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Mrs. GREEN APPLE のライブ感想

拝啓、Mrs. GREEN APPLE 様



「楽しんだもん勝ちだ」と、歌い上げたそのメッセージは
どこか心の奥底にしまい込んだ、諦めを見事に壊してくれました。

僕は、アナタ達のことをそこまで詳しくはありません。

ライブを見たこともないし、PVもそこまで見ていない。
メンバーがどんな人かも知らなかったし、どういう人柄かも。
毎日リピートして聴く曲があるわけでもない。


でも、アナタ達の何曲かが、僕の心にとても響いてきて
いつからか、すごく気になるアーティストでした。

残念ながら僕は、「よし行ってみよう」とライブ会場に足を運ぶほど
フットワークが軽いわけでもなかったので、テレビ越しではありましたが
アナタ達のライブを、観たいと思い、7月8日を、心待ちにしていました。

そして行われた『Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW "Utopia"』


時折見せるその表情は誰よりも不安で、でも
ほんとうに心の底から、誰よりも楽しんでいた。

その演奏の一つひとつに、感情が揺さぶられて
吸い寄せられるようなステージ上に次々と起こる出来事は
僕らが抱え込んだ毎日のあれやこれを、その瞬間だけでも
忘れさせるにはあまりにも十分すぎるものだった。

その一挙手一投足が、その掲げられた手の指先の先端まで
何もかもに魅了されて、照明に照らされたステージの上は、
とても美しかった。

まるで絵画展にでも来てしまったんじゃないかと思わされるほどに
いったい何回、息を呑んだのだろう。

僕は彼らのことを、ほんとうに、ほとんど知らない。

だけど、口をつくのは「すごい」「やばい」「ハンパない」

ときに、もはや笑ってしまうような感覚になったり
気付けばポロポロと涙が頬をつたったり。


音楽のライブで、しかも会場に行っていないのに
こんなに心揺さぶられるのは、ほんとうに、初めてかもしれない。
そんなことが一瞬、頭の片隅に浮かんだけれど
それよりも目の前で起きているパフォーマンスに、もっと揺さぶられたい

そう、強く、願った。

そして後悔した。

ああ、会場で観られたら、ぐしゃぐしゃに泣けたんだろうな、と。


僕はほとんどの曲を知らなかった。
ほんとうにわかるのは、7曲くらいだったろうか。

でも楽しかった。
ワクワクした。
とても震えた。

知らない曲の歌詞がスッと心の中に入ってきて
いつの間にか自分の内側に優しく溶け込んでくる。
これが、音楽のチカラか。


そして、これは、ほんとうにすごい驚いたのが
途中のMCでもボーカルさんが語っていたけれど
アップテンポの曲とバラード調の曲が
1曲ごとに入れ替わって演奏されるセットリスト。

僕もそれなりにいろいろなアーティストのライブに
行ったことがあったけれど
こんなにも上下の激しいセットのライブを聴いたのは、初めてだった。

演奏されているバンドメンバー、ほんとうにすさまじい。
こんなセットリストを組めること、それを楽しむ姿、その立ち居振る舞い。

そして、それに全力でついていく会場のオーディエンス。

どちらも圧倒的な熱量でぶつかり合うから、最高の一体感が生まれる。
とても美しい会場の雰囲気に、また身体が震えた。


わかる曲が少なかったので「この曲が」という話はできないけれど
それでも「どうしても聴きたい曲」が3曲あった。

友人から「この曲は聴いた方がいい」と言われて勧められた『僕のこと』。

静かな歌い出し。
そして、サビでの高らかに歌い上げる想い。
誰もが「心の中」で、一緒に歌っているような、そんな空気を感じた。

何気ない日々に絶望することもあるけれど
そんな白黒に見えてしまう目の前が、ほんとうは彩り豊かな世界であると
それは「美しい」と、彼らは唄ってくれた。
僕はそんな姿を「忘れたくない」と思った。
こんなに涙腺が揺れるこの瞬間を、いつまでも大切にしたいと、願った。


そして初めて聴いたとき、心底ワクワクした『ダンスホール』。

こんなに踊りたくなる曲は、久しぶりに聴いたと思う。
リズム、テンポ、テンション、ほんとうに最高で
背中を押してくれる、僕らを肯定してくれる歌詞もココロに響く。
ライブの楽しさ、一体感を取り戻すように、
ステージ上も楽しんでいる姿が印象的だった。


最後は、絶対に聴いてみたいと思っていたナンバー『君を知らない』。

感覚的に、メロディーも、紡ぐ歌詞も、世界観も、ダントツで好みだった。
こういう「淡さ」を表現する曲が、ほんとうに、どうしようもなく好きで。

聴き手の内面を、ゆっくり柔らかく触れてくれる。
誰かにとっての「あの日」を思い出させるような懐かしさ。
まるで夕日が沈むのを浜辺で眺め、風を感じながら涙をこぼすような。

でも、聴いていて、最後はとても、不思議と温かい気持ちになる。
そしてまた、もっと「君を知りたい」と、
またリピートしてしまうような曲。

この日、ライブで、聴けてほんとうによかった。



君を、アナタ達を、知らなかった、僕。

2年間活動休止されていたこと
メンバーが2人抜けてしまったこと
その間にたくさん、きっと葛藤を抱えていたんだろうなということ
ステージ上のMCで時折見せた「ほんとう」は
何も知らない僕にも、その想いは、胸にくるものがありました。

フェーズ1から、フェーズ2へ。

これからもっと、皆さんは自分達だけの表現で輝いていく。
その姿を、ファンと共に創り上げていく。
「思うこと」「想うこと」をその手に握りしめて、ときに抱きしめて
これからも歩いていくんでしょう。


このライブで、僕も
Mrs. GREEN APPLEのことが、もっと好きになりました。

ライブに行けるかどうかとか、未来のことはわからないけれど
ひとりの「ファン」になったのは、間違いないから
そのキッカケになったこのライブのことを
こうして言葉にしたくて、書いてみました。

少なくとも、いま、僕は、あのライブで
自分の中にある苦しさ、悲しさ、辛さ
とても、救われたように、思います。

ありがとう、あんなに素敵な音楽を、奏でてくださって。

いつになるかわからないけれど、いつか
実際にライブに行けたらと、そこで会えたらと、思います。

素敵なフェーズ2に、どうかなりますように。

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