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【美少女仮面ポワトリン】 花島優子さんの「悲しみに一番近い場所」の"メロディの凄さ"

今回は
1990年の特撮ドラマ「美少女仮面ポワトリン」の前期エンディング主題歌「悲しみに一番近い場所」のメロディの凄さ
を解説していきたいと思います!!

この楽曲は「ポワトリン」のエンディング主題歌かつ主演の花島優子さんの歌手デビュー曲となっています。

そのため、恐らく作曲担当の松本俊明さんが
新人アイドルのデビュー曲なので、なるべく歌いやすいメロディを作ろう!
という意図で制作されているのか、
メロディで用いられている音域がかなり狭く、使われている音数も少ない
です。

加えて、平均的な女性の音域の中でも特に低い音を中心に作られています。
(なので、僕もカラオケでよく歌います。)

にも関わらず、
展開がしっかりしていて、売れ線メロディの名曲
に仕上がっています!!
そこに松本さんのプロとしての技術が詰め込まれていますね。

ということで、今回は「悲しみに一番近い場所」のメロディの凄さを解説していきたいと思います!

「悲しみに一番近い場所」という楽曲について

1990年2月21日リリース
作詞:石川あゆ子さん
作曲:松本俊明さん
編曲:水島康貴さん

「悲しみに一番近い場所」は1990年に俳優/アイドル歌手の花島優子さんのデビューシングルとしてリリースされました。

花島さんが主演された特撮ドラマ「美少女仮面ポワトリン」の前期エンディング主題歌にもなっています。

1990年放送

トラックとしては打ち込みのベースとドラム、"きらびやかな音色のシンセ"や"シンセブラス"がフューチャーされた実に90年代アイドルらしいアレンジになっています。

キーは「E♭m」で、マイナーの7thコードが多く使用されています。
ですが、アップテンポかつリズム隊もグイグイ前に出てくるようなアレンジなので、
「悲しいコードが使われている明るい曲」に仕上がっています。

花島さんの落ち着いた歌声がマイナーコードを多用した曲調にとても合っていますね。

先述した通り、この曲で僕が特に凄いと思っている点は「メロディ」です。
次の項で詳しく解説していきます!


この曲メロディの凄さ

使用音域:mid1G〜hiA#

↑こちらフリー素材の音域表なのですが、
音域としてはほぼ1オクターブしか使われていません。

加えて僕がマークしている部分は
・赤…ほんの一瞬だけ飛び道具的に使われる高い音と低い音
・水色…ロングトーンでよく使われる音
・オレンジ…楽曲内でよく使われる音
となっております。

①Aメロの凄さ

まず、歌い出しから
"同じ音が2回続いて最後だけ違う音になる"
というフレーズを3回繰り返されています。

説明すると、
・胸(2音ともmid2A#) の〜(mid2D#)
・中(2音ともmid2A#) の〜(mid2F)
・てちょ(2音ともmid2A#) う〜(mid2F#)
という感じです。
しかも3回連続で最後の1音が半音ずつ上がっています。

また、「恋の終わりを〜」や「いやになるけど〜」は、
・基本同じ音が2回くらい続くようにする
・音程が変化する時も半音ずつ上がるようにする
ということをして、歌いづらいような大幅な音程の動きはつけないようにされています。

②Bメロの凄さ

こちらも
・あなたのここ  ろが〜(mid2F#を2連続)
・誰かのもの  なら〜(mid2D#を2連続)
と同じフレーズの最後の音だけを変える手法を2回繰り返されています。

また、
・大人し(4音全てmid2C#) く〜 (mid2B)
・あきらめ(4音全てmid2C#) て〜 (mid2B)
という
前の音が全て同じ音で、最後1音だけ変えるフレーズ
を2回繰り返すという手法も使われています。

その他、サビ前のロングトーンも
急に今まで出てこなかった高い音を使うのではなく、今までのメロディで使い慣れているmid2Fの音を使っている

点も凄いと思います。。

③サビの凄さ

サビの頭の
・悲しみに〜
の最初の"か"で一瞬だけ「hiA#」という高い音が登場するのですが、それ以降はどんどん「近い音程に下がっていくようなメロディ」になっているので歌いやすいように作られています。
※アイドルソングは歌いやすいように下がり調子のメロディが多いです

しかし、この「サビの最初に大きな音の動きがある」というのは売れ線メロディに繋がりやすい要素です。
加えて、「下がっていくメロディでも音の伸ばし方がとても工夫されている」のでキャッチーに聴こえます。

そして、サビのメロディの展開を作るためか、
ついにmid1の音域の音が登場します。
具体的に説明すると、mid1G〜G#までの音がメロディに落ち着きを作る場面で3回ほど登場します。
低い音ですが、かなり自然な流れで登場するので、歌い手側もサラッと歌いこなせるかと思われます。

その他、
・2回目のサビが1回目と被らないような展開になるために「hiA#」がサビの頭以外にも一瞬使われている
・サビの中でのロングトーンは基本的に「mid2G」の音を固定で使うことで歌いやすくしている
などの点も特徴です。


曲の全体的な凄さ

全体的な凄さとしては、

・音域が狭いのに売れ線メロディの名曲になっている
・近い音程に下がってくようなメロディが多いものの、音の伸ばし方などの工夫でカッコよく仕上がっている
・"同じフレーズの最後の音1音だけ変えて繰り返す"という手法が多用されている
・基本的に女性の音域の中でも特に低い音数音を中心にメロディが組まれている
・凄く高い音や凄く低い音はサビの中でアクセントとして一瞬だけ出てくる
・メロディに黒鍵が多用されているので浮遊感が出ている

などがあります。

そのため、比較的歌いやすいようなアイドルソングに仕上がっていますね。
その上で、とても名曲なのは松本さんの技術だと感じています…。

僕は「松本俊明さんが作られたアイドルソングのメロディ」がとても巧みで凄いと感じているので、後々
・Melody 「少し自惚れて」

・佐藤アツヒロさん 「君には僕が」

などのメロディも解説したいです!


まとめ

・「悲しみに一番近い場所」のメロディは「狭い音域と少ない音数」で制作されているが、多くの工夫や技術が詰め込まれているためとても名曲に仕上がっている

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