フリーダム夫は帰省先でも自転車のり
そこに山があるから。
そう、それは仕方のないことなのです。
夫的には、ね。
◇◇◇
今年のお盆は久しぶりに夫の実家へ帰省した。
というのも、これまでサービス業だった夫と休みが重ならず、息子と夫だけで帰省してもらうことが多かったのだ。
正直、親戚付き合いが苦手な私は、気楽で助かるなぁと思っていた。帰省時における正しい嫁のあり方がわからないのだ。
色々情報はあるけれど、結局ケースバイケース。各家庭それぞれだろう。どの程度手伝いをするかとか、そのあたりがなかなか掴めず、上手くたち動くことができない。
「お皿洗いましょうか」
「いえ、いいのよ」
と言われると、「そうですか…」と引き下がってしまう。ここは、食い下がるべきところ?わからん。空気の読み合いが苦手なのだ。
そんなわけで、共働きで休みが重ならないことを理由に夫婦それぞれ実家に帰っていた。
しかし、今年は。
夫の転職により、お盆休みがぴったり重なった。
行かない理由がなくなってしま……いや、なんでもない。ホワイト企業万歳。今回はかおるさんも来れるかしら?なんて聞かれたらね、行きます。行きます。嫁だもの。
でもなぁ、上手く気が遣えるかな。息子もイヤイヤ期に片足突っ込んでるしな……と、行く前はもう緊張して、あれやこれや考えてしまって憂鬱だったのだが。
行ってみたら案外楽しく過ごせてしまった。
夫と息子のみの帰省が続いていたからだろうか、義両親の生活の中にお邪魔させていただく感じで、私たちはお手伝いなどせずにそのまま、という空気ができていた。
息子の面倒を見なければならない分、色々免除された面もあったかもしれない。
結婚したばかりの頃は、私も、義両親も勝手がわからず気を遣いあってギクシャクしていたが、お互い気楽にいきましょう、という風にいつのまにかなっていたようだ。
そういえば前回は、義父の運転に酔って吐きまくってたんだっけ。
あれもブレイクスルーだったのかも……?
息子の存在も大きかった。
着くなりトコトコ家中歩きまわり、全てのドアをやぶり、戸棚を勝手に開け、中の爪楊枝をひっくり返したり、お弁当箱を引っ張り出したり。家中の壁も、私の心の壁も壊していた。
すごい。
そういった子どものいたずらに困らされたかというとそうでもなくて、皆おおらかに見守ってくれので全くキリキリしなかった。
刺激が多く、大人の目も多いので、息子も「ママ!ママ!」とならず気楽であった。
やはりワンオペは良くない。
大人の目が多いのは素晴らしい。
息子も、料理するおばあちゃんの側をちょろちょろしたり、おじいちゃんと一緒に家庭菜園のミニトマトを取ったり、それをパパにあーんしたり、庭で走りまわったり、セミの抜け殻をみたり、いつもは与えられない甘いジュースやゼリーをたくさん食べたり、普段とは違う体験ができて良かったと思う。
私も実は、ナスとキュウリで牛と馬を作り、迎え火をたくお盆を初めて体験した。
そう、それで本題だが、帰省先でもなんと夫は自転車に乗っていた。
「もしかしたら乗る時間ないかもだけど」と言いながらちゃっかり自転車を車に積んで行き、台風の合間を縫って、富士山へ。
実は夫の実家は富士山の近くなのだ。
近くといっても自転車乗りのいう「近く」なのだが。
5合目まで登って帰ってくるという。
普段は、登り練習のために自宅から山へ出るのに時間がかかるが、今回はまたとない練習の機会だからと意気揚々と出かけていった。
最初自転車を持ってくと聞いたときは、「はぁ???義実家に私と子を置いてお前はでかけるんかい!!!!ありえねぇ!!」と思っていたが、案外、なんとか、リラックスして楽しく過ごせてよかった。
5時間ほど放置されましたけれども。
みんなでご飯を食べ、一向にお昼寝しない息子と過ごし、洗濯物を畳む義母と韓流ドラマを見た。
それは彼氏の育ての親とヒロインに確執がある話で、結構面白かった。なんだこの空間、とおもいながら観るのも楽しかった。
途中で義母が1.5倍速で再生しているのに気づき、どこでも主婦は忙しいよな、と勝手に戦友のような気分になった。
男どもよ、女はドラマを早送りでみていたりするんだぞ。わかるか?
私も撮り溜めたアニメを観たい。1話も見れてないものもある。残りの休みに隙をみて観よう。
夫は雨と汗でずぶ濡れになって帰って来たが、存分に登り練習ができてよかったようだ。
「実家にいる頃から自転車に乗ってたら登り練習し放題で、今よりずっと強くなってたのに!」と言っていたが、人生とは大抵そういうものなのだろう。
なお、帰省時に妻と子を置いて自分だけ出かけるなんて、配慮が足りない、という発想は全くなかったらしい。
本当にねぇ、貴方のそういうところ、困るわ。でも、嫌いじゃないよ。まったく困っちゃうな。
帰省翌日は、看病と帰省をがんばったご褒美として、映画を観に行かせてもらうことになった。
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