに蔑ろにされた、どこにでも嫌な人はいるものだ、と思ったりもした。けれど時間が経つにつれ、自分自身にも非があったのではないか、とも思い始めていた。朔也が何か言いかけてやめたことが、引っかかっていた。

「あー

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クリームイエローの海と春キャベツのある家(1/4章)/小説 #創作大賞2023

クリームイエローの海と春キャベツのある家(1/4章)/小説 #創作大賞2023


プロローグ. ほんの些細なことで、
 見えてた世界の色がガラリと変わってしまうことってある。

 たとえば、今朝のはなし。
 永井 津麦が降り立ったのは、陰気な駅だった。蛍光灯の灯りが3つに2つくらい消えていて薄暗い。ホームから改札へあがるのに、エスカレーターはない。みな下を向いて兵隊みたいに一定の速度で階段を上がって、改札を出て行く。津麦も、その列に無心で加わった。
 線路沿いの道は、でこぼこ

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