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寄り添えるのか

週刊東洋経済(11月13日号)で、「マンション管理 異常事態」という特集が組まれていた。

 きついタイトルのため、あまり進んで読む気になれず、「マンション管理はずっと異常事態」なんだけどね・・・と、ため息をつきつつ「編集部から」という欄を読み始めた。

 

記者の一人が、こう書いていた。

『理事会や管理会社、住民が「寄り添う心」を持つ必要性です。特集の随所にその思いを込めました』 

週刊東洋経済 編集部から

 まさに、その通りだと思う。それしかないとも思った。

「寄り添う」ことがこれほど困難な仕事はそうはない、と感じるほどマンション管理業はこじれている。

 これほど感情的にこじれているビジネスモデルも珍しいのではないかと思うほどだ。

 信用に基づいた長期の委任契約を交わすにも関わらず、管理会社側は、右肩上がりの成長を目指すため、契約相手から可能な限り多額のお金を吐き出させる。お金が無くなったら「解約して去る」と公言する会社もある。いや、それが大多数かもしれない。

 所有者の中にも、お金を払っているのだからと管理会社の担当者や管理員を「使用人」のごとく扱い、無理難題を述べたり、罵倒したりすることに躊躇しない人たちがいる。

それは、管理会社とマンション所有者との間に利益相反をうっすらと感じ取っているからだと思う。

 また、管理会社のフロント(管理会社の担当者)の中には少なからず管理組合を憎んでいる人がいる。

管理組合が、「全部管理」を良いことに、契約外のことまでやらせようとするからだ。理事会や総会でフロントに対して罵詈雑言を浴びせる人もいる。

本来は組合自身で解決を諮るべき問題も、すべて管理会社が対応して当然と考えている居住者は恐ろしく多い。きちんと契約書を読めば、管理会社の業務範囲ははっきり決まっており、多くは管理組合(=所有者)が対応する事柄だということがわかるだろう。

 無理難題を押し付ける顧客と、ここぞとばかりに法外な利益を上げようとする管理会社・・。この不幸な関係が積もり積もってマンションの管理を崩壊させる要因となる。

 わたしの元上司は長年この業界でフロントとして働いていた。その元上司が私に発した言葉がとても衝撃的であった。

係長C: 「ぼくはね、組合に工事させるのが好きなんですよ。高い工事をさせるのって、普段の仕返しですよ。」

 これほど管理組合と管理会社のこじれた関係を表す言葉は他にないだろう。

フロントならみんな、この気持ちがわかる。

しかし、自分の顧客に対しての言葉としては、悲しすぎる。

 寄り添い合うにはどうしたらよいだろう。

まずは、居住者が現実を直視し、自分たちの力で問題に取り組むと覚悟して、管理会社には対等に協議のテーブルに着くよう申し入れる必要があると思う。

 「主従関係」の意識を捨てることが第一歩ではないかと思う。

併せて読んでほしい、マンションと管理会社の話

■ 理事会議事録をじぶんたちで書く意義

■ 感震ブレーカー全戸一括交換の問題点

■ 管理会社はトラブルを解決してくれるか

■ 管理会社と管理組合の関係について

著者のお仕事:ちいさな管理


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