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『JOKERに愛された男』第8回

 現れたのは中学生の女の子だった。
我が家まで――アパート二階の玄関前まで辿り着いた時に、突然後ろから声を掛けられた。
「あの……」
 警戒色の強い瞳が僕らを見上げる。とっさのことで意味が分からない。
しかし潤は躊躇なく少女に歩み寄った。その上、親しみを示すかのように彼女の頭上にポンと右手を乗せたのだ。
「待たせたね」
「……もしかして、気付いてたんですか?」
 それには答えない彼が僕を見てニコリと微笑む。
「さて健太郎、追い返すかい? それともご招待といこうか?」
 今度は一体何なのだ。と、僕は文字通り頭を抱えた。

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