ryuyama00

創薬周辺を中心に書いていきます。

ryuyama00

創薬周辺を中心に書いていきます。

マガジン

最近の記事

Synthetic approaches to the new drugs

最も可能性が高いと考えられるNCEsのプロセススケール合成について考察する論文。毎年執筆されており、勉強になるシリーズ。 ※NCEs: New Chemical Entities Synthetic Approaches to the New Drugs Approved During 2022 2024/3/15 10.1021/acs.jmedchem.3c02374 Synthetic Approaches to the New Drugs Approved Dur

    • 創薬の指標(ver. 2023)

      創薬化学の現場では、化合物最適化のための様々なパラメータが使われている。構造指標はその典型例で、リピンスキーの Ro5 などはよく知られている。古典的な考え方ではあるが、探索研究の現場でよく使われる実用的な指標で、化合物探索の生産性向上に貢献している。 最近では、学習データを使って機械学習モデルを構築、予測モデルを活用するアプローチが主流だと思う。とはいえ、古典的な経験則もやはり良いもので、実用性は高い(現実に役に立っているから生き残るわけで)。古典的な構造指標を説明変数と

      • 【論文】Trehalose-Bearing Carriers to Target Impaired Autophagy and Protein Aggregation Diseases

        2023/11/29 トレハロースに関する既存文献を総括しており、今後の展望について言及。 トレハロースがオートファジーを誘導したり、ミスフォールドタンパク質の凝集を抑制することは以前から知られている。神経変性疾患、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、動脈硬化症、虚血性疾患などの疾患群に対して、治療薬となる可能性について研究されている。 トレハロースの構造は下図の通り。グルコースが1,1-グリコシド結合をしてできた二糖。非常に安価で入手可能。これが治療薬に

        • Practical Reactions / Bond Formation

          Three-component Condensation / MAC Reagent α -Acetoxyacetic Acid Methyl Esters; General Procedures Method A (21a-e) H-MAC-Ac (16; 29.8 mg, 0.24 mmol, 1.2 equiv) was added to a solution of 20 (0.20 mmol, 1.0 equiv) and base (0.30 mmol, 1.

        Synthetic approaches to the new drugs

        マガジン

        • 論文メモ
          7本
        • Medicinal Chemistry
          12本
        • Drug Discovery
          16本
        • Practical Reactions
          8本
        • プログラミング
          1本
        • 英語
          2本

        記事

          Practical Reactions / FGI

          B(OH)2, Bpin → NH2 1 Add boronic acid (0.5 mmol, 1.0 equiv.) and N-Boc-Otosylhydroxylamine (1.5 equiv.) in 1, 2-dichloroethane (1 mL) to a round-bottom flask equipped with a magnetic stirring bar at room temperature. 2 Add trifluoroacetic

          Practical Reactions / FGI

          【論文】Oxetanes in Drug Discovery Campaigns

          2023/9/7 ・創薬(2017~2022)におけるオキセタン骨格の活用事例を紹介。 ・4員複素環は、低分子量・高極性・3次元性という特徴があり、水溶性が優れている傾向もあるため、有益なモチーフであると言える。 ・オキセタンが酸性条件に対して不安定というのは誤解もあり、その安定性は置換パターンによって決まることが多い。3,3-二置換が最も安定。 ・オキセタンの酸素原子は、σ結合を介した電子求引性(3位)を示す。オキセタンをつけたアミンは塩基性が低下し、pKaH が

          【論文】Oxetanes in Drug Discovery Campaigns

          Practical Reactions / Bond Formation

          DMF-DMA / dimethylaminomethylation A solution of 1-[3-(4-benzoyl-2-methyl-piperazin-1-sulfonyl)-1H-pyrrolo[2,3-c]pyridin-7-yl]-ethanone (0.78 g, 1.8 mmol) and dimethylformamide dimetylacetal (6.3 mL) in anhydrous DMF (6.5 mL) was stirred a

          Practical Reactions / Bond Formation

          Practical Reactions / Bond Formation

          Mitsunobu Reaction / Tsunoda Reagent To a solution of 2-(1,3-dioxan-2-yl)ethylsulfonamide (295.3 mg, 1.5 mmol) and 2-octen-1-ol (155 μL, 1.0 mmol) in dry toluene (5 mL) was added CMBP (0.4 mL, 1.5 mmol) at rt under an argon atmosphere. The

          Practical Reactions / Bond Formation

          英語で遊ぼう(インプット編)①

          機械翻訳やChatGPTが使われるようになって以降、英文の読み方(情報処理)にも、様々なテクニックが活用されるようになった。この手のテクニックは、専門外の論文を読んだり、大量の文章の中から目的情報を抽出したり、精読前に大意を掴んだりと、使い方次第ではなかなか便利だと思う。(情報抽出の観点でも、情報調査の観点でも) もちろん、自然言語処理的な手法は、英語以外にも適用可能である。「英語一強の言語帝国主義」といった状況は、徐々に変わっていくのかもしれない。(" 国際共通語として

          英語で遊ぼう(インプット編)①

          【論文】Organism-wide, cell-type-specific secretome mapping of exercise training in mice

          2023/5/3 ・運動によって肝臓から CES2 の分泌が誘導される(乳酸刺激) CES2 carboxylesterase 2 [ Homo sapiens (human) ] ・可溶性CES2タンパク質はマウスにおいて、抗肥満、抗糖尿病、パフォーマンス向上作用を示す ・運動により誘導される肝臓からのCES2の分泌は、初代肝細胞に乳酸を添加する in vitro 試験においても再現される

          【論文】Organism-wide, cell-type-specific secretome mapping of exercise training in mice

          【論文】An Analysis of Successful Hit-to-Clinical Candidate Pairs

          2023/5/24 ・医薬品候補化合物の構造とヒット化合物の構造を比較 ・JMC (2018~2021) に発表された156報の報告が分析対象 ・開発候補化合物の創出につながった、主要なヒット創出のアプローチは下記の通り Known Compounds (59%) Random Screening (21%) Directed Screening (11%) Fragment Screening (7%) Virtual Screening (1%) DEL (<1%

          【論文】An Analysis of Successful Hit-to-Clinical Candidate Pairs

          【論文】Trends in Molecular Properties, Bioavailability, and Permeability across the Bayer Compound Collection

          2023/2/8 Trends in Molecular Properties, Bioavailability, and Permeability across the Bayer Compound Collection 10.1021/acs.jmedchem.2c01577 バイエルの論文。 「経口バイオアベイラビリティ」と「膜透過性」について、自社化合物の大規模解析を実施、支配的な分子特性について検証。2000を超えるラットのBAデータ、20000を超える Caco

          【論文】Trends in Molecular Properties, Bioavailability, and Permeability across the Bayer Compound Collection

          【書籍】COVID-19神経ハンドブック 急性期,後遺症からワクチン副反応まで

          書店でたまたま手に取った書籍ですが、興味深い内容でした。ワクチンの副作用に関する情報、新型コロナウイルスに感染した後の症状(long COVID, Neuro-COVID) に関する情報もまとめられています。専門書の位置づけですが、一般の方にとっても、比較的読みやすいのではと思います。最新情報を得るには、PubMed の総説を読めば良いのですが、母国語の書籍として知識がまとまっていることも重要です。オススメの書籍です。 新型コロナウイルス感染症の一件について(思ったこと)

          【書籍】COVID-19神経ハンドブック 急性期,後遺症からワクチン副反応まで

          ケトン体は面白い①

          ケトン体に興味があって、少し調べてみようかと思います。 ケトン体 (Ketone bodies) とは、下記3化合物の総称を意味する言葉です。 近年、ケトン体は糖質制限の分野において、よく言及されています。その生理機能については、専門的な研究分野でも注目が集まっているようです。自分もその健康増進効果については興味があって、いろいろ試してみたい、調べてみたいと思っています。 炭水化物(糖質)や脂肪(脂肪酸)を摂取すると、生体内でアセチルCoAに変換され、ミトコンドリア内の

          ケトン体は面白い①

          【書籍】老化研究をはじめる前に読む本〜450本の必読論文のエッセンス

          興味があったので、通読してみました。 老化やアンチエイジングの定義に始まり、老化のメカニズムについて分かっていること、治療薬として有望視されてる化学物質の情報など、簡潔にまとめられていて勉強になりました。専門家だけでなく、一般の方にとっても、読みやすい本ではないかと思います。 引用文献は、番外編を含めて450報。素晴らしいガイドブックだと思いました。今後、興味ある論点については、原著論文を参照し、理解を深めていきたいと思います。 第三章の「老化治療薬として有望視されてい

          【書籍】老化研究をはじめる前に読む本〜450本の必読論文のエッセンス

          良い創薬ターゲットとは?(参考)

          ※随時追加&更新 2010 Principles of early drug discovery 2011 What makes a good drug target? 2020 Improving target assessment in biomedical research: the GOT-IT recommendations 2018 ターゲットバリデーションについて 2021 創薬ターゲットを選定する際の7つのポイント アンメット・メディカル・ニーズに

          良い創薬ターゲットとは?(参考)