騒音は犬も食わない?
マンションの騒音問題は深刻である。
わたしも一時期騒音に悩まされた一人だが、その時は1年耐えた後、管理員さんに相談したらあっという間に解決した経験があるが、ほとんどの場合はそうはいかない。
どこから聞こえてくるかわからない音。
早朝廊下を通る人のキャリーバックを引きずるキャスターの音。
上階で子供が走る音・・・。
相談される騒音はきりがない。
特に深刻になるのが上下階の騒音問題だ。
あるマンションで騒音(子供の走り回る音)に悩む居住者がいた。管理会社の担当者への相談にとどまらず、管理組合にも相談に来ていた。
どれだけうるさいか聞きに来てほしいと何度も頼まれて、本来は騒音問題には介入しないのだが、仕方なくお宅を訪問した。
どれほど悩んでいるか、どんな音か、話を伺ったが、訪問した時はいつも騒音はしていなかった。
しかし、騒音元の下階にはちいさなお子さんが5人もいるという。
それは、さぞかしにぎやかだろう。たとえわたしの滞在時に音がなくても、騒音で悩んでいる可能性は非常に高いと思った。
騒音で悩んでおられた方のお部屋に何度か伺った最後に、
“親しい人が出す音には人は寛容でいられることが多い”というお話をしてみた。
名付けて“寛容作戦”だ。
人は自分の子供や孫が走っていると思えば、その音をほほえましく感じることがあることは事実だ。無理は承知で、ご挨拶などして友達になることができればいいんですけどね・・・と淡い期待を述べてお部屋を後にした。
そのうちに騒音の出し主である下階のお部屋へ話を伺う機会があった。
はじめてお会いするその居住者は、やんわり出された騒音の話題に激しくかみついてきた。悩んでいる人が異常だという主張を展開されたのだ。
まったく譲る気がないタイプの方だった。自分自身は普通に生活しているという。
このときわたしは、親しくすることはできないな・・・と、“寛容作戦”をあっさり没にした。
折り合いをつけるためには両者に歩み寄ることが欠かせないが、簡単にはいかない。
この時わたしができたことは、「音に配慮してほしい」ということをお願いすることだけだった。
マンションに心穏やかに住むにはコツがいると思う。
それは、譲り合い、譲歩することだ。
マンションには煩わしい人間関係がないと思って、入居を希望する人もいるかもしれないが、戸建てよりもより繊細な心配りが必要なことが多いことは確かだ。
管理会社に寄せられる苦情の多くに
“それ、共同住宅に住んだらあかんやつ・・・”
と、管理会社フロント担当者がつぶやく事象がある。
壁や床、天井などを共用して暮らしているという事実を忘れ、小さな事象に神経質になり、とらわれて生活してしまうことなどだ。
住まい方自体を考え直すことができれば、容易に解決に至ることが相当あることを提案したいと思いつつも、フロント職であるときに提案したことは結局一度もないままだった。
マンションの居住者さんは、どこまでマンションというものの本質を話してほしいだろう。本音トークをするには、管理会社の社員という身分は枷が多すぎると感じる。
併せて読んでほしい、マンショントラブルの話
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