オタクの子はオタク? 〜息子が毎日『バック・トゥ・ザフューチャー』を観ています〜
すくすく「オタ育て」
2歳の息子が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にハマってそろそろ2か月。
毎日、鑑賞している。
誇張ではなく、毎日だ。
休日など、パート1の再生が終わったらいそいそとパート3のディスクに入れ替えようとしたので、慌てて夫が散歩に誘い出したほど。
2歳ながら、プレステや円盤の扱いにも少しずつ慣れてきた。
平日は起きてから保育園に向かうまで、時間の許す限り再生し、夜は帰宅したらまずお風呂に入り、その後私が夕飯の準備を始めるあたりで「デロリアンみる〜」という声があがる。
再生が終わったら、就寝だ。
トミカのデロリアンとハッピーセットのおまけの機関車を敷居に走らせ、パート3の未来に帰るシーンを再現し、Johnny B. Goodeを歌い、ホバーボードをブロックで自作し、デロリアンを握って眠る。
彼の日々は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』漬けだ。
これでいいのかな、と思うこともある。
でも幸い『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は面白いし、お金もさほどかからない趣味だ。
夫も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が好きだったので、早々にトミカのデロリアンを購入し(あくまで自分用だそうだ)、安かったのでBlu-rayBOXまで買ってしまった。
息子がこんなにハマるとは思わなかったけれど、何しろ夫も私もオタクなので、のめり込む楽しさを押さえつけるのはしのびない。
私個人としても、無益を愛し、無益は無益ゆえに有益ではないかと思っていたりするので、今のところ好きなだけのめり込ませている。
オタクはリア充
息子を好きにさせている理由のひとつは、オタク趣味は人生を救うと考えているからだ。
就職して社会に出たとき、辛いことがあったとき、まさに現在進行形のコロナ下で、オタクがよく吐く言葉は「オタクで良かった」である。
好きなことがある、それだけで人生は充実する。
辛いとき、しんどいとき、悲しいとき、気持ちを安らげるものがあるのは強い。
「リア充」を「現実世界の人間関係が充実している人」、すなわち、友人がいて恋人がいて、リアルの予定がたくさんある人、を指すならば、個人で何かを突き詰めるタイプのオタクは確かに「非リア充」な割合が高いかもしれない。
しかし、いち個人として心が充実する瞬間があるならば、それは立派に「リアルが充実している状態」であって、別に良いのではないかと私は考えている。
それに、オタク趣味を通じて友人が出来ることも、出かける理由が出来ることも、発信を始めることもある。
オタクであることは、必ずしも悪いことだとは思わない。
ただし、適切な金銭管理と、自らの行動を客観視できる能力だけは、意識的に、できうる限り育てていこうと思う。
この2つはオタクの弱点だ。私も言ってて耳が痛い。
ある分野で解像度が上がるのは好ましい
息子が『バック・トゥ・ザフューチャー』にハマったのは、もともと車好きだったからだと思われる。
車のおもちゃを好み、ブロック等でもよく車やバイクを組み立てていた。
そこに、「車が出てくる」「車が空を飛ぶ」映画と出会って、ハマったようだ。
機関車や馬にも惹かれているようなので、動くもの、乗り物が好きなのかな……?
デロリアンのトミカから派生して、今では他のトミカも色々揃えるようになった。もともと車好きの夫のトミカ熱が再燃したことも影響している。
そんな環境のせいか、息子の車に対する解像度が上がってきている。保育園の帰りにクラウンを見かけて「タクシー!」と言ったのには驚いたし(厳密には自家用車のモデルだが)、タクシーをみても「ジャパンタクシーだぁ!」と正確に言う。
一方私は運転免許も持っていないくらい車には興味がなく、ミニクーパーのトミカを眺めながら「ミニクーパーって大きいのもあるの?」と夫に聞いたら「『ミニ』はメーカー名だよ……」と教えられたほどだ。
通りで、特に小さくないのにと思ってたんだよ。
そんな具合なので、保育園の帰りに息子に「あれはえしゅぶーゆい?(SUV)」と聞かれても、「どうかな…たぶん違うと思うんだけど……」としか答えられない。
すでに2歳児に車への関心度も知識も圧倒的に追い抜かされているのだ。
その点で私は、息子を尊敬している。
自分にできないことができる人は全てリスペクトだ。
息子の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』熱や、車への知識が何かの役に立つかは、全くわからない。
かつて母に、「貴女は小さい頃テーブルに乗って、当時やってた戦隊ものを真似て『チェンジ・マーメイジ!』とよく叫んでいたわよ」と言われても私がなんにも思い出せないように、息子も成長したら綺麗さっぱり忘れてしまうのかもしれない。
でもまぁ、いいかな、と思う。
無益だったとしても、いいじゃん。
たぶん何か、見えないところで、糧になるんだ。
わからんけど。
大きくなってから自分の得意分野を探すとき、適正を考えるときなんかに、きっとじわじわ効いてくるのだろう。
個人的には、没頭できるものがあるとマイナス思考になる暇がないのが、生まれ持ったポジティブで無い私には良い。そんな側面もある。
ちなみに夫は学生時代、毎月1冊漫画同人誌を発行するという勝手に月刊連載みたいなことをやっていた。
人気作家という訳ではなかったし、その在庫は資源ゴミと化していたけれども、そこで培ったスキルは後にグラフィックデザイナーの仕事を得るのに繋がっている。
私はといえば、幼稚園の頃は絵を描いていた記憶しかない。小学校でも友達と4コマ漫画を描いて冊子にしたものをクラス中がまわし読みしていたし、中学時代は絵と文を書いたペーパーを家庭用コピー機で印刷して配っていた。今ではちょっと消したい記憶だ。
だが、出版社に勤めるのは向いていたのかもなと思う。
さらに10代の頃は同じアニメ好きの子十数人と文通をしていたので、ほぼ毎日手紙を書きまくっていた。
携帯電話など無い時代だったので、メールではなく、紙にペンで手紙を書いて、送っていたのだ。
意図どおりに伝わらなくて反省したこともあったし、便箋やペン選びも楽しかった。年上のお姉さんと、背伸びしてやりとりしたりしていた。
文通友達になってください、と口説くのは緊張した。
それらも今、こうやってnoteを書いたり、仕事のメールや販促資料の作成に役立っているかもしれない。
このnoteも何のために書いているのだろう。
マネタイズは出来ていない。本名も出していないし、有用なことは書いていない。
でも読んでもらえると嬉しいし、書かないより書いている方が体調が良いようだ。
おそらく自分のために書いている。
役に立つとか、お金になるとか、そういったことはもちろん大切だし、毎日不労所得が欲しくてたまらない。でもお金にならない、何の役に立つのか分からない、ただただ私が楽しいだけのことも、私にとっては大事なのだ。
だから息子の今の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ブームも、引き続きあたたかく見守っていきたい。
格好つけたけれど、これが虫ブームだったら泣いていたし、もっとお金がかかるものだったら維持できなかった。社会的に好ましくない何かにハマっていたら動揺していたことだろう。
ダーク、エロ、グロあたりには、上手く隠せるようになってからハマってくれると助かる。
半目で見逃しつつ見守るからさ。
ただひとつ、毎日『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を再生しているので、新アニメのチェックが全然出来ていないのだけが悩ましい。
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