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『JOKERに愛された男』第13回
僕は急激に松下潤という男が信じられなくなった。
いや、元々あまり信用していたわけではないけれど。それでも助けてもらったし、その言葉に嘘はないと思っているし、少なくとも嫌いじゃないと思っていたのに――。
「ごめんね」
潤がか細い声を漏らす。二人きりになってから、彼はずっと俯せるようにソファの肘掛けにもたれていた。
「……え?」
「健太郎の前であんな話をするつもりはなかったのに……なんて言うか、一種の職業病かな」
「笑顔で他人を追い詰めるのが?」
潤は答えなかった。いつもの笑顔すら返さなかった。黒い瞳が虚空を見つめる。
「ねえ、ジョーカーは潤なの?」
「……」
「答えてよ」
答えないまま、潤は深い溜め息を吐いた。
「これ以上聞かないでくれ。答えたくなってしまうから」
そうか、そうなのか。
「やっぱり潤なんだ」
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