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血液型性格分類は根拠はないが、円満な社会生活には役立っている!

 今回は、血液型性格分類についてお伝えしていけたらなと思います。

 結論から言ってしまえば、血液型性格分類に根拠はありません。しかし、ある意味で円満に社会生活を送るための対処技能ともいえます。

血液型

 血液型と聞いて、皆さんの頭に浮かぶのはABO式血液型だと思います。

 A型、B型、AB型、O型という4分類は、赤血球の分類法の一つです。

 これは、1901年、オーストリアのランドシュタイナーという学者が血液の凝集反応(赤血球が集合して塊を作る事)から発見しました。

 最初に血液中から発見されたため「血液型」と命名されましたが、その後の研究で血液型を決定する「血液型物質」は全身に分布する物質である事が分かります。

 それどころか、ABO血液型物質は、人間以外の動物にも、植物にも、細菌にも存在していることが明らかになりました。

 そして、ランドシュタイナーは人間の血液を血球と血清に分け、それぞれ別の人から採取したものと混合させると、血球が凝集したりしなかったりする現象を発見します。

 それが、赤血球のある性質の違いによる事を発見し、4通りの分類に至りました。

ABO式血液型分類

 今では当たり前に使用されている赤血球分類は、不確実で根拠がなかった輸血療法に道を開き、遺伝学研究発展の大きな契機となります。

 1925年にはABOによる遺伝の法則が発見され、2年後の1927年にはA型、B型、AB型、O型の4通りの名称が国際連盟で決議されました。

 ランドシュタイナーには、画期的な血液の研究により、1930年にノーベル生理・医学賞が授与されています。

 肉眼では全て同じに見える血液が実は何通りかに分類されるという発見は、当時は画期的な内容でした。

 ABO血液型は、赤血球の表面に付いている糖の分子「糖鎖」の違いで区別されます。

 O型:糖鎖H型
 A型:糖鎖H型+N-アセチルガラクトサミン(A型物質)
 B型:糖鎖H型+ガラクトース(B型物質)
 AB型:糖鎖H型+A型物質+B型物質

 つまり、A型の人は赤血球表面にA型物質を持ち、B型の人は赤血球表面にB型物質を持っています。

 AB型の人は赤血球表面にA型物質とB型物質の両方を持ちます。

 O型の人は赤血球表面にA型物質もB型物質も、両方とも持たないという訳です。

色々な血液型分類

 血液型分類は、実はこのABO式血液型分類以外にも沢山あります。

 血液型分類は大きく分けて「赤血球の血液型分類」と「白血球の血液型分類」とに分けられます。

 これまで述べてきた、ABO式血液型分類は赤血球の血液型分類の一つです。

 赤血球の血液型物質はすべて、赤血球の細胞膜上に細かいトゲのように付いています。赤血球血液型の分類法は100以上ありますが、その中でも利用頻度が高いものは(もちろん、最もよく知られているのはABO式です)、

  ABO式(4種類)
  Rh式(大きく分けると2種類、細かく分けると18種類)
  MN式(3種類)
  P式(2種類)
 ルイス式(3種類)
 などがあります。

ABO式血液型分類と四気質説

 このように、赤血球の血液型分類だけでも多くの分類があるにもかかわらず、ことさらABO分類にこだわり、その4種類に人の性格を当てはめて分類しようとするのが無理があるというものです。

 そして、その科学的根拠を述べた研究報告も一切ありません。

 ABOでなくても、Rh式の18種類やMN式の3種類に当てはめて分類しても構わないのに、そのような報告もありません。

 輸血において最も重要なABO型分類が、たまたま古代ギリシャ・ローマの
 「四気質説」
 と同じ4種類だったから、無理やりABO型と性格を関連づけようとしたのが血液型占いができた背景だとも言われています。

四気質説

【黄胆汁質】(胆汁質)
 ・荒々しい性格で熱血漢、短気で行動的、野心も強い
 ・気前がいいが傲慢で、意地悪で気難しい面もある
 ・消化力が高く大食だが、やつれて見える
 ・脈が速く心臓に負担がかかりやすく、張り切りすぎて肝臓や腎疾患に陥りやすい
 黄色味がかかった熱く乾燥した肌をしており、硬くて水気に乏しい筋肉をしている

【黒胆汁質】(憂鬱質)
 ・寡黙で頑固、孤独癖があり、運動も休養も社交も好まない
 ・強欲で倹約家、利己的で根に持つタイプ
 ・神経質で自殺傾向がある
 ・注意深く明敏、勤勉で、一人で思索に耽ってばかりいる
 ・黒胆汁は主に悪いイメージを持たれ、狂気・精神錯乱と関連する体液といわれたが、天才を生み出す体液だとも考えられた
 ・土気色で乾燥した冷たい皮膚をして、たいてい痩せている
 ・脈は遅く耳は遠い
 ・欠尿症で、食欲はあったりなかったりである

【多血質】
 ・人柄は機嫌よく社交的で、ずうずうしいが気前もいい
 ・先のことは考えず、心変わりしやすい
 ・娯楽が好きで好色であり、教養とは無縁のタイプ
 ・体質は、筋肉質でたくましく、脈は規則的で皮膚はぬくもりと弾力があり、胃は丈夫で睡眠の悩みもない
 ・舌が乾きやすく、太りやすい
 ・風邪をひきやすく関節炎のタイプで、頭痛や歯痛を伴うこともある
 ・気質の良い状態が維持できれば、老いを寄せ付けないため長生きする

【粘液質】
 ・精神的に鈍く優柔不断で臆病だが、おだやかで公平、人を騙したりしない
 ・背は高くなく太っており、食べることが好きで運動や努力が嫌い
 ・血の気のない皮膚の色で、肉質はやわらかく肌は湿っている
 ・脈は遅く弱く、胃弱で口臭がひどい
 ・貧血や腺病、鼻風邪やカタルに罹りやすく、耳鳴りや難聴になりやすい
 ・粘液から逃れようとつばを吐く。

心理学的考察

 血液型相性診断や血液型性格分類などの知識が一般的に広まっているのは周知の事実です。

 NHKの世論調査によると、首都圏の調査対象者のうち75%が「血液型と性格には関係がありそう」と回答したデータもあります。

 では、なぜこれほどまでに血液型性格判断を信じている人が多いのでしょうか。心理学の立場からその原因を探ってみましょう。

バーナム効果

 まず一つ目は、
「バーナム効果」
 誰にでも当てはまりやすい傾向が特定されていることが挙げられます。

 例えば
 「A型は神経質」
 といわれていますが、B型にもAB型にも神経質に該当すると感じる人はたくさん存在します。

 つまり、A型に特別に多い性格的傾向ではなく、一般的に多い性格特性であるために、当てはまる人が多いのです。

自己成就予言

 また、自分はB型で自由奔放に行動するタイプだと思い込んだ人は、それに応じた行動様式をとるようになることもあります。

 そして、その行動を見ると、今度は周囲の人も
 「やっぱりB型だからだ」
 と理解します。

 すると、さらにB型の人はその理解に応じた言動を行う様になり、徐々にB型的な性格が強化される可能性が十分にあり得ます。

 これを心理学では
 「自己成就予言」
 といいます。

 自己成就予言とは、予言をした者、もしくはそれを受け止めた者が、予言の後でそれに沿った行動を取ることにより、的中するように導かれた予言のことを言います。

 血液型相性診断や血液型性格分類などで言えば、示された結果を受け止めた者が、(意識、無意識に関わらず)それに沿った行動を取ることで、当たっていると錯覚している状況を指します。

まとめ

 私見では血液型性格分類は人の怠惰や拘りを一般社会生活にうまく馴染ませるための方便的な手段なのかなと思います。

 少なからず生活場面で、あの人は△型だから仕方ない、といった対処で矛先を収めたことがあるのではないでしょうか。

 それらをまとめると、血液型性格分類は科学的根拠はないが、その特質から、人間社会のなかで心のゆとりをつくったり、他者を許容する手段として一定の役割を担っているといえます。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
 このコラムは私の個人的な知見に基づくものです。他で主張されている理論を批判するものではないことをご理解いただいたうえで、一考察として受け止めて頂き、生活に役立てて頂けたら幸いです。

【文献】
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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