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Medicinal Chemistry

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#創薬

創薬の指標(ver. 2023)

創薬化学の現場では、化合物最適化のための様々なパラメータが使われている。構造指標はその典型例で、リピンスキーの Ro5 などはよく知られている。古典的な考え方ではあるが、探索研究の現場でよく使われる実用的な指標で、化合物探索の生産性向上に貢献している。

最近では、学習データを使って機械学習モデルを構築、予測モデルを活用するアプローチが主流だと思う。とはいえ、古典的な経験則もやはり良いもので、実用

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【論文】Oxetanes in Drug Discovery Campaigns

2023/9/7

・創薬(2017~2022)におけるオキセタン骨格の活用事例を紹介。

・4員複素環は、低分子量・高極性・3次元性という特徴があり、水溶性が優れている傾向もあるため、有益なモチーフであると言える。

・オキセタンが酸性条件に対して不安定というのは誤解もあり、その安定性は置換パターンによって決まることが多い。3,3-二置換が最も安定。

・オキセタンの酸素原子は、σ結合を介した電

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【論文】Trends in Molecular Properties, Bioavailability, and Permeability across the Bayer Compound Collection

2023/2/8
Trends in Molecular Properties, Bioavailability, and Permeability across the Bayer Compound Collection
10.1021/acs.jmedchem.2c01577

バイエルの論文。
「経口バイオアベイラビリティ」と「膜透過性」について、自社化合物の大規模解析を実施、支配的な分子特

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ケトン体は面白い①

ケトン体に興味があって、少し調べてみようかと思います。

ケトン体 (Ketone bodies) とは、下記3化合物の総称を意味する言葉です。

近年、ケトン体は糖質制限の分野において、よく言及されています。その生理機能については、専門的な研究分野でも注目が集まっているようです。自分もその健康増進効果については興味があって、いろいろ試してみたい、調べてみたいと思っています。

炭水化物(糖質)や

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【書籍】老化研究をはじめる前に読む本〜450本の必読論文のエッセンス

興味があったので、通読してみました。

老化やアンチエイジングの定義に始まり、老化のメカニズムについて分かっていること、治療薬として有望視されてる化学物質の情報など、簡潔にまとめられていて勉強になりました。専門家だけでなく、一般の方にとっても、読みやすい本ではないかと思います。

引用文献は、番外編を含めて450報。素晴らしいガイドブックだと思いました。今後、興味ある論点については、原著論文を参照

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