夢を追うには 今からでも遅くはない
あるゲームの中の物語で、こんな言葉に出会いました(大意)。
野心に満ちた高齢者を鼓舞するメッセージだったらありがちな言い回しかもしれませんが、私が見たこの言葉はストーリー上、30代の登場人物…以下Aに投げかけられたものでした。
噛み砕いて説明しますと、曰く、一身上の都合で長年の夢から手を引くことになったAは、若い世代にその夢を託すべく独り考えていたと。
その後”人生はまだまだ長いのだから”とも諭され、Aはこれまでの生き方を続ける傍らでかつての憧憬を再び追いかけるという結末を迎えました。
別段珍しいメッセージではないのに、不意に刺さってしまった27歳がここにあり。
27歳の私こそ人が見れば立派な若輩者かもしれませんが、一度考えを巡らせたら最後、「言うは易し行うは難し?」なんて風に止まらなくなりました。
時代の寵児 またひとり
個人的体験としては、自分より若いクリエイターが時代を席巻するのをネットなどを通じて日々目撃してきたのが最大の要因です。
SNSの普及などによって、誰も彼もがコンテンツ作りに平等に参加できるようになりました。このレッドオーシャンでは済まされない生存戦争においては、プロかアマか、ましてや年齢なんて関係ありません。近年ではネットでバズった事柄をテレビのニュースが取り上げるという場面が毎日のように展開されていますが、これはSNSにおけるバズの爆発力が既存のメディアを凌駕することをよく表しており、そうなったときのコンテンツの波及はこれまでのエンタメの歴史を塗り替えるに足るレベルにまで加速します。言うなれば、毎週毎日知らず知らずのうちにシンデレラストーリーが芽吹いているといってよいと思います。花が咲くかは別の話になりますが…
その中で彼らは、アイデアを具現化するために私の使える何倍・何十倍・何百倍…もの大きな資金やコネクションを操りながら、生き残りをかけて戦っています。そう思うと自然と、「まだ若いのに」ヨソに誇れるモノを作れているのは羨ましいというある種のバイアスができちゃっていることに気付かされました。
早死にしそうなほどに功績を急ぐつもりはない。しかし現状を焦りすぎてはいけない…それでも「動かなきゃ」「何かしなきゃ」という強迫観念に苛まれて…ここをどう割り切るかが何より難しいポイントだと日々痛感しています。
手を止めるな?道具を研げ?
ここで思い起こすのは「木こりのジレンマ」という言葉です。
木こりの持っている斧が刃こぼれした時、効率よく木を切り続けるためには「刃こぼれしても構わず作業を続ける」「一旦作業を止めて斧を研ぐ」どちらが効率が良いのかという問題です。
この問題だけ見れば「作業を止めないほうがいい」「斧を研いだほうが良い」どちらの結論も考え得るのがジレンマたる所以でしょう。
有り体に言えば、私はアウトプットの数にこだわるあまり、腰を据えてインプットするモードになかなか入らないタイプです。温めていたアイデアをどこぞの誰かが先んじて放ってくるかもしれないし、一方でそろそろ何か学ばないと、ネタ切れとか頭打ちになってしまわないかとどこかで分かっている…そんなチグハグな状態が続いていくのが悩みでした。
コンテンツの波及速度が速くなった今を呪ったところで解決にはならず、冷静になってみれば、これではただ焦って空回る未来ばかりが見えてきます。こんな時こそ…
手を止めるのは「今からでも遅くはない」
動き出すのは「それからでも遅くはない」
「人生はまだまだ長い」
冒頭に書いたAとは事情が違いますが、そう言い聞かせられる気概を身につけたいものです。
最初は簡単に書き残す程度のつもりでしたが、形にするのに時間を要しました。