ryuichi_himori

1949生れ 東京都出身 団塊の世代です 32年間のヤマハ(株)勤務を経て58歳で嘉悦…

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1949生れ 東京都出身 団塊の世代です 32年間のヤマハ(株)勤務を経て58歳で嘉悦大学教授・副学長、65歳で北陸大学教授・副学長を務め、 73歳で退職しました。専門は文化政策、アートマネジメント、自治体経営改革など ヤマハ在職中51歳で大学院進学、修士の学位を取りました

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0.大学教授になりたいですか?

リスキリングのその先へ・・・ 大学教授の仕事に興味ありますか?この一連のnote記事は、民間企業(大手製造業)の文系社員から大学教授に転身し、二つの大学で副学長を務め、教員の採用にも携わった私が、その経験を活かして主として文系サラリーマン・公務員で次のキャリアとして大学教授を考えている方にアドバイスを行うものです。というのも、特に地方の私立大学で教員の採用に苦労しているからです。この記事を参考に、一人でも多くの、教員にふさわしい方がチャレンジされることを願っています。 な

    • 18.教員採用選考の裏側(専任大学教員の仕事その3)

      1. 専任大学教員の仕事:公募教員選考 専任大学教員の仕事の一つに公募教員の選考がある。私が経験した大学では、配属予定の学部の学部長、学科長と関連分野の教員、採用後協働する予定の教員(初年次教育や語学など)数名が参加する。まず教員側が応募書類をじっくり読み込んだ上で、担当理事、人事担当職員と協議し、面接・模擬授業に来てもらう応募者を絞り込む。この段階で落とされた人のところに「お祈り連絡」が行く(この段階で教員側の判断で該当者なし、とする場合もある)。選考への参加も専任教員の

      • 17.なってみなければ想像もつかない専任大学教員の仕事その2

        試験問題作成だけでは済まない入試にまつわる教員の仕事 年内入試への対応のお仕事 前回は専任教員の大事な仕事、入試問題の作成を紹介したが、入試に関する教員の仕事はそれだけではない。それを説明する前に、現代の大学入試に触れておこう。 前回も触れたように入試は大きく三つに分かれる。総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜(及び特別選抜)である。前の二つを年内入試と言う。ほとんどは9月から12月に行われるからである。中小私大では入学者に占める年内入試の比率が高い。以前は8月から入試を

        • 16.なってみなければ想像もつかない専任大学教員の仕事

          教員がやらなければならならない仕事「学務」 よく非常勤しか経験のない先生が「専任になったらこんなにたくさんいろいろな仕事があるのか」と驚く。 前にも書いたように大学には教員の仕事と職員の仕事がある(ちなみに職員は教員の部下ではなく、全く別の仕事をしている。企業から来た実務家教員が驚くのはコピー取りも出張精算も事務用品の手配も全部自分でやらなければならないことだ。平社員時代に戻るのである)。 しかし教員にも教育と研究以外に学務(学内事務)と言う仕事がある。大学教員には教育、

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        0.大学教授になりたいですか?

          15.専任教員はつぶしがきかなければならない

          1.純粋アカデミアとは異なる、今大学教員に求められること 社会人大学院生のころ恩師の中邨章先生は、「大学教員はつぶしがきかなければならない」とおっしゃった。多くの教え子の面倒を見て専任教員として送り込んできた先生の実感だと思うが、当時は大学教員になるつもりはなかったので聞き流していた。 しかし自分が大学教員になり、さらに副学長という立場になってみてその意味が良く分かった。それは自分の専門以外にどれだけ周辺の科目を教えることができるかが決定的に大事だということである。アカデミ

          15.専任教員はつぶしがきかなければならない

          14.昔とは大きく異なる学生の姿、なぜそうなったのか

          大学の変遷 私が大学に入学したのは1968年、この年の4年制大学への進学率は13.9%だったが、団塊の世代最後の年で18歳人口は236万人もいたため、新入生の数は33万人だった。この当時大学は急速に「マンモス化」した。大学は急速な学生数の増加に施設整備が追い付かず、授業のほとんどは大教室で大人数、1年の語学クラスでも1クラス60人は当たり前だった。90分授業で先生が30分くらい遅れてくるのはざらだったし、休講の補講もほとんどなかった。 当時の大学は1,2年が一般教養と語学、

          14.昔とは大きく異なる学生の姿、なぜそうなったのか

          13.即採用される大学教員とは

          応募に当たって必要な就活生の企業研究ならぬ「大学研究」 大学教員の採用に携わっていて数百人の応募書類を見たが、大学がなぜ教員を募集しているのかを把握している応募者は驚くほど少ない。せいぜいホームページに書いてある校是やビジョンに触れる程度である。これでは就活学生の企業研究にも及ばない。企業研究と同じように応募する大学の大学研究が必要なのである。なぜ、いまこの公募が出るのか、その背景にある大学の戦略は何か、大学がその戦略をとる背景(その大学の置かれた状況や所在地の地域社会、文

          13.即採用される大学教員とは

          12.自分には大学教員としての発想ができるのか?

          日経電子版の記事によるケーススタディ 大学教授になろうとするとき、そもそも自分は現代の大学教員としての発想、考え方ができるのかを考えなければならない。このことを確かめる上で格好のケースが2024年4月12日の日経電子版に出ていた(同記事は4月14日朝刊27面にも掲載)。 『「来年度は契約更新しません」。2020年12月、関西の私立大で英語を教えていた50代の男性は、大学側からの突然の宣告にがくぜんとした。16年度から学期ごとに5〜6コマの授業を担当。必修科目の英語はコマ数

          12.自分には大学教員としての発想ができるのか?

          11.大学教授になるために、地方私大の役割にに注目しよう

          地方私大はどのような役割を果たしているのか、その中で自分はどんな役割が果たせるのか 大学教授になるには、自分がどのような知識能力があるのかということの前に、そもそも社会において大学はどのような役割を求められているのか、そして大学が育てている人材(学生)にはどのようなニーズがあるのかを知らなければならない。その上で求められる役割やニーズに自分の持っている知識能力を果たして役立てることができるのかどうかを自分自身に問う必要がある。 そもそも首都圏(1都3県)のGDPは日本のGD

          11.大学教授になるために、地方私大の役割にに注目しよう

          10.公募によらない大学教員の採用

          私はなぜよばれたのだろうか? 大学教授になる道は公募だけではない。むしろ個別に声をかけられて、という方が多いかもしれない。例えば金沢工業大学では教員採用に当たって公募はしていない。私の2度目の就職(北陸大学教授・副学長)も公募ではなくお誘いをいただいたものだ。 公募ではない採用の場合、採用する側に様々な事情があり、その事情にマッチした人を探す。例えば新しい学部を立ち上げたり、新しい組織(企業との連携や知財活用など)を作る時、立ち上げに必要な人材が学内にいないことが多い。その

          10.公募によらない大学教員の採用

          9.なぜ、どのようにして大学教授になったのか?

          大学院を修了してからやっていたこと(初めての査読論文) 博覧会の仕事など多忙な中で2003年3月に大学院を修了した。当時の勤務地は静岡県浜松市だったが、行政経営フォーラムのメーリングリスト上で自治体改革についての活発な議論に参加していた。メディアでもコンサルでもない純然たる民間企業社員と言う立場は、参加者の中でも変わり種?だった。 一方でヤマハの立場で関わっていた一般社団法人日本クラシック音楽事業協会及び財団法人地域創造のつてで文化経済学会<日本>の研究大会に顔を出し、会員

          9.なぜ、どのようにして大学教授になったのか?

          番外.スキーに来たので記事はお休み

          だいたい3日に一遍のペースで書いているのですが、今日はスキーに来たのでお休み。今シーズンはこれが最後かな。74歳なのでケガしないように慎重に滑っています。ヘルメットの左側に見えているのは八ヶ岳の主峰赤岳。 大学教員在任中、2回ほど学生とスキーに行ったのもいい思い出です。 よく飲みにも行ったし、学生との付き合いのいいタイプの教員だったと思いいます。

          番外.スキーに来たので記事はお休み

          8.修士課程修了、その後は・・・

          修士論文を書く 修士論文のタイトルは「変動する社会環境と自治体改革―ビジネス手法の導入とその限界―」である。 修士2年の夏休み前に論文のタイトルと概要の発表会があった。他の学生の前で発表し、先生方の講評をもらう。この時はなかなかおもしろいのではないか、という評価をもらった(なかには全然ダメ、やりなおし、と言う評価を受ける人もいる)。しかしここからが思わぬ苦戦だった。夏休みになんとか第一章、第二章を書き上げたが我ながら不出来な内容だった。夏休み明けに演習で書いたところまでを発

          8.修士課程修了、その後は・・・

          7.花の社会人大学院生活

          社会人大学院の通学負担 私の通った聖学院大学大学院政治政策学研究科では終了に必要な単位数は2年間の春学期・秋学期で30単位+修士論文だった。30単位のうち8単位は演習(論文指導)で通常の授業は22単位。1科目は2単位なのでつまり2年間に11科目取ればいいことになる。 多くの学生は1年のうちに10科目程度はとってしまい、2年の時は授業1科目と演習のみであとは修士論文執筆に専念する。つまり1年の時は春学期秋学期とも各5科目+演習ということになる。授業回数は1科目半年で15回であ

          7.花の社会人大学院生活

          6.社会人大学院で学位取得!

          (この記事から文体を変えることにしました。) 実務家でも大学教授になるなら学位が必要、それなら社会人大学院へ(私の経験談) 既に述べたように、実務家教員でも採用されるためには(本音のところでは)学位が必要である。もしなければ取らなければならない。今は社会人が通って学位が取れる大学院がたくさんある。入試科目も社会人向きにレポートと面接しかない(語学や専門科目の筆記試験がない)とか、授業は平日の夜と土曜日に開講されるとか、様々な配慮がされている。仕事をしながら学位を取ることが

          6.社会人大学院で学位取得!

          5.大学組織と教員の役割

          日大アメフト部不祥事から知る大学組織における教員と職員の違い (大学教員になる前提としての大学組織についての知識) ここまでの記事では普通のサラリーマンが大学教授になるために 学位を取ること 自分たちは実務家教員と呼ばれること 大学教員になるために今がチャンスであること を書いてきました。ここまでは「どうしたらなれるのか」の前の前提となる知識です。 前提の最後として、皆さんに大学における職員と教員の違いを理解してもらうために、昨年フェイスブックに書いた日大アメフト部の不祥

          5.大学組織と教員の役割