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Tanizaki

CafeBarDonnaのマンスリー創作カクテル。
12月は『Tanizaki』。

『陰翳礼讃』や『痴人の愛』、『細雪』でお馴染み、文豪、谷崎潤一郎にインスパイアを受け、冬のカクテルを創作しました。

濃厚なカカオのチョコレートリキュールに、
チェリーブランデーと生クリームを滑らかにホイップ。
ブランデー漬けにしたダークチェリーを雪のように真っ白なホイップの上へ。

谷崎の紡ぐ小説の世界のように、繊細で、濃厚で、官能的なカクテルです。
グラスの縁には『細雪』を思わせるココナッツフレークを。
そして人間の内面を描くようにココアパウダーをまぶして白とのコントラストを。

これまでゴッホ、クレオパトラ、と人物を元にカクテルを創作してきました。
ここで、「日本を代表する文豪を入れておきたい」と思い、考案しました。
谷崎潤一郎には幻のノーベル文学賞秘話があります。

───1964年、ノーベル文学賞に日本の作家4名が同時に候補にあがりました。
谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、詩人の西脇順三郎。
この中で最も若い三島は、審査員の「日本の年功序列」という文化を考慮して省かれます。
結局、日本人では谷崎と川端の二人に絞られるのですが、最終的にその年はサルトルが選ばれます。
翌年の1965年、谷崎は亡くなってしまいます。
そして、その3年後の1968年にご存知の通り川端康成が日本人初のノーベル文学賞を受賞します。

川端がいなければ日本人の最終候補は1名となり、谷崎が受賞していたかもしれません。
カウンターで〝もしも〟の話に花を咲かせることもバーでの楽しみの一つです。
光の当たらなかった裏側にも様々なストーリーが息づいております。
(僕は意外とそちらの方が好きだったりします^^)


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