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『JOKERに愛された男』第4回

 潤と共に知り合いに会うのは御免だったので、僕らは大学の外へ出た。特に行く当てもなかったが、程なくして正直者のお腹が昼時を告げたので近くのファミレスに入る。
「先に聞いておくけど、潤はお金持ってるの?」
 席に着くなり僕が尋ねると、彼はごそごそと足元に――足元に?――手を伸ばす。出てきたのは三つ折りにされた一万円札だった。
「今はこれだけ。崩すと邪魔になるからできれば使いたくない」
「え、どこから出した?」
「靴底――中敷きの裏」
「……何で?」
「落とさない、盗られない、邪魔にならない場所だと思ったから」
 底知れない男である。いや、底は万札だったか。

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