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嵐の後に ~ マンションのトラブルメーカー は去ったが・・・~

とあるマンションで、マンション中に嵐を巻き起こした賃貸の居住者がいた。 

肩から腕にかけて大きな刺青を施し、同様の知人多数と館内を闊歩するその姿は、これまで落ち着いていたマンションを震撼させていた。
 

廊下に犬のフン放置したり、ゴミ庫いっぱいに産業廃棄物を投棄したり、夫婦げんかの末に消防車を出動させるなど、数々の事件の後、やっと退去されたのだが、その際、部屋の鍵が返却されなかったと、その部屋の所有者(賃貸人)から相談があった。 

あまりにも騒動を巻き起こしていた居住者だった故に、理事会ではその人がマンションの鍵を持ったまま出て行ってしまった!と不安視する声が上がった

マンションの部屋の鍵はエントランスのオートロックと共通キーであるため、返却されなければ館内にまた入ってくる可能性があると危惧したのだ。

 


しかし、エントランスのシリンダーを新しくすれば、マンションの居住者全員が新しいエントランスの鍵と部屋の鍵を合わせて2本持つか、全戸の玄関扉のシリンダーを交換して1本化する必要がある。

当然、キーを統一するためには、その他裏口や駐輪場扉等のシリンダーもすべて交換する必要がある。

理事会では、エントランスと、全住戸の玄関扉および館内の全の出入口のシリンダーを一斉交換して、その所有者(賃貸人)に費用全額を請求しようという話が持ち上がった。 


全住戸の玄関扉シリンダーを交換をするのか?!


その費用は100万円を上回る。

荒くれ者への恐怖から、シリンダーの全交換とは、それはそれでいかがなものか。 

鍵を紛失するということは、誰も申し出ないだけで珍しい話ではない。紛失のたびに全戸のシリンダーを交換するということになれば、誰も申し出る方はいなくなる。

また、部屋を賃貸に出す際にこのようなリスクがあれば怖くて貸せなくなってしまう。

そして今回の場合のように、特別に悪質だった居住者(賃借人)だからこのような措置をとり、その部屋の所有者に費用を請求するとなれば、所有者は納得しないだろう。

厳しすぎる対応は慎重に


そこでわたしは、
「皆さんの今後のために、このような前例を作ることはお勧めしない」
とアドバイスしてみた。
 

「もし、例の元賃借人がこのマンションに侵入していれば、それは不法侵入となりますので、即刻警察に電話すればいいんですよ。建物に何かあれば防犯カメラで確認しましょう」とも。

 その説明で、理事の皆さんはすんなり納得してくれた。
自分達も鍵を紛失したり、部屋を賃貸に出す可能性があるからだ。
 

費用をかけて鍵の全戸交換をすることはたやすい


しかし、マンションの活用を考えれば、あまりに厳しいルールを設けることには注意が必要だ。

協議の結果、そのマンションではシリンダー交換は見送り、不審者を見たらすぐに警察に電話できるよう、最寄り警察署の電話番号を書いた掲示物を作成し、館内の数か所に掲示するに留めた。 

しかし、この話を管理会社で雑談していたわたしは、話を聞いた上司から、「なぜ全戸交換する工事を受注してこないんだ!」
と言われてしまった。 

お金を掛けずに解決することが腕の見せ所のはずなのだが・・・


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