マガジンのカバー画像

詩とも言えない即興詩

7
練習用なので悪しからず。創作メモとしてネタを詩の形式で積むこともあるかもしれない
運営しているクリエイター

#日常

金木犀の香り

金木犀の香り

 彼岸が過ぎて、めっきり冷え込むようになった今日この頃。異常気象で暑さに参ってしまうような日が続いていたのに、彼岸を過ぎればやっぱり寒くはなるらしい。自然はすごいと言うべきか、こんな気候はおかしいと言うべきか。

 いつもの路地を辿っていると、ふと甘い匂いが鼻腔をくすぐった。砂糖の甘さとも、果実の甘さとも違う、どこか不思議な甘さ。
 確かこの辺に、あれがあったはず……。

 やっぱり。
 金木犀の

もっとみる

重い頬

頬が重たいことに気がついた

鏡を見れば、唇を巻き込んで、へたりと頬が落ちている

身の回りに不幸を振りまいていそうな、縁起の悪い顔

それで物事が上手く回らなかったのか

そういえば最近は、舌も上手く回らなかった

頬に手を当て、ぐにりと持ち上げる

持ち上げたまま口をもぞもぞ

手を離して、思いっきり、ニーーーッ

鏡の中の顔は笑顔

心はフラット

これでいい

これで「楽しい」も歩み寄って

もっとみる

空気の匂い

久しぶりに外を歩く。

冷めかけた鉄のような、青とも赤とも、紫ともつかない不思議な色の空

肺いっぱいに、空気を吸い込む

濡れた空気の匂い

誰も居ない山が恋しくなった

久しぶりに外を歩いている

頭の上から落ちてくる、クリーム色の街灯の光

肺いっぱいに空気を吸い込む

近所の家から漂う、醤油の焦げる匂い

なんとなく、おばあちゃんに会いたくなった

久しぶりに外を歩いていた

部屋の中を照

もっとみる