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理事会議事録をじぶんたちで書く意義

マンション管理会社の担当者をしている中で何度か、理事会の議事録を管理会社が書いてくれという要望が出たことがある。

「書いてくれ」というよりむしろ「書け」というニュアンスで言われたこともあった。


一般に、理事会の議事録は管理会社の担当者が書くことが多いだろう。ただ管理会社の中には、議事録を書いたら1件につき1000円給与に上乗せしてくれるところもあると聞くから、必ずしも管理会社が議事録を作成する訳ではないようだ。

わたしが担当したマンションにはわずかだが、議事録を理事が持ち回りで書いたり、書記理事が書いたりするケースがあった。

ある時、その中の管理組合から、「議事録は管理会社の担当者が書け」との意見が出たのである。

管理会社の担当者(フロントマン)にとって、議事録の作成はさほど困難な業務ではない。理事会が立て続けに重なると、ちょっとしんどくなるのだが、作成に1時間ほどを要する程度である。

だから、「書け」と言われれば書くけれども、

理事会で議事録を理事自らが作成することには、実は大変重要な意義がある。

それは、管理会社が理事会の内容を都合よく、もしくは適当なニュアンスに変更して記録に残すことを阻止し、理事会にとって重要な議論を明確に記録できることだ。

管理会社が作成した場合、理事会の協議内容を後々チェックされても問題がないように書き残すのは当然だ。組合ともめた時に、議事録を見返して、「ほらね」といえるように作成する。

これは、“あった”ことを“なかった”と書くという意味ではない。のちのちトラブルにならないように記録する“書き方の技術”だ。

例えば、管理会社が提案した工事などを話し合ったとき、一部反対意見が出たとする。しかし管理会社が書く議事録には反対意見の詳細を明記しない場合が多い。果たして理事会からは何の反対もなくその工事は承認されたかのような議事録が完成し、保管されてしまう。

要するに、管理会社が自分たちの“保険”のために書くものが、管理会社による議事録なのだ。

だから理事会は、何がどう話し合われたか、自分たちのために記録することが大変重要であり、そのチャンスをミスミス手放すべきではない。

確かに、書き慣れない議事録を書くことは理事・役員にとって面倒な仕事だが、管理会社にいいようにされたくないのであれば、議事録を自分たちで書くのは基本中の基本である。

この事は、「議事録を書かないと、管理会社を変更してもいいんだぞ!」と私にすごんだ理事長に、お伝えしたかった本音である。


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