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それぞれの行き先 Ⅱ章 彼女の場合

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彼女は、ゆっくりと黒い海に沈んでいく……。 これは「器だった欠片」の物語。
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#連載小説

Ⅱ章 彼女の場合①

「舞衣さん、起きてますー?舞衣さーん!」 「まーた朝帰りですかー?」  麻生舞衣は、後輩…

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Ⅱ章 彼女の場合②

 私は、人の幸せを認めることが出来ない。無論、祝福することも耐えられない。その眩しさは私…

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Ⅱ章 彼女の場合③

「この時間が来ると月末って感じがするわね~」  くるりと椅子を一回転させながら舞衣はいう…

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Ⅱ章 彼女の場合④

「アンタ、またサボり?」  体育館の壇上で寝転がっている彼を見て、私は怪訝な顔で声を掛け…

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Ⅱ章 彼女の場合⑤

※本話は、試合内容を含みます。説明の補助のため、コート画像/用語集を転載しております。 …

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Ⅱ章 彼女の場合⑥

 第3クォーターの笛が鳴ってすぐ、青応が仕掛けた。 ボールを持ったハルや亮二、純に激しい…

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Ⅱ章 彼女の場合⑦

※本話は、試合内容を含みます。説明の補助のため、コート画像/用語集を転載しております。 「なんで俺が純と入れ替わらなきゃならないんですか!!」  第3クォーター終了時点   由比ヶ浜高校 52 ―― 青応大附属高校 49  抑えきれない怒りと悲しみが混ざり合ったその声は、3年間を共にした監督とメンバー達に向けられた。亮二の声がベンチに響いた。  最大17点差のリードを付けた由比ヶ浜の流れは、第3クォーターで完全に変わってしまった。中心人物の悠木 純が抑えられたこ

Ⅱ章 彼女の場合⑧

 私は走った。 コートの出入り口を抜け、控室の扉を開いた。 そこに彼の姿はなく、荷物も無く…

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Ⅱ章 彼女の場合⑨

 大学に入ってからの日々は、高校生活とはまるで違った。  好きなように選べる講義やサーク…

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Ⅱ章 彼女の場合➉

 パンッ!という音と共に、私の右頬は反対方向へ押し出された。 ――――大学4年の夏。 とう…

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