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【読切脚本】変身まじかるビフォーアフターTV

 目安:約9000文字

※前回投稿した掌編小説の脚本版になります

〈舞台〉
都内某所の古い二階建てアパートの103号室。
築48年。全6戸。
現在203号室は封鎖されている。

〈登場人物〉
101号室の住人ござる
     河上翔(24歳)
     である調で話す。
     地味な印象のフリーター。
102号室の住人102
     上田中真(24歳)
     特徴のない主人公。
103号室の住人たくあん
     鳥海拓人(26歳)
     二次創作出身の
     アマチュア専業作家。
     ネット環境命のインドア派。
201号室の住人メガネ
     大井崇(26歳)
     武士のような公務員。
     住人の中で視力が一番悪い。
202号室の住人キツネ
     金森友太(23歳)
     バイトとアフィリエイトが収入源。
     たくあんを尊敬している。

《変身まじかるビフォーアフターTV/脚本》

■アパート103号室内(夕方)

住人たち
102(24)、メガネ(26)、キツネ(23)ござる(24)が
103号室に集まっている。
当の住人たくあん(26)はいない。
家主がいなくても何の違和感もないかのように
各々が休日をダラダラ過ごしている。
時計は夕方5時を回っていて
質素なカーテンがかかった窓からは
西日が差している

キツネ「(ぼそっと)ほら、やっぱりだ」

   キツネ、狭い場所で横になって
   スマホをみていたが
   身をよじって102の方を向く
   強制的にスマホ画面を見せて

キツネ「これ見てくださいよ」

   その場にいた102、メガネ、ござるが
   同時にスマホの動画を覗きこむ

102  「あ? ユーチューブ?」

キツネ「(更に見やすいように
    スマホの向きを変えて)
    そうそう、ほら」

102  「ああ、イケメンとブサイクの
    服取っ替えても、
    イケメンはイケメンで
    ブサイクはブサイクってやつか。
    昨日見たぁ」

   4人、思わず無言で目を合わせ
   お互いを見やる
   動画はその間も賑やかに再生されている
   一拍置いてうなだれながら

4人 「(むなしい)はぁああああっ」
   (盛大なため息)

キツネ「(思い出したように顔をあげて)あ。
    このチャンネル
    たくあんさんには見せない方がいいですよね」

   と、3人の顔を見回す

ござる「お、おお。同感である」

■キツネのアップ(103号室の一画)

テロップ『202号室 住人キツネ』

   キツネが103号室の狭い一画で
   寝転がりなりながらスマホ画面をいじる
   薄暗い夕方の室内で
   見上げる画面の光が顔を照らしている

102N「キツネくん。
   スーパーでアルバイトをしながら
   フリー音楽素材のサイトを運営して
   アフィリエイト収入も得ている。
   名前はもちろんハンドルネームだ。
   由来は、カップ麺のきつねうどんなら
   毎日でも食べられる
   という理由かららしい」

■ござるのアップ(同室一画)

テロップ『101号室 住人ござる』

   おどおどしながらキツネを見て
   スマホを覗き見たそうにしている

102N「ござるは地味な奴だが口調が独特で
   である調で話す。
   ならばなぜ『である』ではなく
  『ござる』と呼ばれるようになったか
   というと、たくあんに
  『(たくあん風にモノマネして)
   おまえはござるだ! ケヒャヒャ!』
   と、上機嫌で名付けられたからだと
   聞いている」

■103号室内

102 「たぶんだけど
    たくちゃん気づいてないからな」

キツネ「うん。
    結局たくあんさんはこれなんだよ」

   キツネ、スマホ画面を指さして
   諦めたような顔。
   再び4人でスマホを覗きこみ
   約20分ほどの動画の続きを
   ぼんやり眺めている

102N「俺たちが見ている
   動画サイトのチャンネル名は
   『変身まじかるビフォーアフターTV』

   街中の冴えない若者を
   捕まえてテコ入れし、垢抜けさせる。
   いわゆる
   ビフォーアフターを楽しむチャンネルだ
   今回見ていた動画は
   このチャンネルが
   昨日公開した実験動画だ
   『服だけいいもの着たって
   格好良くなるわけじゃないよね』
   というのを、実際に
   イケメンと冴えない男子を使って実証している。
   ただ、ここに出てきているイケメンは
   過去動画でテコ入れされた
   元冴えない男子くんなので
   つまるところ『イケメンは作れる』
   という結論の動画になっている。
   誰もあえて口にはしていないけど
   まあこの男子よりは
   たくちゃんの方が確実に素材が良いよな
   と、たぶんここにいる全員が思っていて
   もしこのチャンネルに
   たくちゃんが登場したら
   どんなことになってしまうのだろう。
   ……などと
   見てみたいような見たくないような
   気持ちになっているはずだ。
   そう。みんな身に覚えがある。
   なんだか知らないうちに
   部屋だけではなく
   服までシェアするように
   なっちゃった俺たちは
   自分の服をたくあんさんが
   意外と格好良く着こなしてるところに
   遭遇したりとかで。
   たくちゃん自身がこのチャンネルを見て
   オシャレに興味を持ってしまうことも
   できれば避けたい。
   今のまま、陰キャの星でいて欲しい。

キツネ「(ハッと気づいて慌てる)
    たくあんさんが気づいてしまったら
    違う世界のリア充になってしまう!」

メガネ「(淡々と)このアパートの
    風紀が乱れるのは困る」

ござる「(動揺して)ネット環境は死守である! 
    リア充になって
    ここを出て行かないようにせねば」

102 「(ヒソヒソと仕切る)いいか
    たくちゃんの前では
    絶対にこのチャンネルを見るなよ。
    存在を知られるな!」

キツネ、メガネ、ござる「(小さくガッツポーズで)おう!」

メガネ「ところで今日はどこ行ったんだ? 
    珍しいではないか、拓人が外出など。
    あ、あれか? 本屋」

■103号室(回想)

テロップ『103号室 住人たくあん』

   誰もいない室内。
   6畳の和室がふたつと小さな台所が
   廊下もなく繋がる昭和時代特有の間取り
   そこに似つかわしくない現代の機材たち
   壁一面の本棚に大量の本。
   入りきれないものもあり
   本が入れられているであろう
   通販サイトのロゴが
   プリントされた段ボールが
   大小さまざま点在している
   自作のものと思われる
   校正版のペーパーバックなどがある
   充実したパソコンおよび周辺機器、
   タブレットやダブペン、
   コードが謎に繋がるネット関連機器など
   こだわりあふれる引きこもり空間が広がる

102N「この部屋の主たくあん。
   もちろんハンドルネームだ。
   本名は拓人。名字は忘れたけど。
   たくあん名義で二次創作をしていた頃
   投稿サイトでその名を馳せ
   現在はオリジナルの小説や漫画を 
   個人販売して生活している。
   呼び方はみんな適当だけど
   キツネくんだけは敬意の念から
   『たくあんさん』と呼んでいる。
   オンデマンドプリントの紙媒体冊子から
   ダウンロードするだけでOKの電子書籍
   果ては完全オリジナルのグッズまで
   抜かりない。
   その上漫画も小説も書けるたくあんは
   なぜか作品のファンが多くて
   これだけで生活が成り立っているほど
   界隈では有名人だという。
   俺がここにきて半年ほど経ってから
   このアパートの住人になったキツネは
   もともとたくあんさんの大ファン
   ということもあり
   たくちゃんの部屋で
   たくあんの片鱗を確認した瞬間
   聞いたことない程の
   悲鳴に近い歓声をあげて
   感激していたほどだ。
   たくちゃんはテンションが上がると
   わりと頻繁に奇声を発する
   という謎の習性をもちあわせているが
   そんなことまで読者やファンは
   知らないのである。
   本人は
   『生活水準が低いから成り立っているだけ』
   と謙遜するけど
   言い方を変えれば専業作家ということで
   それはそれで凄い。
   けど、激しいまでのインドア人間なので
   販売イベントなどに出店したことはなく
   顔は知られていないらしい。
   そんなたくちゃんでも
   超絶ハマっている作品の新刊が出る日は
   こうして本屋の開店時刻に合わせて外出し
   本だけ買って帰ってくるのだ」

■103号室内
   102、おやつを取ろうとしたのをやめて
   ペットボトルを手にし
   キャップをひねる

102 「うん、そう。
    帰宅部シリーズの最新刊発売日だってさ」

メガネ「それにしても遅くないか? 
    店の開店時刻に合わせて出かけたのだろう?
    もうすぐ5時半になるぞ。
    夜になってしまう」

   メガネ、タブレットの端を見て
   時刻を再確認する

102 「確かに。何かあったかな」

キツネ「あれじゃないですか?
    たくあんさん前に
    帰るまで待ちきれなくて
    途中の公園で読破してから
    帰ってきたことあったじゃないですか」

メガネ「あの時は
    屋外でどんな奇声をあげながら
    読書していたのかと
    心の底から心配したな」

102心の声「奇声……」

■(回想)2年前の102号室

テロップ『約2年前』

   古い部屋だが
   引っ越して日が浅く整然とした室内
   夕飯を一人で食べる102(22)
   ふと上階だか隣だかで
   何かが崩壊するような地響きが起きた
   ものすごい音と衝撃に驚いて
   箸をくわえた姿勢のまま
   身体をこわばらせる
   そのまま顔だけ動かし
   103号室とも203号室とも
   言えない方角を見る

    ×××
   後日昼間102号室を訪れ謝る
   大家さん(54)とたくあん(24)
   203号室と103号室の簡易的な補修作業
   たくあんが103号室へ引っ越す様子
   駐輪場部分に広げられたたくあんの荷物
   大量の本や重そうなダンボール箱
   がっしりしているのに歪んだ本棚
   パソコン周辺機器や謎の配線コード
   それらを運ぶ業者を見守る住人たち
   102も同様に
   不思議なものを見るような目で
   見守っている
    ×××

102N「俺がここに引っ越して1か月ほどしたころ
   たくちゃんの部屋――203号室――
        の床が抜けた。
   平たく言うと
   蔵書の重さに建物が耐えかねたらしい。
   この木造アパートも
   完全修復リフォームするほど
   お金をかける必要がないと判断されたのか
   抜けた部分を簡易補修だけして
   203号室は封鎖され
   たくちゃんは真下の部屋に
   引っ越したのだ。
   偶然にも103号室の住人が
   いなかったのは幸いだった。
   だからその時から102号室に住む俺の隣人になり
   奇声の第一被害者にもなった」

(回想終わり)

■103号室内

ぼーっと昔を思い返している102のアップ

102心の声「たくちゃんの奇声はキモイし
   狂気じみていて怖い。
   慣れるまでは本当に怖かった。
   それから数ヶ月ほどして
   202号室に入居してきた
   キツネくんの情報により
   界隈では有名な『たくあん』さん
   という事実が判明した。
   変だけどすげーヤツだったのだ。」

102 「まさか
    奇声で警察に保護されてたりしないよね?」

ござる「それは……自業自得である」

メガネ「それならそれで俺たちの誰かに
    連絡くらいはくるだろう」

キツネ「その時は、僕が警察まで
    たくあんさんを迎えにいきますからね!」

102心の声「まぁ、日が落ちても
    帰ってこなかったら
    みんなで探しにでも行けばいいか」

メガネ「あ、102。米、今日はお前だったな」

102 「そうだよ。
    ちょっと早いけど研いでこようかな」

メガネ「今日はカレーにするから
    気持ち水量少なめで炊いてきてくれ」

102心の声「そうだった。
    メガネくんがつくるカレーは旨い」

■メガネのアップ

テロップ『201号室 住人メガネ』

   たくあんのゲーミングチェアに
   寄りかかりもせず姿勢よく座り
   103号室のWi-Fiにつないだ
   自分のタブレットを眺めている
   タブレットの画面がメガネに反射し
   こちらからは目元が見えない

102N「メガネくんはいつも姿勢がいい。
   ここの住人はみんなメガネをかけている。
   なのになぜ彼が「メガネくん」と
   呼ばれているのかと言うと
   住人五人の中で
   一番度の強いメガネをかけているから
   メガネオブメガネというわけなのだ
   ちょっと武士っぽい人だけど
   『武士殿』と呼ぶより
   『メガネくん』と呼んだ方が楽なので
   こうなった
   こんな素性のクセに、何気に公務員だ。
   社会的に一番まともなのは
   この人だったりする。

■102アップ

テロップ『102号室 住人俺(102)』

   時計を確認しようと
   自身のスマホを取り出す
   ロック解除をする際に
   画面の光で顔が明るく照らされる
(クロスフェードで回想)
  たくあんの荷物が
  103号室に運がれていくのを
  見届ける102がフェードイン
  同時に興味深く見物する住人たち
  引っ越しが完了した本と機材だらけの室内
  メガネが食糧を持って遊びに来る
  何か交渉したかと思うと次のシーンでは
  メガネが103号室で
  タブレットを操作している
  (シーンが切り替わり)
  ござるがおやつを持って103号室を訪れる
  (また別の日のシーン)
  キツネが同人誌片手に103を訪れ
  たくあんにサインを求めている
  そこにメガネが遭遇
  やかましいなと思って様子を見に来た102が合流
  そこにござるがバイトから帰ってくる
  103号室でなぜか宴がはじまる
  (また別の日のシーン)
  自由に行き来する住人たち
  みんなの洗濯物も誰かの洗濯機で
  まとめて洗ってまとめて干す様子など
  切り取られた日常が
  走馬灯のように映し出される

102N「そんなメガネくんに102と呼ばれた俺
   特徴のない俺は『102』と
   部屋番号で呼ばれている。
   隣の部屋に移動したたくちゃんは
   小さなアパートで大きな出来事を起こして
   あっという間に有名人になってしまった。
   理想的なネット環境が魅力的で
   食べ物を持っては遊びに行くやつが現れ
   食料と引き換えに
   Wi-Fiの時間貸しをするようになり
   そういうやつがたまに鉢合わせて
   気づけばたまり場になっていて
   もうみんな鍵も掛けなくなって
   自由自在に行き来して。
   いつしかご飯もみんなで作って
   みんなで食べるようになって。
   だから今では米炊き当番は日替わりだ。

(回想終わり)

■103号室内
   102、さあいくか
   という感じに立ち上がる

102 「水量少なめね、オッケー」

   玄関に向かい
   取っ手に手をかけようとした瞬間
   扉が勝手に開く

102 「(目を見開き息をのむ)
  !…………??(身動きせずパニック)」 

たくあん「ただいまー…?」

   玄関に佇むたくあん
   扉を開けた側としても
   いきなり目の前に102がいて驚いている
   普段の様子から見違えるような
   爆イケスタイル
   びっくりし過ぎて声の出ない102

4人 「(玄関のたくあんを見つめフリーズ)…………」

102 「(やっとのことで声が出る)た……く…………?」

たくあん「いやさ、駅前で声かけられて。
     なんちゃらTVっていう
     ユーチューブの人たち?」

102 「(おそるおそる)…………で?」

たくあん「身だしなみを整えて
     髪切ったりヒゲ剃ったり
     服買ったりしてくれるから
     動画に出てくださいって」

102「え?」

たくあん「そういえばさ
    何か俺の服みんなどっかいちゃって
    いつも誰かの服着てるから。
    せっかくだからこの際
    それっぽい人に買ってもらうのも
    いいかなって。
    ごめん、それでちょっと遅くなってさ」

102 「…………それって……」

4人の心の声「(同時に大音量ツッコミ)
    変身まじかるビフォーアフターTVじゃねーかっ!」

メガネ「拓人。動画っておまえ
    身バレするかもって考えなかったのか。
    一応界隈では有名人なんだろう?」

たくあん「さすがにそれはないだろ?
     顔出して活動なんて一度もしたことねーし」

   ビシッとなにかスイッチが入ったように
   一気に声が大きくなってテンションが上がる
   そのきっかけは4人ともよく分からない

たくあん「コミケでさえもな! 
     不参加だッヒャーッハーッ!」

キツネ「たくあんさん! ヤバいっす! 
    リア充になってここ出て行ったりしないで!」

たくあん「(あきれて)は?
    キツネ何言ってんの?」

ござる「ネット環境は死守である!」

たくあん「(ぎょっとして)はぁっ?」

102 「たくちゃん、あのさ、
    変身してどう思った?
    えっと……気づいちゃった?」

たくあん「何に気付くの?
     おまえら、なんか急に変だぞ」

メガネ「いや、そのな。102が言いたいのは
    お前が本当はイケメンである事に
    いよいよ気づいてしまったのか。
    ということだ」

たくあん「(きょとんとして)……何を今更?」

4人「(大声で短く一言)え!?」

たくあん「何なに?
     俺が今まで自分の顔の良さに
     気付いてないとでも思ってたわけ?
     ケヒャヘヘッ!
     おもしれーっヒッヒャーッ!
     意味わかんねー!」

102 「……え、気づいてたの?」

たくあん「あのさ、何年俺やってると思ってるの!
     幼小中高モテモテなら
     そりゃぁ嫌でも自覚するだろ!」

102 「じゃぁどうしてこんな陰キャ生活してるの?
    たくちゃんなら
    好きなだけリア充生活できるのに!」

たくあん「おまえたち!
    ……なんか勘違いしてるみたいだから
    リア充の本当の意味を教えてやろう。
    リアルが充実しているというのは!
    イコール恋人が途切れないとか
    金持ちになるとか
    そーういうことじゃないんだよっ!」

   4人、しんと静まり、身を乗り出してたくあんに集中

たくあん「俺がちゃんと満たされることが
     本当のリア充なんだ!
     ウッヒャーーーフゥ! 
     ほれ、そこどけ!
     本日の戦利品読みたくて
     うずうずしてたんだ!
     思った以上に時間取られたからさ」

   たくあんはズカズカと部屋にあがり
   ゲーミングチェアに座るメガネを追いやる
   座りながら本屋の袋から
   本日の購入品を取り出すたくあん
   それを微笑みながら見守る102

102心の声「そうか。
     イケメンでもたくちゃんの
     リア充はこの生活なのか。
     わかった。
     好きなだけここにいて
     本を読んで二次創作してくれ!」

たくあん「そのためにはだな
     第一に俺が満たされることを守るため
     身を潜めないとならねー。
     人並以下の環境で生活水準を下げて
     目立たないように暮らしていれば
     少なくとも女どもの視界からは
     消えることができる!」

4人 「(予想外の展開に、
    ん? という顔でたくあんを二度見)……?」

たくあん「人からキャーキャー言われないように
    表に出なくても不自由ない
    ネットの環境を完璧に整えさえすれば
    多少身なりがおかしくても
    生活できるからな!
    見た目に左右されるような人間に言い寄られず
    好きな事を好きなだけできる!
    これがリア充じゃなくて何だ!
    フォーーーッフゥウ!」

102心の声「(しらけた表情)なんだこの人
      ……あ、奇声うるせー」

メガネ「(冷ややかな怒り)
    拓人、てめぇ……」

ござる「(困惑)ここでの生活が
    人並以下である……だと?」

キツネ「(悲しみ)僕たち、
    たくあんさんの隠れ蓑だったってこと?」

102 「(シラケた顔)たくちゃん
    完全に俺たち馬鹿にしてるだろ」

たくあん「……ん? なに?
    みんなマジになっちゃって」

メガネ「おい102。米はいい。
    この変人置いて
    みんなでファミレス行くぞ。
    俺のおごりだ」

キツネ「(てのひら返し)
    メガネさんカッコイイ!
    さすが公務員っス!」

ござる「(ボソボソと)そこは居酒屋の方が嬉しいである」

102 「(もはやもう何も言うことはない)……」

■アパート全体(屋外)
   103号室からメガネ、キツネ、ござる
   の順番に出てくる
   102が最後に出てきて
   ノールックで玄関の扉を乱暴に閉める
   4人はだらだらと
   雑談しながら歩きいていく

102N「103号室の住人。
   こいつやっぱり奇声を上げるだけの
   ただの顔がいい狂人だ。
   リア充め、滅びろ!」

タイトルカットイン
  『変身まじかるビフォーアフターTV』

(暗転)

エンドロール

■103号室内(夜)
   たくあん
   爆イケ姿のまま戦利品を読書中。
   灯りはデスクライトのみで薄暗い部屋
   時折奇声をあげている様子で暴れている
   しばらくして読み終わる頃
   部屋の電気がついたので顔をあげると
   ファミレスで夕飯を終えた
   メガネ、キツネ、ござる、102が
   コンビニの袋を下げて帰ってきたところ
   ござるが持つレジ袋の中から
   缶のアルコール飲料を次々取り出し
   テーブルの上に並べていくメガネ
   キツネが持つレジ袋からはつまみの数々
   102のレジ袋からはたくあん用の弁当
   たくあんはパソコンデスクに本を置き
   ゲーミングチェアに座ったまま
   コロコロとテンション高めで
   テーブルに近づいてくる

(クロスフェードでエンドロール後のおまけワンカット)

■変身まじかるビフォーアフターTVのチャンネルトップ画面
   最近アップロードされた動画の
   サムネイル画像が並んでいる
   その中にたくあんがピックアップされた
   動画のサムネイル(変身前の姿)
   も並んでいる
   再生回数に寄っていくと
   表示された数字がエグイことになっている

(終わり)

まさかの、エンディング作ってみた

というわけで、前回書いた掌編小説の脚本バージョンでした
脚本というものを数作読んだことはあっても、書いたのは初めてなので見様見真似でした。
(興味はあってもルールがよくわからなくて)
練習のつもりで書いてみたのですが、
やっぱり難しいです。

現在複合型コンテンツとして、この物語をさまざまな形式で公開しております。
詳細は総合案内ページをご覧くださいませ!

小説版やマンガ版などがあります

最後まで読んでいただきありがとう
ではではまたまた

梅本龍

最後まで読んでいただきありがとうございます!