放課後、の問題解決
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール。
ご縁があり2年前から細々と寄付したり応援しているNPOです。
平岩さんにより2009年設立、スタッフ300人、ボランティア300人の大勢力。
通常の会社であれば売上に相当する経常収益は6億円規模(2018年)、年々成長しつつしかも黒字。スタートアップなら上場が視野に入るような堂々たる事業規模です。(公式サイト)
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平岩さん達が解決しようとしている事は、「放課後の解決」。
かつて実際に現場の都内の小学校に行って見てきましたが、この着眼点の凄さですよ。放課後に着目し、徹底的にそれを「解決」しようとするその姿勢が凄いです。
子どもが小学生になると、保護者側の就労時間と小学校や学童で子どもを預かってくれる時間とのギャップに悩む方が少なくありません。子どもたちが安心して放課後を過ごせる場所がほしい。そしてできることなら様々な体験をして、楽しく過ごしてほしい、小さな子を持つ多くの親たちにはそんな願い、つまりニーズ、ペインがある訳です。
つまり設定はこうです。
問題:子供サイド
(公式サイトより)
魔の時間帯、放課後
子どもの事件の約6〜7割は15時〜18時に起きるというデータがあります。昨今子どもが襲われる事件が後を絶ちません。多くの事件は、学校と家庭など大人の目が離れる時間帯、放課後に起きています。諸外国では放課後は「リスクの高い魔の時間」と呼ばれることがあります。放課後は本来チャンスの時間、リスクの時間にしてはいけないのです。
過ごす場所が限られた放課後、1人で過ごす放課後、やりたいことが出来ない放課後、そんな放課後が子どもたちの心を締め付けています。
「将来の夢なんてとくにないよ。だって大人はつまらなそう。」
そう口にする子どもがいます。放課後ののびのびとした「時間」、たくさん遊び場があった「空間」、とにかくみんなで遊んだ「仲間」、そんな放課後は過去のものになりました。放課後の公園を見てください。子どもがいなくて静かな公園がたくさんあります。
問題:親サイド
「実は小学校の方が本当に大変なんです…。」
「待機児童問題」は概ね保育園のことをイメージすると思います。
しかし、小学生にも待機児童はあります。学童保育の数が足りないのです。
さらに小学生になると子どもたちの行動範囲や趣味も広がり、単に預かる場だけあっても子どもの興味関心に対応しきれません。
結果として、子どもが小学生になるタイミングで保護者が仕事を諦める社会問題「小1の壁」が多くの子育て世帯を苦しめています。
ソリューション:
放課後の小学校を活用。提携し、グランド、教室、体育館等を貸して頂き、そこで市民先生達が教える。そんな地域社会みんなで子どもを育てる「アフタースクールモデル」を、日本全国の子どもたちに豊かな放課後を届けるための解決策とする。
引退した大工の棟梁、おやつを作ってくださるおばあちゃん、昔遊びを教えてくれるおじいちゃん、現役のスポーツ選手、紅白出場のダンサー、実際に見学させて頂きましたが、実に様々な「市民先生」がイキイキと子供たちに囲まれてワイワイやっている光景を目にして、衝撃を受けました。
はじめてUberやAirbnbに出会った時のような衝撃でした。
革新性に支えられた情熱と課題設定の鋭さがかみ合っている感じ、と申しましょうか。
何よりもその仕組み、事業会社でいえばビジネスモデルがすごい。
放課後に小学生を預かって、ポジティブな体験をしてほしい親(顧客)、
小学校という遊休設備を、資産として使わせて頂く事(放課後は全く稼働していないのです!)、
市民先生というボランティアをコンテンツプロバイダーとして巻き込む事、
この3つのステークホルダーを組み合わせ、シェアリングエコノミーのメカニズムを非営利の教育セクターに持ち込んだように私には見えたんですね、
そしてそれを安全な下校ルートの設計等の「運営ノウハウ」と共に組み合わせパッケージ化している。それを地方に輸出まで始めている。
いわば、プラットフォームとして地域社会で機能している点が非常にユニークなのです。
ランクさんの取材にはこうお答えです。
・他の学童と放課後NPOアフタースクールの違いって何でしょうか?
・プログラムですね。誰でも参加可能で安全に過ごせることを大前提に、子どもの第二の活動の場所として色々な学びや経験を提供できるのがアフタースクールの魅力です。民間学童は企業内で閉じてしまいがちですが、私たちアフタースクールは、多くの地域の方々や企業と連携をし、様々なプログラムを提供しています。
プログラムは、豊富な知恵や技術を持った多くの「市民先生」に支えられており、「子どもたちにこういう経験をさせてあげたい」という思いや目標を共有することを大切にしています。
スクール毎にもプログラムの違いがあり、子どもたちの興味を大切にしています。ドローンやプログラミングといった最新コンテンツも積極的に取り入れるようにしていますね。新しいものには新しい発見がありますから。現在、ある企業様とプログラミングのコンテンツ開発を行っていますが、普通なら高額のプログラミング体験を、企業からの助成を受け、ボランティアスタッフに支えられながら、幅広い子どもたちに届けています。
すごくないですか。。このパッケージ化力。
さらに、です、Collective Impact 企業・行政協働プロジェクトとして以下の展開も加速してきています。
企業との取り組み
お菓子作りカルビー、プログラミングはセールスフォース、最近ではメルカリさんとも始めています。
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放課後、にもコロナ禍
という事で大変注目されるNPOなのですが、そこでこのコロナ禍、です。
どのような影響があるのでしょうか。一言で言えば、この社会のライフラインにも大問題が起きています。
平岩さんインタビュー
全国一斉臨時休校要請発表を受けて〜放課後NPOアフタースクール激動の1週間〜
【新たな挑戦!】アフタースクールの友達にオンラインで会いにいく
放課後をオンライン・テクノロジーでDXする試み。
このままではせっかくここまで広がりつつある仕組み、火が消えてしまう。
感染拡大を防止する事が第一優先の社会課題ですが、それを支える裏方の仕組みや、さらに感染拡大の後に来るであろう、不況や各種の仕組みの綻びによる社会的後退。局地的には崩壊や壊滅。この衝撃波の方がはるかに大きい負を生む可能性があると私は恐れています。
平岩さんから頂いたメッセージ
「私たちは子どもたちの遊びの力や 楽しいことを自ら生み出す大切さを信じています。今回のことは本当に大変なことでしたが、様々なオンラインコンテンツがフリーになったり、子ども同士が離れていてもコミュニケーションをとるツールもかなり使われて、新しい過ごし方、学びの形を発見できる機会かもしれません。
制約があるからこそ生まれるアイデアや絆もあります。
友達と過ごす大切さを子どもたちも強く感じことと思います。
また素敵な放課後をみんなで取り戻したいと思っています。
このような不安定な社会でこそ子どもたちが希望です。どうかお力をお借りできれば幸いです。 」
今回、以下の特設寄付コーナーが開設されたのでシェア致します。
【緊急寄付窓口開設】学童保育支援にご協力をお願いいたします!
学童保育を支えるための放課後NPOアフタースクールの具体的な取り組み
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