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【雑文】ベラスケスとベーコン 《17世紀と20世紀の絵画の比較》


《インノケンティウス10世の肖像》 1650年

上の絵は17世紀の巨匠、ベラスケスの習作。

ベラスケスについては、これまでも何度か記事で触れていますが、彼は画家のなかの画家ともいわれいる美術史史上もっとも重要な画家のひとりです。

17世紀のバロック時代の画家はカラヴァッジオを筆頭にルーベンスやプッサン、フェルメールなど優れた画家がたくさんいましたが、ベラスケスはその中でも突出した存在だと思います。

あくまで私見ですが、17世紀の画家でベラスケスと肩を並べられるのはレンブラントぐらいじゃないでしょうか。

《ベラスケスによるインノケンティウス10世の肖像画後の習作》1953年

こちらは20世紀の巨匠、フランシス・ベーコンの代表作。

ベラスケスの作品を再解釈してインノケンティウスの心理を誇張させた描写となっています。

ベラスケスが人物の外面に焦点を当てているのに対し、ベーコンは人物の内面に焦点を当てて描いています。ベーコンの作品は見た目がグロテスクなため、拒絶反応を示す人も多いのも事実です。

しかし芸術作品は美醜でその良し悪しを判断すると鑑賞の幅を狭めてしまいます。美しい表現、醜い表現、滑稽な表現、怪しげな表現、不思議な表現、色々な創作の仕方があって然るべきでしょう。

そう考えるとある意味ベーコンの作品は、ベラスケスの肖像画以上にインノケンティウスという人物の真実に迫っていると言えるのではないでしょうか。

※タイトル画像はベーコンの『三連祭壇画』です。

最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございました!