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「パパとお風呂はいろう?」「ママがいいー!!」からの巻き返し
ここ2週間ほど、ほぼ終電帰りだった夫が久しぶりに早めに帰宅した。
「明るいうちに帰ってきたの久しぶりだよ〜」
の言葉に、外はとっくに暗いけど、と思っていると「家が」と続いた。
そう、残業が長引くと、帰宅時には家は真っ暗。甲斐甲斐しさも体力もない私は、夫の帰宅を待たずに寝落ちてしまうのだ。せめて玄関の灯りだけはつけておくようにしているけれど、それもたまに忘れるね……。
4歳の息子は父が帰った喜びのあまり、「ぱぱぁ〜〜〜!!!!」と玄関まで走って出迎え、「あのね、きょうはね、こんなことがあってね」「きょうは、ぱぱ、はやいね!!」と一生懸命ことばを紡ぐ。かわいいったらない。
ところが、「よぉし、じゃあパパとお風呂はいろっか!」と夫が提案すると、
「やだ、ママがいい」
とばっさり。
えっ、あんなに夫の帰りを喜んでたのに?
私の元に「一緒にはいろ〜」と駆け寄ってきた子供の後ろで、夫がめちゃくちゃしょっぱい顔をしている。
「せっかくだからパパと入ろうよ〜パパすごい悲しそうな顔してるよ」
私も正直、夫と息子で入って欲しい。平日ひとりでお風呂に入れるのはとてもレアだから。
そのつもりで、洗濯物もたたみ始めてしまったし。
どうしようかな、と様子を見ていると、夫が
「じゃあ、『どちらにしようかな』で決めよう」
と言い出した。
『どちらにしようかな天の神様のいうとおり』のやつだ。息子はどこからかこれを覚えてきて、多用するようになった。そして意に沿わないほうに指先が向くと、何度でもやり直す。自由。
「どちらにしようかな、てんのかみさまの、い う と お りっ!」
ずさーーーーーーーーーっ!!!!
私を指す息子の指先に向かって、夫が盛大にスライディング。
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「よぉし!パパとお風呂はいろう♡」
強制割り込みのあまりの勢いに、息子も「え〜!!」と笑いながら、「じゃあ抱っこしていく!」と甘えモード。
どうするつもりかと思っていたが、夫は息子の指が向いた方へ、どうやってでも存在するつもりだったようだ。
あまりの全力さにタオルをたたみながらひたすら笑ってしまった。かわいい。夫も、息子も。
息子を抱っこしてお風呂場へ向かいながら「ふぅ、熱意が通じてよかった……」とつぶやいた様は、まるで試合を終えたアスリートのようだった。
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