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感震ブレーカー全戸一斉交換の問題点

今日は、大手マンション管理会社でフロント職として働いていた時に、会社に不信を抱いた体験を一つ紹介しよう。

それは、感震ブレーカーの全戸一斉交換である。

感震ブレーカーとは、震度5強以上の地震を加速度センサーで感知し、分電盤の主幹ブレーカーを強制遮断して電源をストップする機能を有したブレーカー装置のことだ。


大きな地震が起こると、送電線の保安点検のため一時的に送電を止めるケースがあり、その場合、送電が復旧したときに倒れたストーブなどによる二次火災の危険がある。

その通電火災の二次災害を防ぐのが感震ブレーカーだ。

これを、マンションの全戸に今あるブレーカーと取り換えよう、というのだ。地震の際には有効に役立つと期待できる。

地震時の火災予防のために全戸に感震ブレーカーを導入しましょうと管理会社から提案されると、管理組合は「安全対策として有効かも」と考えるだろう。その上、全戸一斉取り換えすると安く取り換えられるという。

また、費用は修繕積立金から取り崩せるという。費用は組合持ちか・・・、と安易にその話に乗ってしまうかもしれない。

<別記事>管理組合の財政問題に関する記事はこちら☆★

<別記事>ガス漏れ警報器の組合負担一括取替もおかしい!!★☆

しかし、そこには大きく2つの重要な問題点が隠れている。

実は、一般の(感震機能のない)ブレーカーに取り付けるだけで、簡単に地震時にブレーカーを落とす装置(器具)がホームセンターに売られている。

これは主幹ブレーカースイッチにボールのようなものを取り付けて、地震時の揺れでそのボールが落ちることで一緒にスイッチが下がり通電を遮断するというシンプルな器具だ。お値段約2,000円。(感振ブレーカー 1台当たり約10万円)

「感震ブレーカー全戸取り換え」を提案する管理会社の問題点は、このような安価な器具があることを説明しないことだと私は思う。

個別に取り付けられる安価な器具があることの説明を受けた上で、感震ブレーカーに取り換えるならまだ納得がいくが、何も知らされないままに高額な工事を管理組合の費用を使って行わせるという、管理会社の常套手段は、私には受け入れられなかった。

だからわたしはフロントをしていた当時、会社の意思に反して安価な個別装置が市販されていることを理事会に説明していた。これを説明されて、全戸「感震ブレーカー」に取り換えようとする組合は一つもなかった。

また、管理組合の修繕積立金は共用部分を修繕するために積み立てるお金だ。

個々の部屋のブレーカーという個人の所有物に修繕積立金を流用することは原則として規約違反となるだろう。それを回避させるために、規約まで改正させる管理会社とはいったい何者なのか・・。

管理会社は、全戸取り換えすることで自分たちが得る大きなお金の事しか考えていない。

ああ、思い出すと腹が立ってきたので、今日はこの辺りで・・・。


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