あめ
目が覚める。
無数の線が地面に落ちる音がする。
生活をしている途中で降る雨はあまり好きではない。
目が覚めたその瞬間から、雨が降っている。そこがいい。
雨が僕を待ち構えている。
さぁ、どうしようか。家に引きこもることもよし。思い切って外に出て濡れてやろうか。考えるだけで高揚だ。
屋内と屋外での雨は姿を変える。
聞こえる音、匂い、雰囲気、色。全てが様変わりする。
雨は僕を待っているのだろうか。
僕は雨を待っている。
雨に唄う人もいれば、雨を詠う人もいる。
数千年も前から人と雨は深いかかわりがある。
雨が時代を流していく。時代が雨で流れていく。
雨と晴は相対に見えるけれど、雨と晴は違う。
別々で楽しむものだ。
雨が好き。その日だけの音が聞こえてくる。
明日には聞けないその場しのぎの音が。
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