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なぜ大学ラグビーの試合に人が集まるのか? 考察レポート

今月始め、ラグビーの早明戦を観に行ってきました。

ラグビーは初観戦でルールも何も分かりませんでしたが、とにかく圧倒されました。また行きたいと思いました。

と同時に、
どうしてこんなにも大学ラグビーの試合に人が集まるんだろうって、
大学サッカーと大学ラグビーは何が違うんだろうって、
素直に思いました。

↓観に行った次の日に、どうしてあんなに人が集まったのかを考えようと思って、思いついた要因をざっくりと書き出したメモ。
なんで黄色で書いたのかは謎です。笑

ということで、今回はメモ書きをもとに「なぜ大学ラグビーの試合に人が集まるのか?」を自分なりに考察し、それをまとめてみたいと思います。

※私はラグビーについて大した知識もありませんので、中には事実と異なる部分があるかもしれません。ご承知おきください。

関東大学対抗戦 早大vs明大

12月2日(日) 14:00キックオフ @秩父宮ラグビー場 曇り 15℃くらい 観客:22256人

日曜日の午後。
駅からのアクセスが良い上に表参道からもほど近いなど、試合以外のところでも十分楽しめる秩父宮ラグビー場。
最高ですね。
ひとつだけ懸念ポイントを挙げるとすれば、当日の天気。
曇っていたということもあり、かなり寒かったです。
この寒さでは、外出をためらう人もいたのではないでしょうか。

しかしながら、スタジアムには22256人もの観客が集まりました。
どうして?

自分なりに考えてみた結果、頭に浮かんだのが以下の3点。
①ラグビーだから
②秩父宮ラグビー場で行われたから
③観客にフレンドリーだから

以下で詳細を説明していきます!

①ラグビーだから について

試合中、常に身体同士がぶつかり合い常に前進(DFが自陣に引くことはない)するところに、ラグビーの競技としての面白みやスペクタクル性を感じます。

私はラグビーとサッカーは結構似ていると思っています(ボールを扱うのが手か足かは別として)。屋外スポーツ、同じ大きさ・形状のピッチ、敵陣に攻め込んでゴール(トライ)を狙う、などなど。

ですが、個人的に思うラグビーとサッカーの大きな違いは守備の仕方
サッカーはボールをゴールにさえ入れさせなければ良いのに対して、ラグビーの場合はゴールラインを突破されたら終わりだというところ。
サッカーでは、いくらゴールラインを相手に通過されても、ゴール内のゴールラインさえ通過させなければ良いのです。ましてや相手が蹴ったボールがゴール内以外のゴールエリアを超えればマイボールで試合を再開できますし。

サッカーには、前線から相手にプレッシャーをかけてボールを奪う「ハイプレス」と、自陣に相手を引き込んで守る「リトリート」という守り方があります。その内、リトリートは力の劣るチームが強豪相手によく取る戦術のひとつです。自陣にどんなに攻め込まれたとしても、相手にどんなにボールを保持されたとしても、「ゴールさえ割らせなければ良い」と割り切ってゴール前の守りを重点的に固めます。

「自陣に引いて守って不利なんじゃないの?」って思う方もいるかもしれません。確かに見方によっては不利だと言えますが、中には「リトリートからのカウンター」を得意とし、あえてその守り方を選択するチームもあります。
早稲田大学ア式蹴球部もそのひとつです。リトリートからのカウンターを武器に、今季リーグ戦で多くの勝ち点を獲得していきました。

一方のラグビーは「ここさえ守れば大丈夫!」というところがピッチ内にはどこにもありません
たとえサイドだとしても、ゴールラインの突破を許せば相手にトライを献上してしまいます。(だから15人が横一列になって守備をします)
ですから、リトリートすればするほど、相手を自陣に入れてしまえばしまうほど、つまりは自陣ゴールラインに相手を近づけてしまえばしまうほど、不利になるのだと思います。

だから、常に相手からボールを奪いにいかなくてはいけない。
だから、両チームとも前進せざるを得ず、ボールを奪い合うために体をぶつけ合う。
だから、試合中、常に見応えのある展開が続く。

これらはラグビーという競技の特性上、必然的に起こるのだと思います。

サッカーの場合、90分のうちゴール前でチャンスが生まれてスタジアムが湧き上がるシーンは10回くらいですし(当然試合によりますが)、試合中にボールをDFラインで回すことが多くなるので、どうしてもゲームが停滞してしまい、つまらないと感じさせてしまうのだと思います。
(でも、サッカー観戦にはサッカー観戦なりの面白さがあるので、今度それもnoteにまとめます!)

↓「ゲームの停滞」については、早慶サッカー定期戦の際に外池監督が言及されています。

また、競技の特性以外の点でいうと、「歴史」というものも重要な要素になるのではないでしょうか。
日本ラグビー界では、プロのトップリーグよりも大学ラグビーの試合の方が注目されるなんていう話も聞きます。(日本サッカー界における注目度の度合いでは、Jリーグ、高校サッカー、大学サッカーの順で続いていると個人的には感じます)
実際、先日の早明戦は地上波で生中継されていましたし、多くの人気スポーツニュースでも取り上げられていました。

「歴史」から通づる注目度の高さが、大学ラグビーには着々と受け継がれているのかなと。

「歴史」という観点で言うと、大学ラグビーはOBや保護者同士のつながりも非常に強いと感じました。
対戦相手の明治大学の応援はとにかくすごかったですね。一体感というか。
紫で埋め尽くされたスタンドの一角。
試合中ずっと振り回されている無数のフラッグ。
特に、明治の校歌斉唱の時のうねるようなスタジアムの盛り上がりようは今でも鮮明に覚えています。

さらに、色々と調べてみた中で驚いたのが、関東大学対抗戦は関東ラグビーフットボール協会が主催しているということ。この組織は中学から社会人ラグビーまでもを管轄しており、プロの最高峰であるトップリーグの試合の主管もしています。

大学サッカーの試合は、各地域の大学サッカー連盟が主催しています。大学サッカー連盟に所属している大半は学生です。試合運営もほぼ学生で行なっています。

一方のラグビー関東大学対抗戦の試合では、(私が見た限りでは)試合の運営メンバーは大人でした。お揃いのジャージを着た大人の職員がチケットもぎりや観客誘導を行なっていました。

普段から大学サッカーの試合の運営に学生として携わる私としては、その光景が異様に移りました。
率直に感じたのが、「プロの試合みたい」ということ。

大人が運営に携わるからこそ、色々と融通が効くのかなと。
秩父宮ラグビー場という素晴らしいスタジアムを使用させてもらえたりすることも含めて。
大学サッカーの試合では、試合会場の外でイベントなどのブースを設置すると料金が発生する会場もあるそうです。
秩父宮では、公式?のグッズ売り場もありましたし、キッチンカーも来ていました。
大学サッカーでは、スタジアムの使用料などは(おそらく)ほぼ全て連盟側が負担しています。その辺りが、関東ラグビーフットボール協会が主催している関東大学対抗戦ではどうなっているのかは気になりますね。

もしかしたら、ラグビー部の学生からすると肩身がせまいと感じるかもしれません。ですが、非常に良い試合運営ができていることは事実ですし、とても羨ましい限りです。

②秩父宮ラグビー場で行われたから について

大学ラグビーについて色々調べる前までは、関東大学対抗戦Aグループ(1部)のすべての試合が秩父宮ラグビー場で開催されているのだと思い込んでいました。

ですので、「スタジアムが集約されているから、大学ラグビーって集客面で有利だなー」って思っていました。(以前のnoteで、各地を転々としてリーグ戦を戦っている影響で集客で苦戦している大学サッカーの現状を挙げました)

でも、調べを進めてみると、大学ラグビーも各地を転々としてリーグ戦を戦っているという事実を知りました。

以下に、今季の関東大学対抗戦で早稲田大学が使用したスタジアムと、その試合の観客数をまとめました。

vs筑波大 セナリオハウスフィールド三郷 1500人 無料
vs成蹊大 味の素スタジアム西競技場 1685人 無料
vs青山学院大 足利市総合運動公園陸上競技場 2000人 有料
vs日本体育大 群馬県立敷島公園ラグビー場 621人 有料
vs帝京大 秩父宮ラグビー場 19810人 有料
vs慶應義塾大 秩父宮ラグビー場 19197人 有料
vs明治大 秩父宮ラグビー場 22256人 有料

まず驚いたのは、すべて借りている会場であるにも関わらず、有料会場と無料会場があるということ。

大学サッカーの場合、各大学のグラウンドで試合を行う場合は入場料は無料ですが、その他の会場はすべて有料会場としています。(味スタ西も有料会場としてリーグ戦を行っています)
偶然かもしれませんが、有料会場となっているのはすべて「ジャパントップリーグの試合で使用されている会場」であるということが分かりました。
もしかしたら、先述した、関東大学対抗戦の試合を関東ラグビーフットボール協会が主催していることと関係があるのかもしれません。

前置きが長くなってしまいましたが、大学ラグビーの試合で使用している数あるスタジアムのうち、やはり秩父宮は別格です。ラグビーの聖地と言われるだけあります。

特筆すべきはそのアクセスの良さ。
駅前とは言えませんが、複数駅(・複数路線)から徒歩10分圏内にあります。
また、スタジアム周辺には公園や美術館もありますし、
何より表参道にほど近いと言うことで、試合前後にお買物を楽しむこともできます。最高ですね。

一方の大学サッカー。
大学サッカーの聖地と呼ばれる西が丘サッカー場ですが、駅から歩いてすぐではあるものの、近くにある駅は都営三田線の本蓮沼駅のみ。
申し訳ないのですが、スタジアム周辺に試合観戦以外でも楽しめるスポットが多いとはお世辞にも言えません。

これらスタジアムのアクセスや利便性の悪さは、大学サッカーの課題というよりは日本サッカー界全体の課題でもあります。

秩父宮の隣に秩父宮と同規模のサッカー専用スタジアムがあって、そこで大学サッカーの試合ができればいいのになーって思います。笑

さらに面白いと感じたのが、チケッティングの部分です。

以下のリンクからぜひ見てもらいたいのですが、大学ラグビーは試合によってチケットの値段が変わるのです。同会場でも対戦カードによって変わります。

基本的に、一般席は1500〜2000円、学生席は800円で購入可能です。私が観に行った試合の一般席は1800円でした。(その日は学生席がなかったので、私も1800円を払って試合を観戦しました)
これは大学サッカーの一律1000円に比べて高額です。でも人は入ります。笑

さらに、秩父宮は指定席及びVIP席があります。指定席は等級がいくつかに分かれていて、それぞれ2500〜5000円と一般席に比べてかなり高額ですが、ほぼ満席でした。
ここでも感じました、「プロの試合みたい」って。

結果として、一般席、指定席、VIP席すべて合わせて22256人が押しかけたので…
その日だけですごい儲けですよね。

強く感じたのが、「(お金を)取るところでちゃんと取る」が徹底されているということ。ビジネスとしてめちゃくちゃ賢いですよね。というよりかはビジネスの基本と言うべきでしょうか。

③観客にフレンドリーだから について

大学ラグビーの試合はものすごく観客にフレンドリーだと感じました。
観客に対してフレンドリーだと、観客はリピーターになりやすい。そりゃそうですよね。

観客にフレンドリーだと感じた点をいくつかピックアップします。

・ハード面の充実
→先述した通りです。

・チケットの取り置きサービスを利用した人に対してカイロ無料配布

↑感動しちゃって、今でも大切に取ってあります。笑

気遣いが素晴らしいですよね。
私は試合の数日前に、CSA Meetupというイベントに参加していて、「大学スポーツでリピーターを獲得するためにはどうすればいいか?」を議論するグループワークを行いました。その中でカイロの配布やブランケットの貸し出しがアイデアとして上がっていたので、実際にカイロをいただいた時には個人的に「めっちゃタイムリー!」って思っちゃいました。笑

↓↓CSA Meetupに興味のある方は是非✨↓↓

・赤かエンジのものを身につけた人に先着で1500名に紙フラッグをプレゼント(カイロの無料配布もありました)
→応援グッズを手にすると、応援に実際に関わっている感覚が生まれ、応援がより楽しくなりますよね。

・ルールブックの販売

・プレー解説付き(大型スクリーンに表示)
→ラグビーのルールを把握していなかったので、試合中「今何が起こったのか」「なぜファウルになったのか」をアナウンスで解説してくれたのは非常に助かりました。

・リプレイ映像が流れる
→私はゴール裏で観戦していたので、逆側でトライに成功したシーンのリプレイ映像を流してくれたのは非常にありがたかったです。
(でも、これはテレビカメラが入っていたから成し得たことでもあります)

あの試合を観ただけで、私はもう大学ラグビーの一ファンとなりました。笑
それほど刺激が強かったということです。
だからこそ、ここまで長々と文章を書けるのだと思います。

1月2日、また早明戦観に行きます!!
あの感動をもう一度味わいたいです!!

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