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JOKERに愛された男

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大学生の健太郎と謎の男、潤の長い一日のお話。
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記事一覧

『JOKERに愛された男』最終回

「……でも、どうして僕のことを?」 「それが、俺が個人的に知りたいことだった」 「え?」 …

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第16回

「では次に、君に送ったメッセージについて説明しよう」 「ああ。でもその前に……」  僕はゆ…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第15回

 潤は唐突に紙とペンを手に取って――僕のデスクに置いてあったものだ――無骨な文字を書きつ…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第14回

5 僕は大学の徒歩圏内に住んでいるので、元々定期券は所有していない。鉄道用のICカードは持…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第13回

 僕は急激に松下潤という男が信じられなくなった。  いや、元々あまり信用していたわけでは…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第12回

「私、岡田といいます」 「岡田さん?」  彼は頷いて話を続けた。その一人称はワタシではなく…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第11回

4 誰か、この状況を説明してくれないか。  目の前に潤がのした男が倒れている。彼は慣れた手付きで男の懐やズボンのポケットを探っていたが、身元に繋がりそうなものは出てこなかった。 ただ一つ、彼が真っ先に取り上げた拳銃を除いては。 「舐められたもんだね」 「え?」 「拳銃と身なりからはそこそこの派遣元が考えられる。それなのにこんなに弱いんだから下っ端も下っ端じゃないかな」  確かにこの男と潤のアクションシーンは映画であれば短い方だったかもしれない。でも、少なくとも今日見た中では一

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『JOKERに愛された男』第10回

 お互いに有益な情報を得られないまま愛菜ちゃんを帰した後、僕は潤に尋ねた。 「ねえ、あの…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第9回

「私はずっと尾行していたんです。他にも封筒を渡しているところを見ました。会っている人もい…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第8回

3 現れたのは中学生の女の子だった。 我が家まで――アパート二階の玄関前まで辿り着いた時…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第7回

 彼らがどこに消えたのか僕には分からなかった。  しばらく辺りを探し回り、諦めて家路を辿…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第6回

「さて、君の命を保証する立場になったから助言しよう。さっさと店を出た方がいい」 「え?」 …

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第5回

 昼食を終えても僕らはファミレスに入り浸っていた。  午後の授業はキャンセルしたようなも…

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亀山真一
4年前
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『JOKERに愛された男』第4回

2 潤と共に知り合いに会うのは御免だったので、僕らは大学の外へ出た。特に行く当てもなかったが、程なくして正直者のお腹が昼時を告げたので近くのファミレスに入る。 「先に聞いておくけど、潤はお金持ってるの?」  席に着くなり僕が尋ねると、彼はごそごそと足元に――足元に?――手を伸ばす。出てきたのは三つ折りにされた一万円札だった。 「今はこれだけ。崩すと邪魔になるからできれば使いたくない」 「え、どこから出した?」 「靴底――中敷きの裏」 「……何で?」 「落とさない、盗られない、

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