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松林図屏風と龍2024 東京国立博物館 東京都台東区

2024年があけてもうすぐ1か月になります。暦はさほど気にしないので、お正月だのお盆だの個人的にはあまり影響はありません。
そしてnoteにミュージアムの記憶を整理するようになって1か月が過ぎました。最初のミュージアムとして東京国立博物館(トーハク)を選び、2023年の年末に2023年お正月のコトを記しました(かなり強引)。さらにかぶせるかのように2024年正月のトーハク記を。
 




初代館長

2023年時の干支の展示は平成館内でしたが、2024年は本館内。お正月は人通りが少なかったであろう平成館前にある銅像をご存じでしょうか?
その人は初代館長の町田久成まちだ ひさなり(ひさすみとも:1838-1897)。薩摩の人。町田氏は薩摩の殿様である島津氏の庶流です。よく知らない人でしたが、過去には本館内で彼に関連するものが展示されていました。あまりの違いにはじめは気が付きませんでしたが。


トーハクはこの方から始まる
町田久成 筆 事務所に掛かっていた扁額の原稿らしい(2022年の展示)

久成さんは明治維新のころヨーロッパに渡っています。そしてヨーロッパで得た知見を活かし博物館草創期に足跡を残しています。維新後の廃仏毀釈の流れ(薩摩は特に徹底されていた)による美術品の破壊や、価値を認識する外国人による美術品の海外流出も背景にはあったようです。
ちなみに館長を務めていたのは半年ほど。そしてその後に出家。いろいろあり過ぎたのでしょうか。

町田久成 出家ver. 竹内久一 作(2022年の展示)
チェストの国の人

出家後の姿。平成館前の館長像とは雰囲気が全く違いますが、そもそも血筋は薩摩の武人。ちょっと怖い。


本館へ

今年は表門や本館入口にもいけばな真生流

前置きが長くなりましたが、いざ本館へ。お花の担当が変わっていました。撮影する方多し。去年の表門の飾りは失礼ながら素人目にも微妙。

さて干支がらみの展示

2024お正月 パンフ
受付に声を掛けたらもらえる


後陽成天皇 宸翰 「龍虎」

寅年にも使える御宸翰。見るからに文字が踊っています。
後陽成ごようぜい天皇(1571-1617)は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の時代の天皇。公家の近衛家一条家は後陽成天皇の親王が継承しています。


清朝 康熙帝 筆 「龍飛鳳舞」

こちら中国は清朝の4代皇帝康熙帝こうきてい。龍や鳳凰が飛ぶとか舞うとか縁起がよさそう。


蘭陵王  面(重要文化財)にも衣装にも龍
大阪のオバチャンならトラや豹か
まんが日本昔話とは逆の構図
ガッチリ掴まれてるし、龍に乗られても・・・

蘭陵王は雅楽の曲目の1つでイケメン武将の話らしい。


伝陳容 筆 五龍図巻(重要文化財)

最もインパクトがあった絵。陳容さんは龍の絵描きとして知られている人。 見るほどにキングギドラにしか見えなくなる。


松林図屏風

そしてお正月の主役。

今年は国宝室 七尾の人 長谷川等伯作

この展示室から人が絶えるコトはありませんでした。皆さん屏風から距離を取り、譲り合って鑑賞していたのが印象的でした。互いに邪魔しない空気までも醸し出す屏風絵。

東洋館にも

陳容さんを見て、他にも中国系があるかもと思い寄ってみます。

金沢の人 谷口吉郎設計
龍花文様段通 清朝時代
龍の目がややカワイイ系

白磁や青磁器たちの前にデーンとありました。


トーハクは能登半島震災支援の募金箱を設置し、あわせて松林図屏風の展示を延長していました。

自然の力の前に人はあまりに無力ですが、募金箱に微力ながら託しました。
被災者の方々にはお見舞い申し上げます。



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