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天災(人災)は必ず起こる

地球温暖化が進み、ここ数年、これまで考えられなかったような異常気象が私たちの国土を襲っている。
近年では、経験したことがないような豪雨により、大水害や土砂災害が多発している。
また、内閣府によると、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は70~80%、首都直下地震が今後30年以内に発生する確率は70%程度であるとされている。
日本の自然災害発生の危険は、程度の差こそあれ、国内全土の危険度が高いと思っていて間違いない。
地震、火山噴火、台風、洪水、土砂災害。
日頃あたりまえに見聞きするこれらの災害が、狭い国土で頻繁に起こり、人口が密集した国はそうそうないだろう。

国土交通省の防災対応

東日本大震災の時、国土交通省が初めにしたことは、TEC-FORC隊による災害調査派遣だった。
TEC-FORC隊とは大規模な自然災害に際して、被災状況の把握、拡大防止、早期復旧等に対する技術支援を実施する緊急災害対策派遣隊のことだ。
人命救助の際、最優先されるのは救急車などの緊急車両が通れるようにする道路啓開だ。
救援物資の配送や、ライフラインの復旧も、道路交通が確保されて初めて可能になる。
このことを理解せず、国交省は緊急性の低い災害調査のためにTEC-FORC隊を震災3日目で511人も大量に派遣した。
救援物資がほとんど届いていない中、TEC-FORC隊は直轄の河川堤防・道路調査の被災調査を行った。もともと県からの要請はなく、大臣にTEC-FORC隊が頑張っているパフォーマンスを見せるための行動だった。
これに対し、東北三県からは現地の混乱、ガソリン不足から「人命救助をしないTEC-FORC隊は帰って欲しい」と要望されてしまう。

災害の混乱時には、ある程度の失敗は致し方ないだろう。
しかし、南海トラフ地震や首都直下地震における活動計画では、大量の派遣隊員数が決定されている。
国交省としての最大の支援は道路啓開ではないか。
各地方整備局の道路部が中心となり、近隣県と調整しながら建設会社の重機で道路啓開を行う。
命を守る貴重な3日間に、TEC-FORC隊が災害調査をするほどの緊急性はない。
人命救助を優先すべき大災害時ほど、現場が必要なときに、必要な人・資材を提供する姿勢が必要である。

防災福祉先進国・スイス

近年、防災福祉先進国として注目されているのがスイスだ。
永世中立国として、外国軍の武力攻撃やテロリズムなどの有事や災害時に対する備えを徹底し、官公庁や駅、学校、病院、社会福祉施設などの公共施設はもとより、自宅やホテル、スーパーなどに核シェルターを整備したり、食糧・飲料水などを長期に備蓄し、防災および減災に務めている。

災害の危険度だが、スイスは山国のため、津波や高潮、液状化の心配はない。
雪崩、崖崩れなどの土砂災害や暴風、竜巻、豪雪、河川の氾濫などの風水害の危険度もほとんどなく、活火山もない。
原発は2034年までに全て廃炉になり、原子力災害の心配も払拭さてつつある。
国民は自治体の補助を受け、核シェルターを建設し、少なくとも2ヶ月間、互助によっては最長半年間、避難生活を送ることができるよう、有事はもとより、災害時に備えている。
また、行政は連邦政府・州政府・基礎自治体の三構造からなっており、新しい法案などは、その都度国民・州投票で問うているため、民意が直接、政治に届けられている。

これに対し日本は戦後、三権分立および直接民主制を敷いたものの、官尊民卑やお上意識、保守的な政治風土が根強く、集権国家のままである。
今こそ、スイスの危機管理に学び、日本の歩むべき道を示さなければならない。

自分のいる場所がどんな水域か知っているか

温暖化により、豪雨が増加したが、これは一過性のものではなく、これからもずっと続くだろう。
首都圏や地方に関係なく、誰もが水害の当事者になりうる。
自治体のハザードマップを必ず見ることはもちろんだが、地名から災害を予測することも可能だ。
地名の由来は諸説あり、信憑性に乏しいものもある。
しかし、その土地の性質または形状を表している可能性もある。

土地の性質と地名の関係
【台地】台、平、比良、野、牧、田井・・・
【低地】芥、阿久津、阿久戸、草、谷、戸、洞・・・
【斜面】崖、坂、岸、埼、傾、峠、峡、花、塙・・・
【崩壊地形】、厚、小豆、篤、安土、倉・・・
【埋立地】梅、埋、宇目、馬・・・

今回の熱海土砂災害との因果関係は不明だが、より詳しく知りたければ、これらを記した書籍で参照いただきたい。
しかし、どの資料を参考にしたとしても注意すべきことは、現在では新興住宅街や区画整理・市町村合併などで、土地の性質を教えてくれる地名が消えてしまっていることだ。
かつての地名を知るには、古地図を見るしかない。
これからは自分で正しい情報をつかみにいくことが重要だ。
自分の身は自分で守る」という意識を誰もが持っておかねばならない。

これからの防災

前述したように、国交省の対応に疑問を持つのは当然だろう。
本当に国の言うことを信じていいのだろうか。
テレビなどでは「指示に従ってください」と言うが、不安になる人も多い。
阪神・淡路大震災で救助隊に助けられたのは、たった1.7%だ。
自衛隊、消防の数には限りがあり、大災害ほど行政には守ってもらえない。

では、各個人でできることとは何か。
独自のハザードマップを作成するのだ。
避難すべき状況とはどんな時かシュミレーションしておく。
また、地震時の対応、地域での協力体制の確立も必須である。
国やマスコミは住民をお客様扱いするが、大災害ほど市民の協力は必要不可欠だ。
災害は状況により最適解は変わるため、自分で考え、自らの命は自ら守り、家族・地域を守る
そんな自立した市民を目指すべきだろう。

まとめ

日本の原型が作られ始めたのは数千万年前・・・そして紀伊半島が衝突したのが60万年前である。
地殻変動や地震・噴火により、今の日本が形成された。
現代に生きる日本人は、この時間感覚が乏しいのではないか。(平均寿命85歳前後)
地球規模からすると、一瞬のできごとであり、今後も変化(災害)があるのは当然のことである。
また、日本にある活火山の数は100を超える。この300年ほど大きな噴火は起きてないが、歴史的には珍しい。(300年は短い)

テクノロジーの進化により、自然がもたらす危機に対して、ある程度予測できる部分もある。
現代の科学では災害がいつ起こるかは正確に予測できない。
だが、いつかは起こるのである。

生き残るためには環境に適応しなければならない。
生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している。
備えよう!


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