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第30節 ヴィッセル神戸戦 レビュー


『広島が昼に負けて、夜に試合。相手には世界的な選手がいる。そういう中で自分たちのサッカーが見せられた。この勝利はすごく大きいし、自信にもつながる。』と試合後に中村が語ったようにこの試合における世間の注目度はいつもより熱を帯びていた。

その中で、1−3と一時は2点差をつけられたが、蓋を開けてみれば5−3。”王者”としての在り方を神戸に見せつけた。

相手監督フアン・マヌエル・リージョは試合結果に対して『1試合で3点をとって勝てないというのは難しい』と頭を抱えるほどであった。

さて、そんな劇的な試合のラインナップはこちら。

①『役割がはっきりした分、仕事もやりやすくなった。』(知念慶)。神戸を攻略した【中盤とFWをつなぐところ】(鬼木達)。

②『ディフェンス陣としてはいらない失点が多かった。』(谷口彰悟)今シーズン初の3失点。最少失点という位置にいるからこそ意識しなければならないこと。

以上の2つです。

それでは。

①『役割がはっきりした分、仕事もやりやすくなった。』(知念慶)。神戸を攻略した【中盤とFWをつなぐところ】(鬼木達)。

主力である阿部と守田を出場停止で欠く中、さらには車屋がハムストリングの肉離れにより欠場。これによって鬼木監督は先日の長崎戦で機能した、【4−4−2】を採用。しかし、これが思わぬ事態を招くことになってしまった。

実際、小林と知念を前線に配置することで前線に拠点を作ることができ、トップ下のスペースが空く分、齋藤や家長が中央にスライドできる。そして、エウシーニョや登里らサイドバックが相手サイドの深い位置でプレーすることができる。

ただ、ここのスペースが空いてしまうために、イニエスタに自由を与えてしまったと言っても過言ではない。イニエスタだけでなく、神戸全体がそう言った部分で落ち着いてプレーできていた。繋げさせればあまりミスが起きない。その中で、2トップの二人をはじめとしてチーム全体が前線からプレスを仕掛けていた。

神戸のパスが引っかかるという展開になれば理想的ではあるが、引っ掛けられなかったことも課題の1つにはなる。

相手指揮官は『中盤に4枚、藤田、三田、イニエスタ、ポドルスキという選手を配置したことで、インサイドの選手達がサポート無しではなかなかプレーがしづらいという状況を作りだそうとしました。』という考えがあったことを明らかにしているが、やはりあれだけの選手たちが中盤に配置されてしまえば、ある程度の対応をしなければならなくなる。

だが、35分。転換期が訪れた。三田に3点目を許した後、川崎は【4−4−2】から【4−2−3−1】にシステムを変更した。”いつも”の形である。

この変更によって攻撃や守備にいつものリズムが出てくることになる。そして、家長がトップ下に入りことによりボールは自然と彼の足の収まる。

『2トップで挑んだ中で攻守において少し間のところが、中盤とFWをつなぐところが少し足りなかった。そこのところが攻撃、守備において問題だったかな』と鬼木監督が言うようにやはり、この試合でのトップ下というポジションは非常に鍵になった。

ここがハッキリしたことによって『仕事もやりやすくなった。』(知念慶)

タスクがハッキリとすればどのようにやれば良いか。答えへの道筋が明確に見えてくる。そういう意味で言えば、鬼木監督の今回の判断は非常に効果的であった。

『自分たちが普段とは違う形でスタートした。向こうの出方がわからなくて、予想以上に手間取った』(中村憲剛)からこそ、先制はしたが、やりづらさが出てしまって探っている途中に追加点を簡単に奪われてしまった。しかし、『崩されて取られたわけではなかった』とは小林。

『1点返せば勝てるという雰囲気でみんな前向きだった。』(小林悠)というように、2点を取った後のプレーは少し違かった。

それからは川崎の時間帯を作り出し、前半3失点はしたものの後半は無失点に抑えることができた。そして、これはチームとして強い自信があるからこそ2点差をひっくり返せた。

その自信とは。小林が続ける。

『神戸とは目指すスタイルは違うと思っているし、守備も組織化されているのはうちの方。』

自分たちが繰り出すサッカーに自信があるからこそ今の位置にチームがいる。しかし、『今日の勝ちが大きいかどうかは、最後に終わってから』(家長昭博)である。

②『ディフェンス陣としてはいらない失点が多かった。』(谷口彰悟)今シーズン初の3失点。最少失点という位置にいるからこそ意識しなければならないこと。

『前半で3失点はNG。』と中村が言うように、簡単に許してしまった3点にはチームとして目を向けなければならない。そして、この3失点が何を意味するのかをも考えなければならない。そんな失点であった。

実際、川崎は2失点はあるものの3失点以上を喫した試合は昨シーズン第19節対ジュビロ磐田戦の5失点以降なかった。

それほど近年での守備の成長は結果として現れている。

『前半、先制してゲームをコントロールできればというスタートだったが、ああいう形で失点して、その後見事なシュートを決められてしまった。』(エウシーニョ)。

前半の内容を切り取れば完全に負けていた。というような声は多く、前半は神戸の時間であった。エウシーニョと登里が前線に引っ張られ、そこで三田や古橋、そしてポドルスキに空いたスペースを突かれる時間が多かった。

大島も『自分たちの中で相手のストロングを出している感じがした。』と相手優位の試合展開をしてしまったことを悔やんでいた。

相手は複雑に繋がずに、前にスペースがあればシンプルにそこに出してくる。徹底されたからこそ、簡単にシュートレンジに持ち込ませてしまった。

『相手との距離が長くて、寄せきれなかった。そこは課題の一つ。前半の失点や悪い時は幅を使われた。』(登里享平)特に、三田の得点は左右ワイドに使われていて、三田までに繋いだパスはたったの”4本”。

カウンターをくらい守備陣形をきちんと作れないまま簡単に失点を許してしまった。あそこでシュートやクロスをさせないような守備の仕方を出来れば試合の流れも大きく変わる。

神戸の攻撃の仕方は非常に面白く、様々なオプションがあったように感じれた。特に前線の2人に関しては小林が『あそこで収められるのはしんどかった。』というようにウェリントンの高さや、古橋の走力は非常に厄介なものになった。

前半の内容を『受けてしまった』と鬼木監督が言うように、チーム全体に多少自信がなかったシーンは多かった。それに加え、かなり走らされるようなシーンも多く、守備で体力を割いてしまった。ただ、これで無失点に抑えられていれば話は別だが、今回は3失点してしまった。

失点に対して今以上に強く意識していかなければまた同じような事態を招きかねない。

リーグで最少失点という位置にいるのは今まで積み重ねてきたからこその結果だが、そのような中で簡単に3得点を奪われてしまえば、また同じような展開で勝っていかなくてはならなくなる。

ただ、毎回このような展開に持っていくのは現実的に考えて難しいものがある。だからこそ、『試合の入りは気をつけないといけない。』(大島僚太)

(RYUJI.I)

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