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何故あの広告は炎上した?クリエイティブリスク診断の手法と実例

炎上の傾向が大きく移り変わり、さらにユーザー心理が複雑化する現代。

昔だったらこんなことには…

そう思われる方も多いのではないでしょうか?

今まで以上にリスク対策が難しくなっている現代、特に広告やPRでは、
「どこへ広告を出すのが効果的か」「どの媒体が良いのか」
「どのようなコンテンツが良いのか」「どのような表現が適切なのか」
などで悩まれる広報担当の方も多いかと思います。

悩まれる理由としては、広告の打ち出し方コンテンツの内容広告・PRの表現方法次第で炎上してしまうケースが多く、ユーザーが過敏になっている現代ではあらゆるリスクを考慮しつつ、消費者の方に受け入れてもらえる広告を出す必要があるからです。

そこで、今回は広告などの炎上予防に使えるクリエイティブリスク診断について紹介してまいりますので、広報担当の方や、現場でリスクチェックをされる方の参考にしていただけますと幸いです!

広告・PRで何故炎上するのか?

炎上はしたくないけどバズらせたい、そう思いながら広告を作成したりPR活動を行っている企業が多いはずですが、何故広告やPRで炎上してしまうのでしょうか?

理由はさまざまですが、その中でも、「消費者に受け入れてもらえる内容か否か」が非常に重要なポイントとなっています。

炎上してしまった企業の広告・PR活動内容の傾向として、時代錯誤を感じる内容差別的な内容消費者を欺くような内容であったりと、消費者が受け入れられない要素が多く見られます。

例えば、以下のような内容が消費者に受け入れてもらえない要素です。

家事育児は女性の役割が当たり前と感じる内容の広告
・他国の人のイメージに関する表現が人種差別的(肌の色で表す等)
・消費者を騙してPRをおこなうステルス・マーケティング

上記の文章を見れば、”確かに今の時代にあっていない”、”差別的なのはそりゃ問題になる”、”ステマなんて論外”など、それくらい明らかに炎上しそうな内容だとご理解いただけるかと思いますが、これが視覚的な表現だったり、複雑なコンテンツの一画面だけであったり、文章でも複数の捉え方ができる表現だったりと、無意識のうちに炎上しやすい要素を取り込んでしまっている場合もあるのです。

だからこそ、社内での慎重なチェック体制の構築と、外部へ委託し、より入念なクリエイティブチェックをすることを推奨しているのです。

そもそもクリエイティブリスク診断とは?

企業がプロモーションに合わせて作成するクリエイティブ媒体や広告を、
消費者の方により好感を持って受け入れられるものとなるようサポート、チェックを行うのがクリエイティブリスク診断です。

例えば弊社でクリエイティブリスク診断を行う場合、今までの活動を通して蓄えられた炎上事例のデータベース豊富な実績ノウハウを駆使し、直近の世論に基づく炎上リスクの調査を行います。
主に、以下のような課題に際し、ご依頼いただく企業様が増えている傾向です。

・PRに使用している表現やテーマが世間に受け入れられるか知りたい
・PRの内容に世間で批判されるような要素が入っていないか確認したい
・PRを展開するメディアに問題がないか調査したい
・PRの起用タレントに将来的な「炎上」リスクがないか調査したい

上記のような課題が危惧される広告の動画画像テキスト素材新商品(新サービス)のリリース文など媒体問わず、潜在的なリスクをくまなくチェックしています。

ユーザーの心理が複雑化している中、いつどこでどのような表現が炎上するかを全て予測するのは困難です。そのため、常に最新の炎上リスクの傾向を把握しておくことが重要です。

特に、男女差別人種問題政治的な発言を含むセンシティブな広告については、十分に精査した上で広告を展開する必要があります。

企業の中にもリスクの有無を判断する方はいらっしゃると思いますが、広告表現への深い知見や実績があるからといってリスク診断を社内だけに頼るのは非常に危険です。

では何故、非常に危険なのでしょうか。
それは広告表現力とリスク診断力は求められる能力が異なるため、広告表現力に長けているからと言って安心できない状況だからです。

実際、直近でも著名なクリエイティブ・ディレクターが制作した広告が炎上する事案が多発しています。

弊社では、豊富な炎上リスク対策の実績から得たノウハウを元にクリエイティブリスク診断を行うことができますので、第三者機関の炎上ストッパー役としてぜひご依頼ください。

広告などで炎上した事例

ここで、過去に実際に起きた広告の炎上事例をご紹介していきます。

雑貨・衣料品を扱う有名セレクトショップの炎上事例

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参照:https://news.livedoor.com/article/image_detail/18821982/?img_id=26321523

2020年4月に某有名セレクトショップから発売されたTシャツのデザインが「女性蔑視」に当たると糾弾され炎上してしまった事例です。

炎上したTシャツは2枚で、背後の男に口を塞がれて頭に銃を突き付けられた女性が描かれたものと、下着が見えた状態で体育座りする女子学生のイラストがプリントされたものでした。

事の発端は某セレクトショップが、5月26日に問題のTシャツの画像を公式Twitterに投稿したのが始まりです。これを見た人達からは「DVと買春のどこがかわいいんだ」「ファッションが社会に与える影響をもっと自覚してほしい」などと、猛批判を浴びました。

その後も批判が止むことはなく8月30日に突如、某セレクトショップの公式Twitterが炎上。この際、2,000件以上ものコメントがその投稿に寄せられたと言います。

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翌8月31日、某セレクトショップは即座に該当商品の販売中止を発表。Tシャツを紹介したTwitterも削除され、炎上を抑制するための策を講じました。が、某セレクトショップに対する不信感は消えず、不買運動を促す投稿が続くという最悪の結果となってしまったのです。

大手私鉄の中吊り広告の炎上事例

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参照:https://twitter.com/kenkirihara/status/1137708632794025984?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1137708632794025984%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2F207hd.com%2Fpost-6410%2F

大手私鉄が某ブランディング会社と共同で企画した「働く人を応援するメッセージ」を中吊り広告に掲載した列車を運行。
しかし、そのメッセージの1つ
「毎月50万円もらって毎日生き甲斐の無い生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか」
という広告に批判が集中し、炎上した事例です。

広告を見た人達からは、「疲れてる時に見たら普通に吐き気する」「30万ももらってないけど」など、広告に対する不快感をあらわにした声が多数挙がりました。

本来、働いている人を元気づけるための広告が裏目に出てしまった大手私鉄は、残されていた運行期間を2週間も残し、僅か10日程度で運転を取りやめる事態へと発展したのです。

大手私鉄の広報部は、「事前にチェックはしていたというものの、メッセージをお読みになったお客さまに不快な思いを抱かせてしまうというところまで思いが至らず、私どもとして反省している。こういったことがないよう、今後は再発防止に努めていきたい」とコメントを発表。

ブランディング会社側の担当者は、「金額の大小ではなく、仕事のやりがいを伝えたかったが、30万円ももらえないというのはもっともな話。不快な思いをさせてしまい、申し訳ないと思っている」と、謝罪しています。

某呉服店の炎上事例

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参照:https://twitter.com/hira_marketing/status/1141608215928422400

2016年に呉服店が自社ブログに掲載したポスターが炎上してしまった事例です。ポスターには和装に身を包んだ女性と一緒に、「ハーフの子を産みたい方に。」「ナンパしてくる人は減る。ナンパしてくる人の年収は上がる。」といった、メッセージが添えられていました。

これらのメッセージに対し、着物好きな女性はもとより男性からの批判が相次ぎ3年後の2019年に時間差で炎上。その後、呉服店は広告を削除する事態へと追い込まれました。

問題視されたのは、着物を外国人男性と結婚するための道具として捉えている点、そして日本人男性は外国人男性よりも収入が少ないと思わせる男性侮辱に似た印象を与えてしまったことです。

女性蔑視と男性蔑視が混在した非常に珍しいケースと言えます。

今回紹介した炎上事例で共通していたのは、いずれの作り手側も「明確に意図して作ったものではない」という点です。別の目的、ひいては良かれと思って作った広告であったにも関わらず、炎上の憂き目に遭ってしまったのです。

冒頭で「ユーザー心理が複雑化し炎上予測が難しくなっている」と述べましたが、まさに今回紹介した事例でその特異さが浮き彫りとなりました。

特に、呉服屋の事例では3年前のポスターが炎上するという予測不可能な事態も発生。つまり、その当時は問題にすらならなかったことが、時を経て市民感情が変化し炎上傾向が変わってしまったということに他なりません。

具体的な手法と実例

クリエイティブの炎上を防ぐためには、まず下記の2つの要素を把握するところから始めます。

・直近の炎上事例を知る
・炎上要素を整理する(炎上理由の把握)

直近に起きた炎上では、以下のような事例がありました。

①人気アニメである「鬼滅の刃」に出てくるキャラに使われているデザインを、日本維新の会所属・光本圭佑氏の選挙ポスターにそのまま使用したとされ炎上した事例。

②大阪司法書士会が出したポスターに、髪の毛がない男性のフリーアナウンサーを登場させ「遺言で不毛な争いをなくそう」という身体的特徴を揶揄するメッセージを載せ炎上した事例。

③JR品川駅のコンコースに「今日の仕事は楽しみですか?」という、コロナ禍で疲弊している通行客を逆なでするような広告が大量に掲示され炎上した事例。


直近の炎上事例を把握した後は、その事例がどんな理由で起きどうするべきだったのかを整理していきます。以下の図を参照してください。

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上記のように炎上理由やどうすればよかったのかをまとめると、自然と問題点が浮き彫りになり傾向と対策が視えてきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はクリエイティブリスク診断についてお話しました。

過去の炎上事例・直近に起きた炎上事例を含め視えてくるのは、どの企業も「いま一歩配慮が足りない」ということでしょう。考えてみれば至極当たり前のことであるにも関わらず、それを怠ってしまったがために炎上してしまった企業が多く見受けられます。

ここで重要となってくるのが、自社内だけで「広告をチェックする危うさ」を知ることです。自社で発信する広告ということもあり、その効果だけに目が行ってしまい、広告がどう思われるか?がおろそかになってしまったのではないでしょうか。

そのため、広告を展開する前に第三者の目から見て本当に問題ないのか判断してもらうのが得策だと言えます。クリエイティブ診断にご興味がございましたら弊社までお問い合わせいただけますと幸いです。

また、弊研究所では企業の広報担当者などに向けて、最新の炎上傾向を調査・分析し、お知らせしています。
その時期やタイミングによって炎上の傾向というものが変わるため、月に1回炎上研究レポートの配信や、会員企業向けの炎上事例勉強会を行なっています。
勉強会で得たケーススタディを自社のリスク対策に活かしていただくことで、より強固な危機管理体制の構築ができるかと思いますので、もしご興味をお持ちいただけた方がいらっしゃいましたら、HPのお問い合わせやフォームからお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。

会員プラン(法人のみ)について:https://dcri-digitalcrisis.com/member/
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